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032 「外伝・戦後日本経済・補足(2)」

 (※舞台裏・メタフィクション視点となります。)


●国内(1):


 ●戦後すぐ:


・史実のような、第二次世界大戦の敗北と破壊、GHQによる強引で大規模な改革、変革がない。

・この為、様々な面で古いまま残る。再スタートもない。

・敗戦、公職追放、財閥解体などがないので、史実のような世代交代(若返り)が発生しない。

・共産主義、社会主義、左派の解放、拡大がない。むしろ弾圧、抑圧は東西冷戦構造の中で強まる。


 ●経済システム:


・GHQに潜んだ左派 (=ニューディーラー)による強引な改革、変化がないので、史実にあった共産主義的、社会主義的政策は多くが取り入れられない。

・史実のような、「最も成功した社会主義(もしくは資本主義)」にはならない。

・戦争中の社会主義的な総力戦体制、国家主導の制限的な資本主義は、戦争中だけの非常事態。

・これは、史実が日中戦争から約7年間戦争したのに対して、この世界は5年弱しか総力戦をしていない影響もある。

・加えて、日本自体が史実ほど死に物狂いで戦争をしていない。

・結果、戦後も戦前に近い状態が続く。


・戦争中の政府主導の統制経済はあったが、戦後は「親方日の丸」、「護送船団方式」にはならない。

 「親方日の丸」、「護送船団方式」自体が、政府主導の統制経済や総力戦体制の延長のような性質がある為。

・財閥もほぼそのまま。持ち株会社もそのまま。株主もうるさいまま。

 (史実の戦後昭和の株主は、様々な要因から比較的静かだった。)

・戦費回収の為の税収変化で、相続税、固定資産税、累進課税は相応に厳しくなるが、史実ほどにはならない。

・財閥自体は、徐々に企業グループに再編。


 ・雇用形態:

・戦前の1930年代に、大企業中心に終身雇用に向けた動きは史実同様に進む。

・大戦中の徴兵に連動した短期工の大量採用、経済拡大による賃金上昇などで動きは後退。

・戦後、史実と違い戦死者は少ない。

・戦後、1950年代まで野放図な人口(増加)政策が続く。

・加えて、1960年代までは日本領の朝鮮半島、台湾、満州から、常に低賃金の労働力が供給される。

・日本自体も、史実のような政府主導の資本主義的側面は史実より低い。

・左派(労働組合)が史実より弱い。しかも資本主義寄り。

・これらの要因のもあって、企業の終身雇用、年功序列は史実ほど根付かず。

・21世紀の新自由主義、雇用の流動化の流れになる可能性が高い。




●企業の史実との違い:


・大前提として日本の敗戦と戦後の財閥解体、過度な独占禁止法がない。

・史実の戦前の延長として各企業、財閥が続く。

・鳳財閥(鳳グループ)とその系列社の存在そのものが、史実との大きな違い。

・他、触れるとキリがないので、触れるのは最小限とする。



 ●銀行・金融(前提):


 ・昭和金融恐慌(1927年)回避の影響。

・史実とは昭和金融恐慌から流れが大きく違うが、20世紀末の時点では史実と似た状況と想定。

・ただし、台湾銀行、東京渡辺銀行、十五銀行(華族銀行)などの銀行は倒れないか、その後どこかに吸収されていると想定。

・またこの時期に作られた「受け皿銀行」の昭和銀行はない。


(※「受け皿銀行」:国(政府)が金融機関の不良債権や不良資産を買い取り、管理・処理するために設立する受け皿的な専門銀行。その後、昭和銀行は安田銀行に合併された。)


 ・戦後:

・史実戦後の財閥解体がないので、この時の銀行再編(解体・分割)がない。

・政府による銀行を倒産させない「護送船団方式」がない。

 (歴史の流れが違うので、前提条件が成立しない。)

・この世界では、オイルショック(1973年)の頃に大量倒産が発生していると想定。

・時代を問わず、銀行はそれなりに潰れるものと誰もが認識。戦後は個人の預金を政府が一定程度を保証する程度。

 (アメリカは昔も今もそんな感じ。レーガン政権頃から現在でも、銀行数は半数以下になっている。)

・史実の敗戦後の財閥解体がないので、同時期の銀行の再編成もない。

・戦前戦後を通じて、21世紀まで統廃合と再編は徐々に進んで行く。



 ●銀行・金融(の時代の流れ):


 ・戦後

・史実のような高度経済成長がない。

・高度経済成長と呼べるものは、1930年代から第二次世界大戦に発生。

・戦後から1960年代までは、金融界全体の相応に順調な発展と拡大が続く。

・財閥系の大銀行の都市銀行化は、史実と違う形ながら進む。

・オイルショック以後に、日本経済全体が大きく低迷。銀行の大量倒産が起きる。(昭和初の銀行倒産騒ぎ)


 ・昭和末期・平成初期

・プラザ合意以後も大きな円高にはならない。

 (この時点で日本経済が弱い為)

・結果、バブル経済、バブル崩壊の双方のフラグが発生しない。

・この時期の大きな銀行、証券会社の破綻はない。(拓銀、山一のような)

・当然、史実のような流れでの不良債権処理、金融ビッグバンがない。


 ・冷戦崩壊後

・次の日本経済の大きな発展は1990年代から。

・超大手同士の統廃合(金融ビッグバン、メガバンク)は、新興国の金融危機(1997年)が直接の契機。

・理由は、世界市場のグローバル化への対応のため。不良債権処理が目的ではない。



 ●メガバンク:


 ・省庁再編:

・省庁再編は1980年代。ただし、戦後の省庁再編が史実より大きく遅れているので、史実の同時期に近くなる程度。

・郵政民営化、大蔵省の改称・改変(財務省と金融庁)の可能性は低い。

・大蔵省より影響力の大きな軍(国防省)、内務省(警察を抱えたまま)があるなど、省庁の綱引きの構図が史実の戦後と大きく違う影響。大蔵省(財務省)が弱くなりすぎる。

・国鉄民営化も、軍との関連と影響を考えると東西冷戦崩壊後になる。

 (史実より10年程度は遅れる?)


