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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第三章 勇魔大会狂殺
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無双なんて夢のまた夢

話が進んでいきますよお。

「.......おーい......起きろ、<魔王>」

「んにゃ...?」

「そろそろ街に着くと思うんだが」

「お、そ、そうか」



 自分としたことが、ついうっかり寝てしまっていた。



 まあショゴスの変身したドラゴンが飛行機と同じくらい安定して飛んでいるってのも悪いところだけども。



 少しだけ下を見る。雲がたくさんあるが、その隙間には大地が見える。



 目線を前に動かすと遠くの方に何かがあるのがわかる。



 ...黒か、灰色か。そんな感じの色をしている何かだ。



「壁だけ見えている、のかな?となると、そこまで近づいているのなら降りたほうが良さげだね。ショゴス、降下してくれ」

「な、急ぐんじゃないのかよ!?」



 個人的に起きたばかりの判断とは思えないほど冷静な判断に口を突っ込むシーフくん。



「あのねえ、そのない頭でちょっと考えたらわかるでしょ?今僕達が乗っているのは、ドラゴン。魔獣の中でもトップクラスにヤバいやつ何だよ?そんなのが街に赴いたら、どう足掻いても街中が敵になるよ?」



 ちなみに、魔獣の中でも〜のところはあの<ダンジョン>のボス的存在として君臨していて、且つマナお姉様達がドラゴンとショゴスを比べていたからだ。まあそんな奴と比べられるショゴスとは一体という感じだけども。



 数十秒かけてゆっくりと着地に成功するショゴス。僕達が降りると、ショゴスはいつの間にか本に戻っていた。



「長々とお疲れ。ゆっくり休んでてね」



 と言いながら本を<インベントリ>にしまう。



 数時間のフライトではあったものの、運転というものはかなり疲れるものだと知っている。それも初めての試みで僕が寝れる環境を作り上げたのだから、かなりの集中をおこなっていただろう。



 犬戦士王との戦いでもドラゴンに変身して戦ってくれてたのだから、かなり疲れが溜まっているはず。ちゃんと休んでもらうとしよう。



(シュド=メル、ここらの魔獣はどんな感じ?)



 とはいっても索敵はしなくてはならない。ここは不慣れだろうけどシュド=メルとクトーニアンたちに任せるとしよう。



 などと考えていると、目の前の地面からミミズが這い出てくる。



 ちょっと小さい...部下のクトーニアンたちか。



(リーダーに代わって報告させていただきます。現在周囲10kmに魔獣反応あり、とのことです)



 ぐう有能。これはショゴスに代わって...?



(どこにいるとかはわかる?)

(大体の位置であれば。地図を見せていただいても?)

「<勇者>、この辺りの地図貸して?」

「...わかった」



 渋った様子で渡す<勇者>。急がなきゃいけないのに急ごうとしないから拗ねてるっぽいなこれ。



(移動しながらでいい?)

(はい、大丈夫です)

「よし、そしたらこっからは歩いて行こう。担架は...」

「ここにあるものを使え。我は最も怪我がひどい彼女を連れていく」



<インベントリ>から担架を出したあと、横たわっている魔法使いの女の子を背負うミ=ゴ。



 ...外見だけ見ると、お腹に穴が空いている眼鏡っ娘の方が怪我がひどそうなんだけどなあ。



 でもまあ、<勇者>は何も言っていないしいいか。



 ============================================



(()()()()こことこことここにいるのね?)

(はい...すみません、未だ慣れない体でして)

(いやいや、大丈夫だよ。ありがとうってシュド=メルに言ってきて)

(わかりました)



 帰っていくクトーニアン。その掘った後に残る穴がみるみるうちに修繕されていく。



 何度もクトーニアンの報告を聞いてわかったが、遠くまで探すことができるけど精密じゃないのがクトーニアンで、近くしかわからないけど精密に理解できるのがショゴス。そう言えるだろう。



 少なくとも地上の話ではあるけどね。クトーニアン及びシュド=メルは地下にしかいることのできない生物なのだから。



 でもこれだけ知れれば避けるべき場所もわかっていく。少し遠回りにはなるけど、それでも戦闘するよりマシだ。



 今僕達がいるのはどうやら北東の位置らしく、かなり安全に道を進むことが可能になっている。魔獣が生まれてくると言ってもそこまで強くなく、感知範囲が今まで戦ってきた奴らより狭い。



