40話 更に東の国 最終日
それから時間は流れ、やっとの思いでユスフリカ王国より東側にある国。旅の途中ではいろんな魔獣やら魔物やらに囲まれ、大変だったが来た甲斐があったと言うもの。馬車を降り、その国の中に入る。
「おぉー、ユスフリカとは全然違う」
「そりゃ、そうだろ」
もちろん帝国とも全然だ。木造の建造物が多く、これを正に“和服姿”と言うべきだろう。地図の名前では“神州”と書かれていた。
「でも確かに和風っぽさがすごいな」
「うん、木造での家…憧れ〜!」
みんなはその光景に目を輝かせていたが、もちろん心が躍るのは俺も同じであった。———観光、の前にユスフリカの騎士が言っていた人に会いにいかなくちゃならない。
「どうやって探すの?」
「うーん、聞き込みか……だろうな。二手に別れよう」
イネス&リナ
エイダン&ライアン
クロード&ディラン
で、俺だけとなった。しょうがないため、俺は俺で探すことにした。待ち合わせ場所は馬車を置いた所。と言うわけになり、早速その人を探すことになった。
探していると大通りに出る。人で溢れかえっており、屋台も出ていた。おはぎ…?と言うものや、わらび餅…?とかのお店が出ており、そこから美味しそうな匂いが漂ってくる。
「いやいや、ダメダメ。先にその人を見つけなきゃ」
誘惑に負けそうなほど、甘い香りが来て一瞬でも油断すれば、招かれそうな匂い。だが、空腹がなる前にその人を見つけ、みんなで食べよう……と思い溢れかえった大通りでその人を探す。
「あ、そういや名前書いてた」
そのことを思い出し、ポッケから紙を取り出す。騎士の人に聞き、名前を聞くと紙に書いてくれたいのを、今思い出した。名前は———丈一郎と言うらしい。
(ん?あ、答え書いてあった)
裏側には今、丈一郎さんがどこで何をしているのかが、書いてあった。
「刀鍛冶…?」
意味がさっぱりわからなかったが、その場に行けば何をしているのか、わかると思い紙に書いてあった場所と、地図を交互に見ながら、行くとたどり着いた。刀鍛冶……と言うのは、俺の国では鍛冶屋……と言うことを。
「あの、すいませーん」
外からそう言うが、恐らく今何かを作っているのだろう。———カンカン!と言う音が響き渡り、聞こえていないのだろう………と感じとる。
数十分待っていると、終わったのかさっきの音がなくなった。それをいいことにもう一回応答する。
「あの、すいませーん!」
「はーい!」
男の人の声が聞こえ、出てきたのはガタイの良さそうな人だった。俺の身長じゃ、見下ろされるくらい身長がデカく、建物に頭ぶつけないかな……?と多少のイラン心配があった。
「で、あんたがあいつの言っていたやつか」
「はい、北国の周辺出身なんですよね?詳しく聞かせてもらえないですか?」
「いや、そうしたいのは山々なんだが、刀をどんどん作っておかないといけないんだよ。注文が多いからな。まぁ、その後だったらいいぜ。ざっと四日はかかるが」
指で四の形をし、それを見た俺はなんとも言えなかった。わがままを言ってはいけないが、早く急がないと………だけど、こう思うことにした。“気長にいけばいい”と。恐らく、この国でも魔獣騒動が起きる。それを鎮めるのも俺たちが、旅に出た理由だ。
「わかりました。あ、丈一郎さん。俺にも刀をくれませんか?ざっと、7本」
「あんた鬼かいな。まぁ、ええよ」
ぐっ!てした後は、すぐさま作業に戻ったようだった。見つけなきゃいけない人を見つけれたため、おはぎやら団子やらを、食べに行こう。と思い至る。
買って歩き食べるとどこかで悲鳴が鳴る。
「………!?」
急いで食べ、その声が聞こえた場所まで走ると、厄介そうな人たちに絡まれている人がいた。雪駄を履いており、俺に気づいて助けを求めていた。
「ねぇ、あんたら」
「あぁ?なんだお前」
色白い女性の腕を掴んでいる、相手の腕を鷲掴みにし、至近距離でこう言った。
「身を引くなら、今のうちだぞ」
簡単に言えばドスが来たような声で、低く言った。恐らく、俺から出ていた殺気を感じ取り、ビグビグしながら、その小物臭半端なかった奴らは、颯爽と逃げていく。
(逃げ足だけ早いな)
そう感心し、すぐさま後ろを振り返る。そこには足首に手を置いていた。
「大丈夫ですか?」
「えぇ、足を捻ってしまって」
(これじゃ歩きにくそう…)
俺たちが住んでいた国では、革製の方が多く、歩きやすいのが一点だ。
(あ、それより怪我かも)
「ちょっと失礼しますね」
そう女性の人に言い、足首の状況を見る。恐らくは捻挫……そう思い、常に常備していた包帯を取り出す。
「少し足を上げてください」
足首のところを包帯で巻き、大人しく安静に。と言うも家がここから遠いと言っていた。
「うーん、困ったな」
「すみません。何から何まで」
「え?いえいえ、お気になさらず」
おんぶをしようかと考えたが、その女性がものすごく恥ずかしいがやりの人で、俺が腰を屈んでも乗ってはくれなかった。そのため、あいつらが来るのを待つまで、俺はこの人といることにした。
「食べます?」
