表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1、

 

 

「公爵令嬢リアラ様、貴女は王太子の婚約者に相応しくありませんわ!」


「はあ──だから?」


 貴族が通う高等学園の卒業パーティで。


 突如、会場中心部で声高々に宣言するのは、先日聖女認定されたばかりの令嬢だ。


 たしかどっかの男爵令嬢だったかな。


 そんな聖女にビッと指をさされたるは、私──公爵令嬢リアナ=ローリングだ。


 ポリポリと頬をかいて気のない返事をすれば、聖女の顔が一気に赤くなる。


「だ、だからですって!?だからとは何ですか、だからとは!!」

「いやだから?なんなんですか、いきなり?」


 話が通じないなあ。折角の楽しいパーティが台無しじゃ無いか。いいからとっとと話、進めてくんないかなあ。


 明らかに面倒くさい、と顔に書いてる私を見て一瞬ポカンとなる聖女だったけど。


 ハッと我に返り、強気の笑顔を浮かべる。


「ふ、ふん、強がってられるのも今のうちですわ!貴女はもうすぐただの令嬢──いえ、令嬢ですらなくなるんですから!」

「だから?」

「だから、じゃないわよ、ムキー!!」


 うわ、ムキーとか素で言う人初めて見た!居るんだ、こんな人!


 ちょっと引くわあ……そう思ってそのまま、少し体を引けば。


「逃げるの!?この卑怯者!」


 と、意味不明な罵りを受けてしまった。


「はあ……もう、だから?だから何なんでしょうか貴女は?いきなり失礼ではなくて?」


 いくら聖女認定されたからって、公爵令嬢である私にその態度は流石に無礼だと思うんですけど。


 そもそも私は彼女とまともに話をした事が無い。


 貴族が通う高等学園。学園内では全ての者が平等となっている。

 が、表面上はそうであっても内情は違うのが常なのが世の中だ。


 特に交友関係ともなると複雑になるもので。

 公爵令嬢である私は、幼い頃から仲の良かった同じ公爵令嬢や侯爵令嬢との付き合いばかりだった。


 申し訳ないが……男爵令嬢とは授業以外でお話しなどした事は無い。


 ましてや、クラスも違うとなれば……。


「ふん、失礼ですって?私が聖女に選ばれたのは周知の事実!聖女である私の方が貴女より上の位ですわ!」

「それは初耳です」


 本当に初耳だ。なのでそう言ったら、小馬鹿にしたような笑みを浮かべて見下してきた。うわあ、醜い……。


「は!所詮は箱入りのお嬢ちゃんね、こんな有名な話も知らないなんて!」


 そして口に手の甲を当て、彼女は高らかに宣言する。


「覚えておきなさい!わたくし、ローディアは先日神殿にて聖女の認定を受けたのです!わたくしこそが聖女!この国を幸せに導く者。神の代弁者と心得なさい!」

「はあ……だから?」


 そこまで言っても未だ私の反応が薄い事に業を煮やしたのか、ダンッと力強く床を足で蹴り、彼女はビッと私に指をつきつけてきたのだった。


「だから!私こそが王太子の婚約者に、つまりは後の王妃──国母に相応しいという事よ!」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