38話 更に東の国 旅二日目
そして翌日。朝から出発し、馬車を引く途中集落を見つけた。
「こんなところに集落……?」
家がぽつぽつとあり、畑も発見した。俺は馬車を運転していたため、エイダンとディランに行ってくるようにお願いすると、快く行ってくれた。馬から降り、二人が帰ってくるのを待つまで、馬二頭に水をあげていた。
「こんなところに集落ってあったんだ」
クロードたちもそんな話をしており、俺も気になってしまった。そんなとき、集落の方から二人が戻ってくる。慌てた様子で何があったのかを聞くと、耳を疑った。
「………集落跡地……?」
「あぁ、ここあたりで盗賊の住処があるらしいんだ。ほら、これ見てみろ」
持ってきたと思われる袋を、俺たちに見せる。それを手に取り、まじまじと見ていると、ディランが説明した。
「盗賊が盗んだと思われる金品類だよ。最近、よく噂に聞くんだよ。意味はわからないが、盗まれた場所は必ず、金品類の入った袋が落ちてある。って」
風の噂に乗って帝国まできたんだろう。その噂、俺も聞いたことあった。他のみんなも聞いたことがあるらしい。顔を見合わせ、その中のライアンが袋を開ける。確かにその中には、金貨や金塊が入っていた。
でも、確かに意味がわからない。どうして金品類を置いていくのか。本来、盗むんだものを他の家の場所に置くのか。それが一番理解不明だった。
「じゃあ、集落にいた人たちは、そこから逃げたってことか」
「その可能性が高いだろうな」
もちろんみんな、その袋を真剣な眼差しで見る。もし、まだこの辺りに盗賊が潜んでいたら……と考えると、十分寒気がする。
そんなことを考えていると、後ろから音が聞こえた。後ろを———バッ!と振り返ると、草木が揺れているだけだった。気のせいかと思いさっきの方向に戻る………途中、また音が聞こえた。
「なぁ、誰かいるっぽいぞ」
「まじで?」
四方八方から草の音が聞こえ、俺たちは背中をくっつけた。そんなとき、顔を出したのは人相の悪そうな人たちが現れる。
「もしかして………」
「———の可能性高そう」
盗賊———の可能性が高まった。すぐさま戦闘態勢にし、警戒マックスで相手を見ていた。もちろん、全方向にいる為、一人何人か相手をしなくちゃいけない。だが、負ける気がしなかった。
俺は杖を召喚、そして腰についてあるホルスターに、収まっていた銃を取り出す。クロードとディランは持ち前の剣を鞘から取り出し、剣を構えた。
エイダン、ライアンは手を前に出し、イネスさんやリナさんも手を前に出す。手動魔法をやろうとしていた。
(どっちから攻めてくるかわからない)
緊張感溢れる中で、一つの雄叫びが聞こえる。その合図と共に、盗賊らしき人物たちが襲いかかってきた。
「ありゃあ!!」
ハンマーを振り回す者もいれば、アヴェリーノ双子と一緒に剣で戦っているものもいる。だが、ほとんど手動魔法の方であった。
「くっ!ハァっ!!」
ハンマーを押し返し、銃で擦り傷を負わせる為、標準を合わせ、撃った。———バーン!と音が鳴り響き、木に止まっていたであろう小鳥たちが、立ち去る。
「ぐわぁ!こいつぅ………!!」
激怒した相手はハンマーを振りまわし続け、手に負えない状況まで陥った。
「———なっ!?」
驚く暇を与えず、ハンマーからの攻撃を避けつつ、魔法を放つ。が、ハンマーで遮られ、中々決着は付かなかった。
一方で、エイダン達の方でも苦戦を強いられる。正直、俺たちは盗賊達を甘く見ていたかもしれない。そんなとき、盗賊の一味のやつが、重大なことに気づいた。制服についてある紋章を確認し、俺以外のみんなが貴族であることを、知り得た。
「ほぉ……」
不敵な笑みを浮かべ、特にイネスさんとリナさんを見ていた。嫌な予感を察知する。考えたくもないことを。
そいつがイネスさん達に近づき、腕をギュッと掴んだ。
まずい……。
咄嗟に体が動き、杖から魔法を放つ。魔法の渾身の攻撃が一身に当たり、そいつから二人を離すことに成功。だが、ハンマー使いのやつは、仲間が傷ついたことに怒りを覚え、ハンマーを俺の方へと振りかぶってくる。
「ぐぅっ!」
なんとか寸前のところで、抑えることに成功したが、これが長時間続けば疲労が溜まり、負けてしまう。負けてしまったら、恐らくだが、二人はあいつらに捕まってしまう。そう考え、負けるわけにはいかなかった。そんなとき、———ドン!と音が鳴る。
なんだ……?
そう思い、その方を見るとクロードが剣で抑えてくれていた。
「クロード!」
「油断しすぎ」
「あ、ごめん」
注意されるのは、仕方ないと感じた。本当に油断していたから。クロードには感謝しなくちゃ。そして、こんな所でやられれば、魔獣騒動を鎮めることは出来ない。こんな小物達を颯爽と倒さなきゃ、この先道のりはだいぶ長くなると、察知した。
そして、みんなで協力し盗賊達は、捨て台詞を吐き逃げていった。多少傷を負うも、治癒魔法をかければ大したことなかった為、馬車の方に戻る。そこで英気を養うために、小一時間休憩し、昼ごはんを食べ、また出発する。




