表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第二章 少狂学校生存
94/402

魔勇協力

協力、と言ってもあんましていないような気がする。


むしろただの停戦協定に近いような。


あ、前回に続き勇者側です。

 "ソルス、あなた正気ですか?魔王と一時的に停戦協定を結ぶなんて"

「それしか方法はない。少なくとも、今僕が考えうる最善の方法だった、し!!」



 力を入れた剣の一撃。それは<コボルド>が行ったガードごと吹っ飛ばすほどの強さを持つ。



 だが基本はやらない。なぜなら剣がそれ以上届かないが故に追撃が難しいから。だけど...



「それに!彼女はそもそも僕たちが受けたクエストにおける重要人物だ。元々傷つけるわけにはいかないし、ここで戦闘なんてもってのほかだ」

 "それは...そうですが..."



 両手で高く振り上げた剣を、<コボルド>のガードにぶつける。もちろん力が入っているため、相手は吹っ飛ぶ。



 ...これでようやくカミラの元へ向かえる!



 ダッシュでメーノのいる場所へ。本来苦手である近接戦闘を魔法でカバーすることで何とか一体受け持ってくれてたメーノは、既に疲労とダメージが蓄積しすぎている。動けるのが奇跡と言ってもいいだろう。



 そのため油断した状態で最期の一撃を与えようとする<コボルド>に<突進(ショルダーチャージ)>が当たる。



 ドォン!



 よろける<コボルド>、その腕を思いっきり斬りつける俺。



 最も、それによって腕は切り落とされない。僕の持っているこの<聖剣/封印>も研がないとろくに切れないものになってしまっているし、力をこめていると言っても既に直近の休憩からだいぶ経ち、かなり疲れている状態で無理やり出している力だ。



 だが、だとしても...衝撃で剣は落ちる。



 カァン、という音がなる前に落下予測地点にいた俺は、そのまま剣を拾い上げる。



 そして<聖剣/封印>を鞘にしまい、相手の持っていた曲刀を使って目の前の<コボルド>を目一杯力をこめて斬りつける。



「メーノ、大丈夫か!」

「そんなこと...言われてもね...」



 返事が聞こえて安堵し、それを切り替え敵に集中する。



 ...曲刀自体の質はそこまで良くない。まあ魔獣が使用していたものなのだし、それに今まで<聖剣/封印>以外の武器に触れてこなかったから目が肥えているし。



 "当たり前です。私の武器としての性能及び姿は一級品のものなのです"



 そうだね。だからこそ、僕は君を握ってた。



 だけども、今はとにかく時間稼ぎと一箇所に集めることに集中しなければならなくて。そのための手段を選ぶ時間はない。



 曲刀を軽く振りながらカミラのところへいく。結構軽いし薄いせいで振った時の感触が<聖剣/封印>とまるで違う。



 別の武器と言える。でも()()()分には問題ない。



 振り返り、後ろから近づいていた<コボルド>に一閃。その振りのまま剣を<コボルド>に投げつけ、即座にカミラを抱き上げる。



「なっ!わ、私は自分で歩けr」

「今はこの場から脱出が先決!無礼申し訳ない!」



 抱き上げながら走る。向かうは剣を投げつけた<コボルド>。



 あまり見ずに投げたけど、どうやらちゃんと胸の辺りに刺さったらしい。悶え苦しんでいるが、カミラの痛みはそれ以上。



「ふっ!」



 刺さっている剣を踏み台に大ジャンプ。他の<コボルド>の位置を確認しつつ、あまり敵のいない場所で着地。



 そのまま<魔王>の配下の元へ。



「な、こいつら...ってカミラ!?」



 今、カミラは眠っている。睡眠薬を飲まされたわけじゃなく、ただただ極度の疲労で疲れているらしい。



「怪我人が起きます。静かにしてください」

「はぁ?あなたたちって敵d」



 腕をメーノの前に突き出す。まだ言いたいことがあるのかモゴモゴしているメーノ。



 ...こいつのいうことを聞きたいとは思わない。でも。



 目の前で横たわってすやすやと寝息を立てているそのお腹には大穴が空いている。



 だが、先ほど助けた時と違ってその穴からは血ではなく、細い棒のような何かがたくさん出てきていた。



「■■■■式血管互換用パイプ及び臓器複製■■がまだ残っていて助かりましたよ。全部使い切ってしまいましたが」



 ...何か俺のわからないものであるらしいけど、少なくともこれで彼女は生きながらえているらしい。



「か、カミラは...」

「助かりますよ。ただこの場では無理です。彼女の傷は深いものですから。精密な手術あるいは強い回復魔法でないと完全に治ったとは言えませんね」

「そ、そうか...よかった...」



 はぁ...と息を思いっきり吐きながらカミラをみる。



 よかった、助かって。



「そうだ、メーノも助けてください!さっきまで一人で<コボルド>と対峙していて...」

「なっ!私は別に元気で...がふっ!」

「メーノ!?」



 血を吐き倒れるカミラ。駆け寄る自分...の前にこの化け物、ミ=ゴが駆け寄っていた。



「少し服を脱がせますよ」

「!?」



 すぐに目を逸らす。嫁入り前の女の子の裸を見てはいけないと父さんに言われたからだ。



 "本当ですか?少し顔g"

