12話 魔獣退治
光の粒が、空から降り、倒れているもの達を包み込んだ。それはまるで神からの贈り物のように。
「な、なんだ?これは」
騎士団達は驚きを隠せず、呆然としていた。だが、確かに騎士兵達の傷は癒えていく。
「ハハッ、もしかしたら、神様からの贈り物なのかもな。………………行くぞ!」
「はい!」
希望が見えてきた。そんなのお構いなしに、ケルベロスの噛みつき攻撃は再び始まり、騎士兵隊はそれに構える。
「構えろ!!」
「『電撃の灯火よ。我、聖域を汚すものに鉄槌を!
雷の神罰!!』」
何者かからの攻撃が、ケルベロスに当たった。
「は………、一体、誰が………」
後ろを振り向くと、そこには杖を持った少年が立っていた。
「あれ、あれで倒れなかった!?」
雷の電撃を喰らっても、ケルベロスは倒れなかった。
(今の攻撃は、あの少年が?それにあの杖……。古代式魔法か?今の時代に?)
「まだあいつは倒れていません!」
「………!くそっ!」
少年の声で、騎士団達は警戒体制を崩さず、対応した。
「くそ、もう少し高く飛べれば………!」
「なら、これを使ってください!」
杖の先端が光、空中に動く足場ができた。
「………!これで行ける!」
勝算が高まると思い、足場が増えていき、ケルベロスを追い越すまで足場が高くなり、ジュールの持っている大剣を力一杯振り絞り、ケルベロスを切りつけた。そこから次々と騎士兵達が、上に上がり、次々と斬りつける。
「そこのお前、トドメを頼んだ!!」
「………………ッ、はい!」
杖を前に出し、魔法を唱える。
「『電撃の灯火よ。我、聖域を汚すものに鉄槌を!
雷の神罰!!』」
先程撃った魔法を最大限に放ち、またケルベロスに当たる。轟音が響き渡り、今度はトドメを刺すことが出来た。ケルベロスは黒焦げになり、そのまま地面に倒れる。
「ハァ…ハァ…、よっし」
「倒した……」
「やりましたね!団長!」
「あぁ」
少年はその場から立ち去り、第二騎士団の方に向かって行った。
「あれ、さっきの少年は?」
「あれ………?先程までいましたよね?」
ーーーーーーー
第二騎士団の方では、未だにミノタウロスと戦っていた。
「くそっ!相変わらず強いな………!」
「どうしますか!?オリバー団長!」
(どうする……、このままじゃ………!)
再び、ミノタウロスの斧攻撃がやってくる。それは今度は広範囲にだ。
(まずい、次の攻撃は避けきれない………!)
広範囲に広がれる攻撃は、騎士団達が避けきれない攻撃だった為、死を覚悟した時、颯爽とミノタウロスの攻撃を防いだものがいた。
「ぐっ!………ま、間に合った〜………」
「………!き、君たちは………」
ミノタウロスの前に立ちはだかったのは、剣を持った少年少女だった。
「ディラン、やれる?」
「あぁ、もちろんだ」
少女と少年は剣を片手に持ち、ミノタウロスとオリバーの間に立ち、颯爽とミノタウロスに打撃を与える。
「よし、ハァっ!!」
地面を強く蹴り、跳躍し、
ザシュッ!
と音を立て鋭い剣で切り刻む。
「ディラン!」
「もちろん!」
少女の打撃を与えた後、少年が魔法を放ち、炎が空高く舞う。炎に包まれているミノタウロスは、焼き尽くされ、断末魔を上げながら、地面に
ドスン!
と音を立て倒れた。
「………!あの子は………!」
「知っているのか?」
「はい!騎士団で有名なクロード・アヴェリーノです!」
「クロード・アヴェリーノ………だと!?」
「あの、女でありながら、“剣豪”と言う称号を得た人物………!?」
クロードの名前が明かされた時、第二騎士団はざわつき始める。
「あの“剣豪”の………」
オリバーは驚いた表情で凝視していた。
「よし、やったね!ディラン!」
「あぁ。そうだね」
目的を果たした二人は、その場から立ち去っていくところを、オリバーに止められる。
「なぁ!あんたら!」
「「ん?」」
後ろを振り返り、不思議そうにオリバーの顔を見ていた。オリバーは真剣な眼差しで二人を見る。
「助けてくれて助かった。ありがとう」
「いえ、それほどの事じゃないですよ」
「気にしないでください」
笑みを浮かべ、謙虚に答えた。謙虚に答えた後、オリバー団長達に背中を見せ、その場から去って行く。
ーーーーーーー
第三騎士団の方では、未だにキマイラと戦っていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…、強すぎる………だろ」
剣を地面に突き立て、膝頭を地につける。
「どうしますか!団長!」
アンドレア達、第一騎士団は敵に成されるがままだった。キマイラの火を吐く攻撃はまた繰り返され、炎の海になっていく。周りにある家は焼け尽くされている。
「くそ、家までもが………」
火は侵食し、家を焼き尽くしていく。それをお構いなしにキマイラの攻撃が止むことなかった。
「くっ、またか!」
再びキマイラの火攻撃が、放たれ、その標的はアンドレアに当たろうとしていた時、
(ここまで………なのか?)
“死”がアンドレアの脳裏に浮かび上がる。死を覚悟したアンドレアは最後の役目を果たそうと、剣を固く握りしめた。
「『水の壁よ。可なものを守る為、立ちはだかれ!
水の障壁!!』」
水流の壁が、キマイラの火の攻撃を防いだ。
「はっ……?お前らは………」
少年が水流の壁を出していた。
「よし、俺に任せろ!」
赤髪の少年が少年の後ろから、飛び出し、炎の魔法を放つ。
「『燃えろ、炎の鉄槌を浴びせろ!炎の銃弾!!』」
炎の玉が勢いよく、キマイラに当たる。
「まだ終わりじゃないぞ……。『電撃』!!」
電撃が当たり、敵の体には電気が走りまくり、敵の体は硬直し、成せるがままに倒れて行った。先程まで苦戦していた相手とは思えないほど、呆気なく散っていった。
「あのキマイラが、呆気なく散っていった………だと?」
アンドレアは目の前に起こっていた光景を疑った。あれだけ、苦戦した相手か、やって来た少年たちの手によって、あっという間に倒されたことを。
(何者なんだ?あの巨大魔獣を倒した、こいつらは………)
驚倒し、少年二人を見ていた。
「お前ら、助けてくれてありがとう。助かった」
「騎士団長に褒められた………」
「い、いえ。そんな事はありません」
(………………!あの服装は………、レーイルダ魔術学院の制服だな……。つまりは、目の前にある少年たちは………)
第一騎士団であるアンドレアだけ気がついた。彼らが、帝国内の名門校、そして他国からも入学者が多いレーイルダ魔術学院の生徒であることを。
(あの学院は、貴族学院と呼ばれているほど、学費が高い………。つまりは、どこかの貴族………と言うことか)
確信をつくように、エイダン達に視線を向けた。エイダン達はその場から去り、魔獣退治を成し遂げた。学院に戻ると、教師達から大目玉を喰らったが、それと同時に褒め称えられた。学院では、ひとときの間有名人となっていたが、すぐさま途絶えた。魔獣退治はこれにて終了。
———だが、裏では、何かが動いていた。それを彼らは知らない。知る術もなかった。




