表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

746/750

038 「外伝・戦後日本の軍備(1)」

 (※舞台裏・メタフィクション視点となります。)


●第二次世界大戦後からの略歴:


 ●大戦直後:


 ・ドイツ占領統治での日本:

・ドイツなどの占領統治では、日本は補助的な役割しか果たさず。

・1948年の再独立まで一部の部隊がドイツなどに駐留。

・ベルリンの象徴的な分割占領への参加以外では、ドイツ南部、オーストリア、チェコに駐留。

・規模は、当初は2個軍団(10万名)程度。すぐに半減。

・駐留は一時的で、アメリカとの共同占領地域も多かった。

 (日本単独では広すぎる地域のため。)

・大半はソ連との欧州での睨み合いが始まるまでに撤退。アメリカなどに引き継ぐ。


・一部はドイツが再軍備する1955年頃まで駐留。

・その後は欧州に兵力は置かず。

・NATOには加盟しない。

・ドイツ南部、オーストリア、チェコなどの文化の一部が、将兵により日本に伝えられる。

・イタリア、南仏文化なども同様。

・英本土では田舎の基地ばかりだったので、イギリス文化はあまり日本に伝わらず。


 ・戦後すぐの日本軍:

・戦争が終結すると、80%以上の兵士を短期間で動員解除。

・ソ連の脅威があり、欧州の占領軍が必要なので、アメリカほど極端な動員解除は行われず。

・1948年に60万人体制となるが、第二次世界大戦前の約二倍の規模。

・時代の変化で、巨大な常備軍を保有せざるを得なくなった為。

 (戦前は戦時の大量動員(もしくは根こそぎ動員)を前提とした軍備)

・陸軍45万、海軍15万の配分で、陸海軍双方の航空隊(空軍)の巨大化に伴って海軍の巨大化が顕著。

 (戦前の最も少ない時期は、陸軍22万、海軍4万)

・新装備、新兵器を残したので軍の大幅な近代化は実現。

・余剰兵器は満州国、中華民国などに安価で売却または譲渡。


 ・近隣情勢:

・台湾、朝鮮半島は日本領のまま。南洋諸島も同様。

・ソ連への対抗から西欧諸国との友好関係が必要なので、東南アジアの独立を支援しない。少なくとも戦後すぐは何もせず。

・東南アジアでの独立は、アメリカが行なったフィリピンのみ。

・他は史実のように日本軍の侵攻、占領統治がないので、前体制が維持されている。

・それでも大戦で西欧列強が弱体化したので、インドシナは紛争化、インドネシアも混乱が始まる。

・ビルマはインドのおこぼれで独立するが、中心となる政治勢力がないので当初から混乱。


・インドシナは現地フランス軍が日本から貰った兵器を使い、インドネシアではスカルノが史実のように日本軍の訓練を受けず、ビルマのアウンサンも同様。



 ●軍の組織(省庁)再編:


・戦争中の数々の失敗、不手際、手痛い敗北、他国との連携の不備、他国からの厳しい指摘などから、戦中から進められた改革、改変で陸海軍の有機的運用、空軍の創設、そして省庁の統合に関する道筋が作られる。

・しかし改革と混乱が10年にわたって続く。

・1954年に陸軍省、海軍省を統廃合する形で、「国防省」が発足。しかし実際は、国防省は文官組織として新規編成に近い形で発足。軍政家の多くが国防省に移籍。

・併せて、正式に空軍を創設。(陸海軍から主要な航空隊を分離)

・士官学校、兵学校の統合は行われず。空軍も士官学校を作る。

・ただし、空軍にできる限り学校を作らせない為、兵科以外の学校(後方職種の経理・衛生・獣医・軍楽・技術・法務など)は当時の内閣の音頭取りで統合。横須賀に国防大学が作られる。

・陸軍幼年学校は、第二次世界大戦での将校数の肥大化、戦中、戦後の一般将校の激増で形骸化。時代の変化で役割を終えたとして1946年に廃止。

・軍人数は、陸軍40万、海軍10万、空軍10万程度になる。

・他、国防省は人員約4万人で構成。



 ●東西冷戦時代:


・1950年の「中華戦争」。51年からの派兵で戦後の軍縮気運がようやく消え、軍の再動員、再編成が進む。

・徴兵制は維持(実質的には選抜徴兵制)。

・「中華戦争」で、予備役の召集など動員を一部強化。軍全体も100万近くに拡大。

・内陸での戦争なので、海軍は不遇の扱い。

・空軍の編成、組織化が進む。


・1967年から約5年間の「ベトナム戦争」への派兵で、軍の規模が再び拡大。軍事費も大幅に増加し国庫を圧迫。

・最盛時には10万を超える兵士が、ベトナムに派兵される。

・部隊の規模が拡大され、一部徴兵が強化され、さらに予備役の一部が動員され、最盛時の軍人数は80万に達する。

・海軍は一部見直される。


・1970年代、80年代前半は国自体が低迷するので軍事費も減少。ベトナム戦争撤退の動員解除で、兵員(徴兵)数も減少。

・人口に対する軍人数の減少で、徴兵制度の形骸化が進む。

 (1歳当たりの成人男子が100万人を超える時代に総兵力は60万。志願兵、職業軍人も多いので徴兵割合が大幅に減少。徴兵が1年半として、徴兵は4人に1人程度)

・1983年、ソ連に対抗する為のアメリカの軍拡に呼応し、軍備拡張と軍の近代化を推進。

・1990年、東西冷戦終了で大幅な軍縮を開始。


・1990年、「湾岸戦争」に東西冷戦時代に作った巨大な軍の一部を派兵。

・1992年、徴兵制を大幅に緩和。陸軍を中心とした兵員数の大幅削減もあり、ほぼ志願制になる。(60万→45万)

・2001年、徴兵制を廃止。完全志願制に移行。

・21世紀に入り、非対称戦などに対応するも、兵員数は志願者の減少もあってさらに削減。

・21世紀序盤、主な脅威はロシアと中華人民共和国(の核兵器)。

・軍全体は海外展開を前提としている。


(※北朝鮮は存在しない。韓国はやる気なし。ロシアは満州をまず相手にしないといけないので、日本にはあまりちょっかいを出せない。共産中国は内陸国なうえに、中華民国と米軍が相手。)



●東西冷戦時代の軍備(1):


 ●日本以外の状況:

・基本的には史実に準じる。

・但し、東西ドイツが最初から統一ドイツ状態。

・チェコとスロバキアが東西陣営に分かれた状態。

・中華地域が分裂状態で、対ソ連だと満州国が存在。

・中華地域中央は東西陣営に分かれて対立。

・満州には日本軍、中華民国にはアメリカ軍の大部隊が駐留。


・ソ連が受ける、西側からの脅威は史実よりずっと大きい。

・東ドイツ、チェコを欠くので、東側陣営の重工業の厚みが薄い。

・ソ連は、史実よりも早く通常戦力での対抗に見切りをつけ、核戦力の拡大に傾く。


・ソ連が史実よりしょぼいので、軍事を中心とした技術開発競争が史実より少し鈍化。主人公による影響とでほぼ相殺。


 ・欧州正面:

・ドイツは国土、人口の違いにより史実の西ドイツより20%増し。

・ドイツ連邦軍(陸軍)は史実の10個師団基幹ではなく12個師団基幹。

・チェコが西側。

・史実との比較だと、東側計算で陸軍の場合は3個軍団(9個師団)を中核とする戦力が西側になる。

・差し引き、東側はその倍の戦力を失ったに等しい。

・領土の縦深でも東ドイツ、チェコの分だけ東側が短い。

・ソ連の対西欧向けの軍団(軍集団)は、ポーランドに駐留。

・距離と戦力を合わせると、東側(ソ連)は史実と比べて1個軍集団の戦力が減ったに等しい。


 ・極東:

・満州、朝鮮半島北部、樺太、千島が西側陣営のテリトリー。

・オホーツク海の制海権も半分以上が日本側。

・在日米軍はいないが、それ以上に日本軍が強力。

・冷戦開始当初から、ソ連は極東での大きな防衛負担が重くのしかかる。

・史実での中ソ対立はないが、負担はより大きい。

・満州軍の規模、編成、兵器レベルは、史実韓国軍の2倍が目安。

 (1980年代で陸軍100万体制。)


・ソ連軍は、平時戦力の3割を極東に配備して対抗。

・オホーツク海では、樺太全島、千島列島がなく、海峡の大半が自由に使えないので、水上艦艇は当然として潜水艦の移動も難しい。

 (日本が厳重に監視する対馬海峡、宗谷海峡、津軽海峡を抜けないといけない。間宮海峡は浅すぎる。)