 おかげで未だに一回も戦っていないにも関わらず街の門が見えるところまで来ることができた。



「ところで...」



 そう口を開くのはソルス・バミア。



「あなた...確かミ=ゴと言ってたけど、ミ=ゴはこの街に入れないのでは?異形だから門番に止められるだろうし、神聖皇国の外側の外側ではあるもののその皇国の領地だからね、強めの<魔獣防壁>が敷かれているはずだけど」

「はえー」



<魔獣防壁>?ってなんだろうか。聞くだけだと魔獣を防ぐためのものとしかわからないけど。



「......<魔王>、君は確か<結界魔法>の単元だったよね?なぜわからないようなそぶりを?」



 おっと、<結界>だったらしい。



「いやあ、取ったはいいもののまだ授業を受けていなくて...」



 初登校から数日、それも数えられるくらいしか経っていないからね。



 あ、でも学校じゃないから登校ではないか。学園...登園?



「そうだったのか。<魔獣防壁>は<結界魔法>の基礎知識だから、後で知り合いにでも聞いてみるといいよ」

「おっけ、お姉様にでも聞いておくか」



 マナお姉様なら知ってそうだし。



「で...結局ミ=ゴはどうするの?」



 と、そういえば話が逸れていたな。



 ミ=ゴが入れない可能性がある。それはそうだ、ミ=ゴは人間じゃない。



 魔獣なのかと言われたら違うと答えるしかないけど、少なくともこの体を見て人間だと答える奴はいないだろう。



「ああ。それに関しては問題ない。カミラは...魔王は不安だな。<勇者>に預けるとして。我はこれを使う」



 というと、<インベントリ>からリモコンを取り出すミ=ゴ。






 そして、リモコンのボタンを押すと何の前触れもなしにミ=ゴが消えた。



「何!?」

「は、はあ!?」



 びっくりしている<勇者>。まあ、



「光学迷彩の装置もあるのか...君の<インベントリ>は某ポケットみたいだ」

「人間からしてみたらそうだろうな」



 知り尽くした僕には流石にわかる。ミ=ゴほどの存在なら精巧な光学迷彩を持っていても不思議ではないだろう。



「光学......光の何か...あ、<反射迷彩(ミラーハイド)>のようなものか」

「み、みらー?」

「あー、聞いたことはないけど、多分それと仕組みは同じだと思う」



 なんかちょっと違うかもしれないけど、人間は浅はかな生き物。全てを知らなくてもいいのだ。



...シーフくんも知らない魔法をソルス・バミアは知っていると。なるほどねえ



 そうそう、そう言えばさっき聞かなきゃいけないことが。



「ところで。さっき言ってたけどさ、神聖皇国って...」



 と言ったところで。



「止まれ!」



 と大きな声で声がかけられる。



 前を向くと、そこには鎧を着た人が複数人。



「ここが神聖皇国イマジ直属の街、メッキョだとわかって来ているのだろうな?」

「アッハイワカッテマスヨモチロン」

「絶対わかってないやつだろそれ...」



 うるさいなあ、シーフは。こういうのはこう言っとけば、あとは...



「僕達は<勇者>のパーティです。怪我人がいますので通してくださいませんか?」

「では身分証明書を」

「えっ」



 ...何とかなると思っていたんだけども。



「で、でも出る時は何も」

「それはそれ、これはこれっていう言葉、知ってるか?」



 言葉に詰まるソルス・バミア。えっと、そしたら...



「ねえ、<勇者>様?その腰に携えている剣は身分証明書にならないのですか?」



 多分だけど<勇者>の持つ、(おそらく)聖剣は確実にこの世界にそれ1本だけだろう。つまり携帯する人間もおのずと1人だけ。



「あ、なるほど。確かに」



 ええ...それくらいは流石に自分で思いつこうよ。



「えっと、じゃあこの聖剣を見てもらっても?」

「ふむ、どれどれ...」



 渡された政権を訝しげに見る門番。



 引き抜いたりして確認しているその聖剣は...うーん?なんか前見たやつと違うような?



