038 「外伝・戦後日本の軍備(1)」
(※舞台裏・メタフィクション視点となります。)
●第二次世界大戦後からの略歴:
●大戦直後:
・ドイツ占領統治での日本:
・ドイツなどの占領統治では、日本は補助的な役割しか果たさず。
・1948年の再独立まで一部の部隊がドイツなどに駐留。
・ベルリンの象徴的な分割占領への参加以外では、ドイツ南部、オーストリア、チェコに駐留。
・規模は、当初は2個軍団(10万名)程度。すぐに半減。
・駐留は一時的で、アメリカとの共同占領地域も多かった。
(日本単独では広すぎる地域のため。)
・大半はソ連との欧州での睨み合いが始まるまでに撤退。アメリカなどに引き継ぐ。
・一部はドイツが再軍備する1955年頃まで駐留。
・その後は欧州に兵力は置かず。
・NATOには加盟しない。
・ドイツ南部、オーストリア、チェコなどの文化の一部が、将兵により日本に伝えられる。
・イタリア、南仏文化なども同様。
・英本土では田舎の基地ばかりだったので、イギリス文化はあまり日本に伝わらず。
・戦後すぐの日本軍:
・戦争が終結すると、80%以上の兵士を短期間で動員解除。
・ソ連の脅威があり、欧州の占領軍が必要なので、アメリカほど極端な動員解除は行われず。
・1948年に60万人体制となるが、第二次世界大戦前の約二倍の規模。
・時代の変化で、巨大な常備軍を保有せざるを得なくなった為。
(戦前は戦時の大量動員(もしくは根こそぎ動員)を前提とした軍備)
・陸軍45万、海軍15万の配分で、陸海軍双方の航空隊(空軍)の巨大化に伴って海軍の巨大化が顕著。
(戦前の最も少ない時期は、陸軍22万、海軍4万)
・新装備、新兵器を残したので軍の大幅な近代化は実現。
・余剰兵器は満州国、中華民国などに安価で売却または譲渡。
・近隣情勢:
・台湾、朝鮮半島は日本領のまま。南洋諸島も同様。
・ソ連への対抗から西欧諸国との友好関係が必要なので、東南アジアの独立を支援しない。少なくとも戦後すぐは何もせず。
・東南アジアでの独立は、アメリカが行なったフィリピンのみ。
・他は史実のように日本軍の侵攻、占領統治がないので、前体制が維持されている。
・それでも大戦で西欧列強が弱体化したので、インドシナは紛争化、インドネシアも混乱が始まる。
・ビルマはインドのおこぼれで独立するが、中心となる政治勢力がないので当初から混乱。
・インドシナは現地フランス軍が日本から貰った兵器を使い、インドネシアではスカルノが史実のように日本軍の訓練を受けず、ビルマのアウンサンも同様。
●軍の組織(省庁)再編:
・戦争中の数々の失敗、不手際、手痛い敗北、他国との連携の不備、他国からの厳しい指摘などから、戦中から進められた改革、改変で陸海軍の有機的運用、空軍の創設、そして省庁の統合に関する道筋が作られる。
・しかし改革と混乱が10年にわたって続く。
・1954年に陸軍省、海軍省を統廃合する形で、「国防省」が発足。しかし実際は、国防省は文官組織として新規編成に近い形で発足。軍政家の多くが国防省に移籍。
・併せて、正式に空軍を創設。(陸海軍から主要な航空隊を分離)
・士官学校、兵学校の統合は行われず。空軍も士官学校を作る。
・ただし、空軍にできる限り学校を作らせない為、兵科以外の学校(後方職種の経理・衛生・獣医・軍楽・技術・法務など)は当時の内閣の音頭取りで統合。横須賀に国防大学が作られる。
・陸軍幼年学校は、第二次世界大戦での将校数の肥大化、戦中、戦後の一般将校の激増で形骸化。時代の変化で役割を終えたとして1946年に廃止。
・軍人数は、陸軍40万、海軍10万、空軍10万程度になる。
・他、国防省は人員約4万人で構成。