 ・日本勢力圏:

・朝鮮、満州に日本資本、企業が根付いたまま。(台湾は日本領のまま)

・どちらにも現地化した日本の企業、現地法人がある。銀行も同様。

・もしくは日本と連動したコングロマリット(多国籍企業)化。

・満州は当初は(史実同様に)満洲興業銀行だけだったが、徐々に日本の銀行各社が進出。

・現地との繋がりが強い、満鉄、鳳、日産つながりの銀行が大銀行として発展。

・朝鮮半島では、三井、三菱、住友、大倉あたりが強い。

・朝鮮、満州には民族資本の銀行もある。


 ・各銀行:

・戦前に遡ると、昭和金融恐慌がないので台湾銀行などが存続。

・十五銀行(華族銀行)が残るので、史実でこれを吸収した三井がメガバンク時代の途中で「さくら銀行」は名乗らない。(さくらは十五銀行の「紋」の為)

・十五銀行は、神戸川崎財閥(川崎重工)の機関銀行として残るが、後に鳳銀行と合流する。

・満州、朝鮮に根を下ろしている日本資本の銀行があり、かなりの間(1960年代くらいまで)は国ごとに切り離していない。


 ・鳳FHC:

・鳳FHCは戦前から多国籍化。日本、満州、アメリカ(ファンドなど)に広がる。

・満州には銀行としての大きな地盤。

・冷戦時代は、他の銀行に対して優位を得ていた。

・この為、日本国内でのメガバンク化(他行との統合)が難しい。

・結果、日本の国内銀行界では孤立する。



・21世紀序盤に再編される日本のメガバンクは、鳳以外は史実と同じ。


・メガバンクの資産総額順(2020年度):


  改変後名   旧7大銀行(史実は6大銀行)

 ・三菱UFJ = 三菱、三和

 ・三井住友 = 三井、住友

 ・みずほ  = 安田、第一

 ・鳳    = 鳳


 ※鳳の資産総額は日本国内のみだと最下位。海外を含めると2番目に大きく異なる。

 ※この世界に民営化された「ゆうちょ」はない。

 ※りそなは、メガバンクと言えるほど巨体ではない。

 ※JAバンクは、この世界でのJA自体が小規模か形態が違う。


※史実2020年で資産総額1兆ドル超えは、三菱UFJが2・9兆ドル、ゆうちょが2兆ドル、三井住友が2兆ドル、みずほが1・9兆ドル、農林中央金庫が1兆ドル程度。


※この世界では、日本の総人口、経済規模により数字は史実からかなり違っている。日本のGDPは、史実5兆ドルが8兆ドル。全体で160%大きい。

 相対的にメガバンクの規模も大きくなる。もしくは4つかそれ以上のメガバンクが存在できる経済規模がある。

.。゜+..。゜+.玲子の部屋.。゜+..。゜+


勝次郎「戦後日本経済と題しているが、鳳がらみの話が多いな」

お嬢様「そう? そんな事ないでしょう」

勝次郎「見ている方角が違うからそう思うだけだ」

お嬢様「そんなものかなあ?」

勝次郎「そうだぞ。だいたい、俺たち、いや日本の政財界が、約一世紀の間どれだけ玲子に振り回されたか分かっているのか?」

お嬢様「勝次郎君には、色々と助けてもらったり、助言もらった事なら覚えているわよ。本当にありがとう」

勝次郎「礼には及ばない。それに俺は日本の財界を代表した、玲子用の苦情受付窓口や神主みたいなものだから、あれの多くは俺だけの言葉じゃない」

お嬢様「知ってた」

勝次郎「どうだかな。こっちが動く時だと考えた時に鳳は動かず、動く筈ないと分析したら派手に動く。しかも十中八九以上の確率で、結果的に大当たりときた」

お嬢様「忠告や助言をした事は多いわよ」

勝次郎「ああ、その通りだ。玲子の言葉を聞かない奴が悪い。だが、あえて初動で間違って動いて、楽に勝ち馬に乗ろうとする奴らを奈落に落とした事が何度かあったよな」

お嬢様「そうだったかしら?」

勝次郎「あのなあ。もう少しこう何というか手心というか、あるだろ?」

お嬢様「女には、男みたいに武士の情けってないの。敵は徹底的に叩くのがオンナの業よ」

勝次郎「それは何度も思い知らされた。それに玲子は、ああいった類も嫌いだったよな」

お嬢様「ええ。私、金魚の糞って嫌いだもの」

勝次郎「ハゲタカ、ハイエナ、寄生虫、コバンザメ、あと何が嫌いだった? 玲子の間に入ったお陰で、俺は寿命が10年は縮んだと思うぞ」

お嬢様「ウッ。マジごめんなさい」


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― 新着の感想 ―
こっちの世界線だと李承晩と金日成も飛躍出来ずに終わって南北にはなっていないかもな、となりの半島。 反日な動きは必ず出るだろうけど。
更新ありがとうございます。 現代史は『なろう』の規約・制約というか『実在の人物・団体等とは一切関係がありません』があるから、書くのは難しいですよね。 玲子奥さまの第二次世界大戦後の世界は、こんな感…
国鉄民営化は起きないor東西に分かれる程度と思われます。理由として… その1:本丸である労働組合の中にいた左派が存在しないもしくは超少数派(史実と違う点1つ目) その2:軍部(国防省)の影響力が非常に…
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