流石に沈黙が続き、俺はその沈黙を破る。飼っていたお団子を女性の人に渡すと、「いいんですか?」と丁寧に聞いてきた。もちろん了承すると、美味しそうに口の中に入れる。その姿が“愛おしい”と言う言葉が似合うほどで、あった。
「あの、失礼を承知ですが、貴方様、お名前は………なんと言うのですか?」
“貴方様”と言うのが少しこそばゆくも、俺の名前を言う。
「アルベール・デイヴィスです。帝国の方からやってきたんです」
「まぁ!帝国から?遠かったでしょう」
ユスフリカからここまでが10日。恐らく倍はかかっていたと思う。
「わたし、ゆきと言います。アルベール様、助けていただき誠にありがとうございます」
丁寧にお礼した。少し気恥ずかしかったが、様呼びはやめてほしい。と思いゆきさんに言うと、満更な笑みで「いやです」と断られた。
「あ、もう大丈夫ですか?」
行こうとしたところを引き止めると、「はい。これ以上はお世話になるわけにはいけません」とまたもや断られる。俺はその人が大丈夫だって言っているため、背中だけを見送り、そのまま刀鍛冶の方に向かって行った。
エイダン達には連絡し、刀鍛冶までくるように言うと、すぐさま来てくれた。
「なるほど、丈一郎さん…ですか」
「あぁ、そうや。あんたらは誰や」
「この人たち、俺の友人なんです」
「お前さんのか。俺は丈一郎。差がない刀鍛冶さ」
丈一郎さんに説明すると、眉間に皺を寄せ、思い立った。
「よっしゃ!それは俺に任せろ!」
勢いよく喜び叫ぶ丈一郎さんは、跳ね上がっていた。
「任せとけ!北国の行き方も、刀も作ってやる!」
目が燃えているかのように、丈一郎さん自身が燃えていた。それを見た俺たちは“何とかなりそう”と心から思っていた。ホッとした時、丈一郎さんが口を弾む。
「あー、あんたら帝国から来たんだろ?なら、泊まるところもないだろう。俺の友人が旅館の経営をしているんだ。そこへ泊まっていくといい。話は俺からつけてやるから」
「あ、ありがとうございます」
俺たちは丈一郎さんにお礼を言い、頭を下げる。丈一郎さんから、その宿屋の場所を地図に書いてもらい、刀鍛冶を後にする。その後は、時間がたくさんあるため、みんなで俺が食べていたおはぎや団子を食べにいくことと、なった。
「おはぎに団子?初めて聞いたな」
「ほんと、美味しかったよ。特にみたらし団子は!」
「みたらし団子?それ何?」
帝国や王国にはない食べ物で話が弾み、その屋台がある場所まで、話に花が咲いた。その店内まで行き、みんなの表情はすごく煌びやかとなった。
「あー!これが!」
「美味しそう!」
クロード、イネス、リナの女子組は団子を。エイダン、ライアン、ディラン男子組はおはぎを買った。
たまたま小耳に挟んだところ、今日は紅葉……と言う花が満開に咲く頃だそう。赤い花……というよりオレンジっぽさがあるが、風流だと言っていた。それが見える場所までみんなを連れて行き、椅子があったため、そこに座る。
「うわぁ〜!こりゃあすげぇな!」
「うん!紅葉?だっけ、たくさん咲いてるなぁ!」
「紅葉が見えるところで団子食べると、さらに美味しい〜!」
「確かに!ずっとここにいたいなぁ」
「それだったら王国の方はどうするの?」
「あ、そうだった」
「どうしたのかい。アルベール」
隣で食べていたディランが俺に話しかけてくる。いつもは棘のついた言葉を放ったりするが、実際は妹思いの兄……である事は分かる。俺はディランの方を向き、首を傾げた。
「え、何が?」
「いや………ううん。何でもないよ」
「………?そう」
それから神州の国の風物詩を楽しみ、丈一郎さんの友人の人がいる旅館…?まで足を運ばせる。旅館にも紅葉の花が咲いており、露天風呂もあるのだそう。
「この国では泊まるところを旅館……って言うんだ」
「私たちの国では宿屋……だから、言い方は違えど意味合い的には一緒なんじゃないかな」
旅館の中に入り、“女将さん”と言う人が接待をしていた。
「貴方達が丈一郎さんの言っていた旅の方達ですね。ようこそ、おいでくださいました。どうぞこちらへ」
女将さんの後ろをついて行った時、クロードにあることを聞く。
「そう言えば、馬車はどうしたの?」
「あー、人当たりのいい人が止めてくれたの。だから出る時はそこへ行かなくちゃいけないから」
「なるほど」
俺とクロードにしか聞こえない声で、言い合い部屋まで案内してもらった。中は本当に綺麗で結構広かった。それから夕食の時間となり、旅館から食事が出る。帝国や王国では見たことも、食べたこともないもので、天ぷら……と言うのが出てきた。
いい匂いがし、お腹がさらに空いてしまう。どこからか———ぐぅーという虫の音が聞こえて来る。目の前にあるこの国ならではの食事を、頬張り、口の中に食べたこともない味が広がっていく。
みんなパクパクと食べており、あっという間に食べ終わった。お腹が膨れ、満足であった。お腹が膨れた後は、旅館にあるお風呂に入る。男風呂と女風呂にわかれ、どちらからも紅葉の花が見えたそう。これが正に露天風呂。だった。
体が温まり、案内された部屋に行く。今日は英気を養うため、ぬくぬくな布団の中に入り、温まった体と布団のあったかさが交わり、すぐさま眠気がやってくる。
今日も一日の終わりであった。




