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15話 人質

———嫌な予感がした。


アルベールは授業終わり後、急いでクローヴィスの部屋に走っていった。


「………!い、いない………」


クローヴィスが住んでいる部屋は、もぬけの殻だった。


(一体、なにがどうなってんだ………)


外に出て、行ける場所を探したが、どこにも居なかった。そんな時、女子寮の方から、イネスが慌ててやってくる。


「大変!」

「………!どうしたの?!」

「ハァ…ハァ…ハァ…ッ、リナがいないの!」

「………!?」

(やっぱり………)


イネスの双子の妹であるリナが部屋にいなかった。普通なら、トイレだとか、図書館だとか、外に出ている可能性がある。だが、リナは体調が悪く、学院を休んでる。そして、午後の授業からクローヴィスの姿を見ていない。だから、もしかして。と思い、急ぎめに帰ったが、遅かった。


「一体、どういうこと?」

「俺のクラスメイトに聞いたんだ。ヘルツァンバイン家は三人兄弟。クローヴィスの上には二人の兄がいるということを。だけど、噂ではあいつは一人っ子。その為、教師に聞くと、あいつは正真正銘の一人っ子だった」

「おかしい………。だけど、それがリナのいなくなったことが、結びつくの?」

「本で調べたんです。ヘルツァンバイン家では、古き時代から、“なにか”をしていた。それは、生贄」

「え………!?」


ヘルツァンバイン家の言い伝えでは、ドラゴンを操ることのできる。その為、ヘルツァンバイン家の紋章はドラゴンだ。だけど、もう一つ言い伝えがあった。それは———。


「“王家の血を引き継ぐもの、古き時代より、竜の力になるべし”」

「え?」

「本に記されていたんです。古代本に」

「それって………、どういう意味?」


恐る恐る聞いて来たイネスの、額には冷や汗と思われる汗をかいていた。


「そのままの意味です。ヘルツァンバイン家はドラゴンを使い魔とし、操れることが出来る。そのためには、王家の娘の血、一滴が必要になるんだそうです。つまりは———」

「………………!?ま、まさか………」


イネスはアルベールの方を見ると、彼は視線を逸らした。


「なんで………、なんでリナが………」

「おそらく、簡単に攫いやすかったからでしょう。とにかく、リナさんがどこにいるか。探さないと」

「もちろんよ!リナを………妹を必ず見つけ出す!!」


イネスの美しい顔が、涙でぐちゃぐちゃとなっていた。



古い時代で、ドラゴンを操ることのできるのは、女性だけと言われていた。そのため、ヘルツァンバイン家では男の子より、女の子が大事にされていた。だが、今回は男の子であるクローヴィスが生まれたため、ドラゴンを操ることのできず、ヘルツァンバイン家では迫害の存在とされていた。その応用として、“王家の娘の血”と言われている。同い年にユスフリカ王国の王女たちが、入学して来たことを知った、彼はたまたま寮部屋で寝ているリナを、攫い。


結果的に人質となったリナ。勝手にクローヴィスは家に帰っていた。ドラゴンを操って。リナは口を布で塞がれ、両手両足は縄で拘束されている。


「父さん、これでいいんでしょ………」


クローヴィスは父親から視線を逸らし、リナの方を見ていた。リナは恐怖に怯え、震えている。


(お姉様………!)


ぎゅっと目を閉じ、目頭には涙が溜まっていた。クローヴィス達は、このままリナをどうするのか。何故、拘束までするのか。それは誰にも分からなかった。

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