●東西冷戦時代:
・1950年の「中華戦争」。51年からの派兵で戦後の軍縮気運がようやく消え、軍の再動員、再編成が進む。
・徴兵制は維持(実質的には選抜徴兵制)。
・「中華戦争」で、予備役の召集など動員を一部強化。軍全体も100万近くに拡大。
・内陸での戦争なので、海軍は不遇の扱い。
・空軍の編成、組織化が進む。
・1967年から約5年間の「ベトナム戦争」への派兵で、軍の規模が再び拡大。軍事費も大幅に増加し国庫を圧迫。
・最盛時には10万を超える兵士が、ベトナムに派兵される。
・部隊の規模が拡大され、一部徴兵が強化され、さらに予備役の一部が動員され、最盛時の軍人数は80万に達する。
・海軍は一部見直される。
・1970年代、80年代前半は国自体が低迷するので軍事費も減少。ベトナム戦争撤退の動員解除で、兵員(徴兵)数も減少。
・人口に対する軍人数の減少で、徴兵制度の形骸化が進む。
(1歳当たりの成人男子が100万人を超える時代に総兵力は60万。志願兵、職業軍人も多いので徴兵割合が大幅に減少。徴兵が1年半として、徴兵は4人に1人程度)
・1983年、ソ連に対抗する為のアメリカの軍拡に呼応し、軍備拡張と軍の近代化を推進。
・1990年、東西冷戦終了で大幅な軍縮を開始。
・1990年、「湾岸戦争」に東西冷戦時代に作った巨大な軍の一部を派兵。
・1992年、徴兵制を大幅に緩和。陸軍を中心とした兵員数の大幅削減もあり、ほぼ志願制になる。(60万→45万)
・2001年、徴兵制を廃止。完全志願制に移行。
・21世紀に入り、非対称戦などに対応するも、兵員数は志願者の減少もあってさらに削減。
・21世紀序盤、主な脅威はロシアと中華人民共和国(の核兵器)。
・軍全体は海外展開を前提としている。
(※北朝鮮は存在しない。韓国はやる気なし。ロシアは満州をまず相手にしないといけないので、日本にはあまりちょっかいを出せない。共産中国は内陸国なうえに、中華民国と米軍が相手。)
●東西冷戦時代の軍備(1):
●日本以外の状況:
・基本的には史実に準じる。
・但し、東西ドイツが最初から統一ドイツ状態。
・チェコとスロバキアが東西陣営に分かれた状態。
・中華地域が分裂状態で、対ソ連だと満州国が存在。
・中華地域中央は東西陣営に分かれて対立。
・満州には日本軍、中華民国にはアメリカ軍の大部隊が駐留。
・ソ連が受ける、西側からの脅威は史実よりずっと大きい。
・東ドイツ、チェコを欠くので、東側陣営の重工業の厚みが薄い。
・ソ連は、史実よりも早く通常戦力での対抗に見切りをつけ、核戦力の拡大に傾く。
・ソ連が史実よりしょぼいので、軍事を中心とした技術開発競争が史実より少し鈍化。主人公による影響とでほぼ相殺。
・欧州正面:
・ドイツは国土、人口の違いにより史実の西ドイツより20%増し。
・ドイツ連邦軍(陸軍)は史実の10個師団基幹ではなく12個師団基幹。
・チェコが西側。
・史実との比較だと、東側計算で陸軍の場合は3個軍団(9個師団)を中核とする戦力が西側になる。
・差し引き、東側はその倍の戦力を失ったに等しい。
・領土の縦深でも東ドイツ、チェコの分だけ東側が短い。
・ソ連の対西欧向けの軍団(軍集団)は、ポーランドに駐留。
・距離と戦力を合わせると、東側(ソ連)は史実と比べて1個軍集団の戦力が減ったに等しい。
・極東:
・満州、朝鮮半島北部、樺太、千島が西側陣営のテリトリー。
・オホーツク海の制海権も半分以上が日本側。
・在日米軍はいないが、それ以上に日本軍が強力。
・冷戦開始当初から、ソ連は極東での大きな防衛負担が重くのしかかる。
・史実での中ソ対立はないが、負担はより大きい。