「う、うるさい!」



 さっささっさと布の擦れる音が戦場で流れること数秒。



「もう見てもらっても大丈夫です。が。これはカミラさんよりもひどいですね」

「え!?」



 俺が振り向くなりカミラの服の袖...まあローブだから袖とは言えないんだけども、それをまくる。



 すると、腕に<魔法陣>が書かれていた。



「これは...痛みを...無視する!?」

「やっぱりか。彼女はこれを自らにかけてやせ我慢していたようです。おそらく永続的なものなのでしょうが。さしずめ魔力がなくなって魔法を使えなくなり。その魔法も切れたと言ったところでしょうか」



 その<魔法陣>を読むと、確かに供給する魔力があれば動きそうではある。おそらくミ=ゴというこの化け物が言っていることは正しいのだろう。



「しかも。見た限りだと骨数本筋肉数10kgが破損。血液は3Lほどなくなり。この体型の人間が持っていなければならない体内の水分のおよそ40%がなくなっている。それもあってか、右腕と両足のくるぶしから奥には血が通っていない...」

「え、ええと...?」



 訳がわからない。あの魔王は医学が何とか言っていたが、医学は転生者しか持っていないもの。



 転生者でない俺には全くわからない。数字は何となくわかるけど、その後のキロとかリットルが意味不明だ。



「まあ。つまるところカミラさんが急いで外科手術しないといけないのに対し。メーノさんは急いで再生医療を施す必要があるということです。このままだと永遠に歩くことが...まあ高性能な魔法があれば知りませんが。後遺症は残るでしょう」

「は、はあ。そうなのですか...」



 わからない。何一つわからない。



「......ようは助かるためにはどちらともしっかりとした場所で適切なことを行わないといけないということです」

「ということは...助かったのか...」

「まだですけどね。少なくともこの場から離れて...」



 はっ、と我にかえる。そうだ、今は戦闘中で...



「マイゲスとサントニーに加勢しなくちゃ!ありがt」

「いえ。その必要はないでしょう。それよりも今は後ろを向いて受け止める体勢を」

「え...うわあ!」



 その瞬間、背中に何かがぶつかる。姿勢を崩さずにそれを受け止めると、そこには...



「こいつが...助けてくれるんだな?」

「サントニー!!」

「あ....くはっ...」



 意識が朦朧としているサントニーと、それを抱え上げているマイゲスがいた。



「すぐに見せてください!」

「お、おう」



 すごい見幕で言われてしまい、少し疲れていたマイゲスは警戒しながらもサントニーを彼に見せる。



 目も口もない、おそらく顔と思われる顔と思われる部位をサントニーに近づけるミ=ゴ



「......これならこの場でも応急処置はできるでしょう。が」

「「!!??」」



 後ろを向き、武器を構える。



 そう、そこには六体の<コボルド>と、それと対峙する魔王とその<召喚獣>たちがいた。



「いやあ、流石に6体はきついって」



 まあ、それはそうだろう。五対五できつかったんだ、六対一がキツくないはずがない。



 むしろ地獄と言えるだろう。



「加勢する。どこまで向かえばいいんだ?」

「いや、この場でいい。合図するから、そのタイミングで怪我人抱えて背中向けて跳べ」



 そういうと、魔王は怪我人のカミラを抱き抱える。



「うっ、この年齢相応の重さじゃないよ...というか、なんでこんなに胸が...」

「御託は後だ。早く合図を」



 すぐにカミラを持ち上げて、そのまま魔王急かしてしまう俺。そんなことできないとわかっているけど、カミラとメーノとサントニーが助かってほしいという願いが俺を焦らせる。



「わかってる。カウント、3、2、1...今!」



 跳ぶ。全力で。怪我人に衝撃が伝わらないようにでも可能な限り力強く。



 と同時に空間が震える。振動、それが自分の体を揺らすようだ。



 着地、そこまでははっきりいて一瞬だった。ただただ前へと跳んだだけなのだから。






「...嘘だろ」

「これが、魔王の力ってやつか...」



 だからこそ、あの一瞬で起こったと認めるしかなかった。振り向いて、跳んで、着地するまでのその一瞬で。



 ()()()()()()()()()()()()ことに。



 何が起こったらこんなことができるのか。<召喚獣>がやったのか。



 だけど、俺が知っている限りは<召喚獣>にこんな力はない。



「ふう、何とかなった...」



 全くそれに動じていない、この魔王の実力は...



 ......警戒は、怠ってはならないな。もしかすると、いやこの魔王は確実に...



 ...やばい。

いやあ、その<召喚獣>ね。<召喚獣>じゃないんすよ。



クトゥルフ神話生物っていうんですよ。あ、知らない。



そうですか...では、クトゥルフ神話生物とは何なのかを伝授するとしましょう。そもそもクトゥルフ神話とは...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