33話 旅一日目
旅に出かける当日。黒い馬が用意されており、馬車は大人数が乗れるぐらいだった。
「………流石にダメだったか」
馬の方へ行き、手綱を掴み、馬に乗る。おとなしい性格なのか、大人しかった。俺が乗っても暴れる気配もなく、むしろご機嫌が良かった。
と言うより、俺は友人たちを待っている最中だが、やはり無理だと悟る。彼等は貴族だ。そんな彼等が庶民である俺のために、学院を放棄するなど許されるわけないだろう。
「さて、そろそろ出発するか」
手綱を引こうとした時、後ろから見知った顔がやってくる。
「ちょっと待てって!俺たちもついて行くぜ!」
「あぁ、もちろん!」
「え、家の方はいいの?」
そう聞くと顔を見合わせ、苦笑を浮かべた。
((((((………言えるわけないよね))))))
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エイダン達は無理にでもさせたそうだった。リータ伯爵に関しては反対はされなかったそう。
『父様!俺、学院から去り旅に出ます!』
『庶民の息子とか?あぁ、全然いいぞ』
軽く了承され、ダールベルク伯爵の方も反対はしなかった。だが、苦戦したところもあったそう。アヴェリーノ侯爵家とユスフリカ家に関しては、厳しく言われてるらしい。だが、最終的には許してくれたそうだった。
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「よ、よし!早速行こうぜ!」
「「「「「お、おー!」」」」」
「………?」
エイダン達の様子がおかしかったが、人や荷物などが乗れるような場所に、エイダン達は乗り、手綱を掴んで、発車させる。
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帝国内を出て、草原に出る。馬車で草原を走り、エイダン達は外を眺めていた。
「それにしても、こんな大人数な馬車すげぇな」
「エイダン達がそれを言う?」
「ハハ、まぁ伯爵の馬車がここまでじゃないからな」
「そうそう」
笑いながら言う二人。クロードはイネスさんとリナさんと談笑を交わしており、ディランは外を眺めていた。
(最初はどこ行くかな)
俺はそう思い、ディランに話しかける。
「ねぇ、ディラン。地図を開いてくれない?」
「地図?」
「うん。最初にユスフリカ行こうと思って」
「ユスフリカに?」
「うん。そう」
ディランは地図を開き、東側に位置するユスフリカ王国が書かれているのを確認する。
「二日あれば着く距離だよ。アルベール」
「了解。夜になる前に食料確保、野営設営をしなきゃだな」
イネスさんに言われ、馬車に入れておいた荷物を見ながら、そう答える。
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時間は流れ夜。テントを立て、焚き火を焚き上げる。帝国から持って来た食料を食べ、食べ終わった後、魔獣、魔物の警戒を二人ずつしており、他は馬車で眠っていた。
「ふぅ」
「まだ起きてたの?」
「うん」
馬車からリナさんがやって来た。紫色の髪が靡かれ、俺の横にやってくる。
「どうして最初にユスフリカに行こうと決めたの?」
「うーん、旅に出かけるのだとしたら、最初にユスフリカ王国に行ってみたいな〜、って思ってたし」
大した理由はない。ただの観光気分だった。それに、地図で見るとユスフリカの方が帝国から近いと言う理由だ。
「ふーん、そっか。じゃ、アルベールは一眠りしたら?」
「うん……、そうするよ。でも、一人で大丈夫?」
「うん。時間になったら、ディラン呼ぶから」
「分かった」
俺は馬車の中に入り、寝転がる。疲れていた体が癒しを求めるかのように、瞳を瞑る。




