23話 魔獣襲来
そこから数時間が経ち、夜となっていた。
(なんか、外が騒がしいな)
騒がしさで目を覚まし、窓を開けると帝国の外には何故だか、魔獣が現れていた。
「何で!?」
さっきまで感じていた眠気が覚め、急いで外に出ると、帝国内にいる住民達は、悲鳴を上げながら、逃げていた。
(ガチでこんな時に………!)
アルベールは急いで、帝国の門がある場所まで走りにいくと、そこには帝国の騎士団達が守りを固めていた。
「ここから一歩もあいつらを通すなよ!!」
活気満ち溢れるその光景はまるで、あの時を思い出してしまうほどだった。
(炎の壁…。溢れんばかりの魔獣達…。一体全体何がどうなってるんだ!?)
何故このような状態となったのか。魔獣がやって来た前の時とは違い、あの時よりも魔獣の数は増えていた。大きいものから、小さいものまで。魔法を放つものや、強固な鉄壁の壁を作る奴までいた。
この時、一つの言葉がアルベールの頭に浮かぶ。それは“死”。彼は、死を体験したことがあるため、それがどんなに痛く、寂しいものか…。
ここで死ぬ訳にはいかなかった。
(俺の終着点は、ここじゃない………!)
あんな事が起きたとしても、自分の体が動く限り、戦い続けなければならない。そう彼は思っていた。その為、杖を召喚する。木で出来た杖、先端は魔石のような物が埋め込められている、アルベールだけが使える随一の武器。
アルベールはもっと前衛に向かって行った。そんな時、そこから近いところに、彼の友人達がいる事を視界に入り、確認する事ができた。体がそっち方向に向き、友人達の方へ走っていく。
「おーい!何があった!?」
「アルベール!?何でここに!?」
アルベールが近づくと目を見開き、信じれないものを見たかのような、顔となっていた。
「何が起きたの!?」
「俺たちもわかんないんだ。突然押し寄せて来て」
「ん、アルベール何か光ってるぞ?」
「え?」
アルベールが首につけていた炎の晶石が、赤く光っていた。
「それなに?」
「炎の晶石って言うんだ。マーティナ・ヘルグビュイが作ったとされる最初の魔石」
「「「「「え、ぇえええええええ!?」」」」」
そう説明すると、驚愕していた。1人除いて。
「ねぇ、アルベール。それは僕と君だけの秘密って言ったよね?」
「ごめん。今はそれを言うところじゃないかな。って思って」
ディランから肩を引っ張られ、形相の顔で言われるも、冷静なもの付きでそう答えた。
(だけど、何で魔石が光ってるんだ?)
状況が状況のため、混乱してしまうが、魔石が光、魔獣が来た、もしくは魔獣が来たことにより、魔石が光った。と言う可能性がアルベールの脳裏に現れる。
(確かめる必要がありそうだ)
アルベールは友人達の元から走り去り、魔獣達の方に駆け寄った。駆け寄った際、魔石の光は更に強くなる。
「これは………!」
赤く光る魔石、炎の晶石は止むと言う言葉を知らないのか、一向に止む気配が感じられなかった。
(とにかく、何か変化があるかもしれない。俺も戦おう)
杖を天に掲げ、詠唱を唱える。杖の先端についてある魔石と彼の首につけてある魔石が、交互に反応を示した。
「『炎の突風!!』」
風に纏わりつく炎が、魔獣の周りを回転し、次から次へと炎が魔獣に引火する。倒れた魔獣には何か違和感があった。
(ん?倒れて消滅したかと思ったら、これは………魔石?)
宝石のようなキラキラした石が、突如出現した。
「それは!?」
「え?」
「魔石魔獣!」
「魔石魔獣?」
近くにいた騎士兵がそう叫ぶと、周りにいた人たちはざわつき始めた。
魔獣と魔石魔獣と言う魔獣が存在する。魔獣は一般的に倒せば、何も落とさないが、魔石魔獣は倒せると魔石を落とす。今回は大半は魔石魔獣だったのだ。
(でも、何でそんな物が………。もしかして、この魔石の光に……?分かんないな)
魔石魔獣の倒れた場所で、魔石を見つめながら思うも、結論は出なかった。まだ魔獣はいた為、後援に行こうとしたところ、大きな影が“女の子”を包み込んだ。
(女の子!?何であんなところに!!)
ガタガタと震えるその子の足はついに、崩れ落ち、床にお尻をつけてしまった。その光景はまるでゆっくりと流れており、魔法を放つ時間もなかった。
アルベールは地面を思いっきり蹴り、魔獣の攻撃が当たらないように、女の子を庇ったが、
「………………ッ!?」
爪が背中に刺され、地面に転がり込んだ。
「ぐぅっ……」
(くそ、そもそもなんで魔獣が突然?)
それよりも背中が熱かった。ふと女の子を見ると、目頭が熱くなったのか、涙を流していた。
「………………」
(そういや、あいつもこうして泣いて………。泣いて?そっか。やっぱ合ってたんだ。夢に出て来たあいつと。いや、あれは夢じゃない。記憶の一部だ。大魔導師としての)
泣いている女の子を宥めるように、必死に手を伸ばし頭を撫でた。
「よしよーし。大丈夫。魔獣なんか、俺がやっつけるから」
「でも………っ!」
「平気平気。さ、早く行きな。ここは危ないから」
「うん………」
女の子がどうしてここにいたのか。理由は知らないが、アルベールは立った。
「ふっ、なんだよ」
(あの時は、黒い何かに吐かれて、そのまま病死した。だけど、今じゃそんなに脆くない。そう簡単には死なないさ)
杖を召喚し、至近距離で魔法を放った。至近距離で攻撃を喰らったため、貫通し魔獣は成す術なく倒れ込んだ。
「ふうっ、まだだ」
月夜が照らされるそんな日に、魔獣と人の戦いが始まった。それはまるで1万年前にあったような、そんな戦いが。