・極東中枢(沿海州)は、西側に半包囲された状態。

・ソ連海軍は、黒龍江の奥(コムソモリスクナアムーレ)で軍艦を建造し、オホーツク海の北側を回ってカムチャッカ半島の先を抜けるルートを基本的に使う。



 ●日本軍の概況:


・第二次世界大戦後、米ソ両大国に次ぐ軍備を保持。

・東西冷戦中は、主に極東でソ連と激しく対立。西側陣営として極東軍備を一手に引き受ける。

・軍事費は高い対GDP比比率を維持(3〜5%)。

・高い軍事費は、国庫に負担をかけ経済成長の足かせとなる。

・それでも戦前の1930年代より、かなり低い比率の軍事費となる。


・1954年に正式に空軍を創設(陸海軍から分離、統合)。

・軍全体の司令部組織は統合される。だが海軍の政治力の弱さがたたり、名称は「統合参謀本部」。「軍令」の名は消える。

 (※以前は陸軍が参謀本部、海軍が軍令部。)


・国内軍事産業の生産力の保護と独自性維持の為、アメリカ製兵器の導入は消極的。

・史実のような1970年代、80年代の日米貿易摩擦があまりない。

・国力、予算、それに史実とは違う日米の関係もあり、アメリカの兵器を爆買いしない(できない)。

・同盟国価格で安く、性能の高い兵器を買う程度。


・でも海軍は値段も維持費も高いF-14を頑張って買う(喉から手が出た状態)。

・アメリカも、製造会社がピンチなので積極的に販売し、格安セール。

・F-14を買ったせいで、海軍は艦艇を何隻か建造出来ず。

・空軍は金がないのでF-15を買いたくても買えない。

・買うとしても、F-4の次はF-16になる。だが、大半は米軍機より安く少し性能に劣る国産になる。状況は西欧の大国に近い。

・冷戦時代にイージスシステムの導入はない。

 (史実ほど関係が深くない事もあり、アメリカが簡単には売ってくれないし、日本も買う意思はない。だが独自開発のレーダーの性能はかなり劣る。史実の欧州諸国と同程度かそれ以下。イージス導入が行われるとしても21世紀に入ってから。)

・陸軍部隊は、史実の自衛隊のように大隊を解体して小型編成にはしない。大隊編成を基本とした通常の師団編成のまま。


.。゜+..。゜+.玲子の部屋.。゜+..。゜+


お嬢様「半分も内容が分からないわ」

龍一「じゃあ、じっくり説明してやろうか」

お嬢様「アレ? 龍也叔父様じゃないのね」

龍也「私もいるよ」

龍一「東西冷戦時代は、俺の担当だけどな」

お嬢様「そうか。龍也叔父様は、実質政治家だったものね」

龍也「確かに戦後は、軍務局長、陸軍次官、国防大臣。退役後も、請われて大臣を転々と。我ながら呆れるよ」

お嬢様「龍也叔父様は何でも出来てしまうからでしょうね」

龍也「便利に使われただけだよ」

龍一「俺は、中華戦争、キューバ危機、ベトナム戦争、ソ連との睨み合い、と忙しかったぞ」

龍也「龍一は中央より現場が好きだったからな」

お嬢様「湾岸戦争は?」

龍一「もう、息子の代だったよ。あの頃だと、俺たち70だぞ」

お嬢様「ああ、そうか」

龍也「私はそれくらいの時期に他界したから、そのあとの話を聞きたいものだね」

龍一「はい! 幾らでも」

お嬢様「話が長くなりそうだから、続きは内容見てからしましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝見しています。時代の流れを拝見するにつけ、この場面ではどういった活躍をしたのかなとか想像してしまいます。全編でなくてよいので、ぜひいくつかの場面でのお嬢の活躍や周辺の人物の様子を描いてい…
東アジアで西側の縄張りに手を出したらカムチャツカや沿海州ぐらいは喪失する覚悟が必要そうですし、核戦力、宇宙開発や宣伝戦に力を入れていたのかな。 後は内部引き締めとか。
ソ連と熱戦になることはなかった、と。 ロシアの、樺太・千島に対する執着はどの程度激しいか、も問題になりますね。 ソ連の弱さが科学・宇宙競争をどう動かしたか…現時点までの科学を主人公がどれだけ知ってい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