 数分後、門番は怪しい目でその剣を返した。



「刀身とかを見たが、全然違うような気がするぞ。むしろ手入れのされていないただの白くて軽い長剣としか...」

「な!?」



 あー、なるほどね。先の戦闘で結構傷ついちゃっているのか。



 まあかなり長い時間戦闘を行なっていたと思うし、しょうがないか......とはならんのよ。



「...大丈夫か?このままだと怪我人の状態が悪化するだけなのだが」 ヒソヒソ

「そうだよねえ...」 ヒソヒソ



 そもそもお腹に大穴が空いていたり、内部がボロボロだったりする怪我人しかいないからね。今は一刻を争う事態なのは<勇者>もわかっているだろう。



 現に、彼の頬で冷や汗が流れている。早く行きたいけど、それには身分証明書が必要で僕達はそれを用意できていないのだから。



 でも...何か引っかかるようn



「こ、こっちには怪我人がいます!早く適切な処置をしないと!」

「怪我人については見えている。だが、今はちょうど警戒体制が敷かれている状態。どれだけひどい怪我人であろうと、お前がどういう人間であるか証明できないのであれば、通すわけにはいかない」

「そんな...」



 ...ああ、そういうこと。いつもは普通に通れるのか。



 通りで何か引っかかると思った。確実にこの街からきているってことは、この街に一回入っているってことだもんね。



 っとと。ミ=ゴが...



「メェーちゃん。念の為ミ=ゴを警戒。ミ=ゴ、動いちゃダメだよ」

「...わかって。いる」



 それわかってないやつなのよ。



 さっきまで僕の隣にいたのにいなくなったから絶対何か起こすつもりだなと踏んでメェーちゃんに指示したけど、して正解だったな。



「おい、さっさと通せってソルスも言ってるだろ!なんで通さないんだよ!」

「こっちだって仕事だ。温情ではいどうぞと通すわけにいかないのはわかっているだろう」

「うぐ...」



 シーフも噛みついたがダメか。



 うーん、そしたらやはりここは僕も...






「あー、この人たち通してあげて?嘘はついていないっぽいし、怪我がとてもひどいわ」



 急に女性の声。振り向くとそこには3人いた。



 女性が2人で1人の男性...いや、あの男性もしかしてサオさんか?



「...その眼に狂いは?」



 門番が話しかけた門番に話しかけた女性は、何というか。



 大人。武器は一見して携行しているようには見えないけど、腰に数本の薬品?物がある。胸は結構大きめかな。



 そして服がかなり汚れている。いわゆる旅というものをしてきたのはその後ろにある大荷物を見ればわかる、が服には傷ひとつない。



 髪色は茶。既に前にいるから顔まではわからないけど...とても、美しい。



「少なくともメアリーの<鑑定の魔眼>が嘘をついたことは一度もないのは、お兄さんも知っているでしょ?」



 そういう彼女は、先ほどの女性よりも身長が少し低い。



 白いフードを深く被っているから容姿は判別できないけど、金髪なのはギリわかった。



「...仕方ない。あんたらのいうことだ、お前らを通してやる」

「<勇者>の言ってることは聞かないのに、お姉さんの言うことは聞くんだ」



 そしてこの流れで門番が確実に言うであろう言葉を言い切ったタイミングで即座に門番に言い放つ僕。



 実際そうだろう。目の前にいるのは本物の<勇者>、僕の敵だ。



「そう言ってもな、こちらとしては身分証明書がない以上、本物か<勇者>を語っている極悪人かのどちらかだ。優しく接してやっただけマシだと思ってくれ」



 ...なんか納得いかないなあ。



「まあそんなむすっとしないで。あなたたちも、その子達を助けたいのでしょう?早く行きなさい」

「は、はい!ありがとうございます!」



 元気にお礼を言うソルス・バミア。お前、僕に対してはありがとうの一言もないくせにお姉さんに対しては言うんだな。



「お礼は後で。私たちもついていくのだから、街の中でいっぱい感謝してもらうことにするわ」



 ...え?



「今、ついていくって」

「言ったわよ。だって...私たち、あなたに用があるのよ。マリアちゃん」

???「ミ=ゴ〜〜!また■■■■がいじめるよお」


ミ=ゴ「そんな時は....はい!電撃銃!」

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