・満州軍の規模、編成、兵器レベルは、史実韓国軍の2倍が目安。
(1980年代で陸軍100万体制。)
・ソ連軍は、平時戦力の3割を極東に配備して対抗。
・オホーツク海では、樺太全島、千島列島がなく、海峡の大半が自由に使えないので、水上艦艇は当然として潜水艦の移動も難しい。
(日本が厳重に監視する対馬海峡、宗谷海峡、津軽海峡を抜けないといけない。間宮海峡は浅すぎる。)
・極東中枢(沿海州)は、西側に半包囲された状態。
・ソ連海軍は、黒龍江の奥(コムソモリスクナアムーレ)で軍艦を建造し、オホーツク海の北側を回ってカムチャッカ半島の先を抜けるルートを基本的に使う。
●日本軍の概況:
・第二次世界大戦後、米ソ両大国に次ぐ軍備を保持。
・東西冷戦中は、主に極東でソ連と激しく対立。西側陣営として極東軍備を一手に引き受ける。
・軍事費は高い対GDP比比率を維持(3〜5%)。
・高い軍事費は、国庫に負担をかけ経済成長の足かせとなる。
・それでも戦前の1930年代より、かなり低い比率の軍事費となる。
・1954年に正式に空軍を創設(陸海軍から分離、統合)。
・軍全体の司令部組織は統合される。だが海軍の政治力の弱さがたたり、名称は「統合参謀本部」。「軍令」の名は消える。
(※以前は陸軍が参謀本部、海軍が軍令部。)
・国内軍事産業の生産力の保護と独自性維持の為、アメリカ製兵器の導入は消極的。
・史実のような1970年代、80年代の日米貿易摩擦があまりない。
・国力、予算、それに史実とは違う日米の関係もあり、アメリカの兵器を爆買いしない(できない)。
・同盟国価格で安く、性能の高い兵器を買う程度。
・でも海軍は値段も維持費も高いF-14を頑張って買う(喉から手が出た状態)。
・アメリカも、製造会社がピンチなので積極的に販売し、格安セール。
・F-14を買ったせいで、海軍は艦艇を何隻か建造出来ず。
・空軍は金がないのでF-15を買いたくても買えない。
・買うとしても、F-4の次はF-16になる。だが、大半は米軍機より安く少し性能に劣る国産になる。状況は西欧の大国に近い。
・冷戦時代にイージスシステムの導入はない。
(史実ほど関係が深くない事もあり、アメリカが簡単には売ってくれないし、日本も買う意思はない。だが独自開発のレーダーの性能はかなり劣る。史実の欧州諸国と同程度かそれ以下。イージス導入が行われるとしても21世紀に入ってから。)
・陸軍部隊は、史実の自衛隊のように大隊を解体して小型編成にはしない。大隊編成を基本とした通常の師団編成のまま。
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お嬢様「半分も内容が分からないわ」
龍一「じゃあ、じっくり説明してやろうか」
お嬢様「アレ? 龍也叔父様じゃないのね」
龍也「私もいるよ」
龍一「東西冷戦時代は、俺の担当だけどな」
お嬢様「そうか。龍也叔父様は、実質政治家だったものね」
龍也「確かに戦後は、軍務局長、陸軍次官、国防大臣。退役後も、請われて大臣を転々と。我ながら呆れるよ」
お嬢様「龍也叔父様は何でも出来てしまうからでしょうね」
龍也「便利に使われただけだよ」
龍一「俺は、中華戦争、キューバ危機、ベトナム戦争、ソ連との睨み合い、と忙しかったぞ」
龍也「龍一は中央より現場が好きだったからな」
お嬢様「湾岸戦争は?」
龍一「もう、息子の代だったよ。あの頃だと、俺たち70だぞ」
お嬢様「ああ、そうか」
龍也「私はそれくらいの時期に他界したから、そのあとの話を聞きたいものだね」
龍一「はい! 幾らでも」
お嬢様「話が長くなりそうだから、続きは内容見てからしましょう」