29話 上級魔法
「くっ!一体なんだよこいつ!!」
暴れ狂うゾウの姿の魔獣。俺は地面を強く蹴り、魔法を放つ。
「『雷の嵐!!』」
杖の先端から光が放たれ、空には魔法陣が展開される。そこから、雷がゾウの魔獣に向かって放たれる。ビリビリと雷がゾウの魔獣の全体を大きく刺激する。
「すげぇ、やっぱり名が知れているだけあるな」
先輩が、俺を見ながらそう呟いた。実際、知っているのは先輩だけ。
「くっ、ガチで硬すぎる……」
魔法を放っても全然倒しきれなかった。騎士団と協力しながら、やっても歯が立たなかった。
「どうしたら………」
「デイヴィス!大丈夫か!?」
「あ、あぁ」
地面に降り立ち、どうしようか。と考えていると、先輩が剣を握りしめ、剣幕な表情で敵を見ていた。
「俺があいつを切り刻む。デイヴィスは強力な魔法を放って!!」
「…………分かった!」
大丈夫か。と思ってしまったが、何故か平気な気がした。何故なら、地鳴りがするから。
「な、なんだ!?」
地鳴りで騎士団はパニック状態。俺は先輩の方見て、ニヤリと口角を上げた。
「あいつは森の方角からやって来た。つまりは………」
「あぁ、守り神を怒らせた」
地面に穴が開き、地中からモグラのような姿をした大きい生物。そいつが牙を剥き出し、魔獣に突っ込む。噛まれたことにより、雄叫びをあげ、それを隙に先輩が剣を握り、地面を蹴る。そして、魔獣の腕を切り刻み、俺が上級魔法の詠唱を唱える。
「『炎の槍、神を汚すものには死を。遍く出現する炎の槍!!神の炎槍!!』」
空に広がる魔法陣の数々。そこから炎に纏われた槍が出現し、多数の槍が降り注ぐ。それはまるで神の怒りを買ったかのようだった。
「これで終わりだ」
炎槍が瞬く間に魔獣に突き刺し、またもや大声で雄叫びをあげる。今度は悲痛な叫びであった。もぐらのような生物は、嫌な予感がしたのか、土に帰っていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
「デイヴィス、やっぱすげぇな」
「………………まぁ、元々魔力量は多かったし」
「知ってるよ。だから今じゃ大魔導師って言われるんだからさ」
俺だけにしか聞こえないように、小さく呟き、顔を見る。
「もちろん、誰にも言わない。安心して」
「つっても、どうやって安心しろと?」
「なら、言ったら切腹する」
「ごめん、それだけはやめて」
危険な事を言ったが、今回はスルーしちゃいけないと直感で、そう感じた。
———その日から、また一ヶ月。
校舎内の廊下を歩いていると、先輩に出会った。
「ここにいたか」
「どうかしたんですか?」
「ちょっと魔石を調べたいんだ。少し来てくれないか?」
真面目な顔つきで、そう言ってきた。疑問符を浮かべ、なんのことだろう。と感じ先輩の後ろをついていった。
ついた先はまさかの場所だった———。




