32話 最終準備
休日の日、朝食を寮にある食堂で食べている最中、俺はあいつらに言おうか迷っていた。朝食はパンとスープ。それを口の中に運び、噛んでいるとエイダン達がやってくる。
「おはよう。アルベール」
「おっす。今日はあんま食べないんだな」
「お、どした?顔色悪いぞ」
ライアンに指摘され、ドキリと来た。鼓動が激しく鳴り続ける。
「え、そ、そうかな?」
誤魔化すため、裏声が出てしまった。鼓動を落ち着かせるため、残った朝食を食べ続けた。
(………言うべきなんかな)
楽しく談笑しながら、朝食を食べる三人を見て、迷い続けてしまった。
(………………いや、ここを出る前にバレるんだ。言う必要があるな)
真剣な眼差しで三人を見続けた。
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三人を別教室に呼び、女子友達であるクロード達も呼びつけた。
「どうした?こんな人気のないところ呼び出して」
「あぁ、みんなに言っておきたいことがあるんだ」
真剣な顔で見たため、ただ事じゃないと察知し、真面目な顔で聞いていた。
「単刀直入に言う。俺は、もう少ししたら、この学院から去る」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔となった。もちろん、驚くのも無理はない。友人が突然、「この学院から去る」といえば、誰だって驚くからだ。
「は……?どう言うことだよ!?」
「そのままの意味。やることが出来たんだ。だから、この学院から去る事になった」
「や、やる事って?」
恐る恐る聞いてくるイネスさんの顔は、悲しそうな顔だった。
「学院長から言われたんだ。世界各地で起こってる魔獣騒動を鎮めてほしいって」
学院長に言われた事を、事細かく説明した。が、納得してくれる気配はなかった。
「なんでそんな大事な役目をお前にさせるんだよ!?」
「………………あっ………………」
大魔導師であるアーベルなんだ!なんて、口が裂けても言えなかった。唇を噛み、どうしようかと考えてる時、ディランが近づいてくる。
「………………言いたくないのなら、別に構わない。それを言える日はあるのか?」
ディランの手が俺の肩を掴み、笑みを浮かべた。
「さぁ………、それは分からない。だけど、いつか言える日が来たら……良いかもしれないな」
俺は別教室に哀愁漂わせるような、言い方をした。ディランの後ろにいるエイダン、ライアンそしてクロード達は心配そうな顔をしながら、俺を見つめる。
「な、なら!俺も一緒について行くぞ!」
エイダンが慌ててそう言った。少し後ろに下がってしまうほど、多少の圧を感じた。
「俺も!俺も行くぞ!」
続いてライアンにクロード、イネスさんにリナさん、そして最後にディランが言った。
「………………別にいいけどさ、みんな貴族の人じゃん。そう言うの厳しいんじゃない?」
予想で言うと、苦い顔となった。やはり、貴族の息子や娘なら学院を去ろうとするなんて、言語道断。そのため、そう簡単に行かないというわけだ。
「大丈夫!なんとかしてみせる!」
「「「「「あぁ!/うんうん!/やってみせるよ!/もちろん」」」」」
一斉に言ったため、流石に全部は聞き取れなかった。
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それから時間が流れ、旅に出かける前日。またもや学院長室に呼ばれたため、行ってみると、エイダン達が居た。
「なんでこいつらがここに?」
「あぁ、俺に直談判して来たんだ。一緒に連れて行ってほしい。と」
(マジか)
それから、学院長の説明を聞き、地図、馬車用の手綱、そして馬を用意してくれた。
「ありがとうございます。学院長」
学院長にお礼を言い、エイダン達と共に、学院長室を出た。
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「ハァ…、行動が早いな」
「あはは……」
頭をかきながら、苦笑するライアン。廊下を歩き、俺は男子寮に向かった。
「………ふぅ、これである程度の着替えを入れたかな」
私用私物を革製の鞄の中に入れ、最終準備を整える。
「こことも、おさらばだな」
少し名残惜しく感じるが、しょうがない事だった。
———学院から、去ろう。そして、世界各地に起こっている魔獣騒動、炎の晶石を調べる旅に。




