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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第二章 少狂学校生存
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直下掘りも(n敗

溶岩、洞窟、あるいは奈落

 とても大きい...いやまあ人形サイズのメェーちゃんよりもはるかに小さいから、あくまでも一般的なミミズと比べたらとても大きいと言えるそのミミズ。そしてその周りにはたくさんのミミズがいて、あたりをみんなで見渡している。



 若干可愛いと思うのは、僕がある程度ミミズなどの野生に棲む生き物が怖くないからだろう。あくまでもクトゥルフ神話が1番好きで1番怖くなった副産物(代償)でそうなったことは置いておいても、視覚的な面で嫌いなものがなくなったのは前世で5番目くらいに嬉しいことではあった。



 キョロキョロして、僕たちを見て、卵を見て。多分あれだな、今の私たちでこれをどうやって持ち運ぼうか考えている、あるいはそもそもここがどこなのか考えているか。まあその両方だろうけども。



 ...まあそれを伝えるためにも、1度テレパシーでこっちに話しかけてもらわないといけないかもな。ただまあそれは自殺行為、つまるところそのテレパシーで自身を乗っ取られる可能性があるからね。十分に警戒すべきだ。



「......あー...メェーちゃん...ミ=ゴ、できるかどうか......わからないけど、僕がおかしくなったら...なんとかしてくれ」



 そういったあと、とりあえず行動を開始する。とはいってもミミズには特に耳とか持たないから...



 コロコロと一回地面に転がり落ちる。軽く受身をとって四つん這いになり、這いながらミミズの方へ向かう。



 頭の中で卵の方へ向かう考えがよぎったけど、それだと敵対化する可能性あるしね。気付いてテレパスやってみようってなってくれればそれでいい。



 そしたらあとは...まあ精神勝負(POW対抗)だな。



 一番大きいミミズ、シュド=メルはすぐに僕のことに気がついたみたいで。僕の方へとじっと見る。



 ...頭だけ出して周りを見ているの、まるでチンアナゴみたいだな。



 なんてことを思っていた瞬間、とんでもない頭痛が僕を襲う。



「...!ああ!...うう...」



 痛い、それに尽きるけど何よりその痛みが感じたことがないものだ。グニュグニュとして、それ以上に鋭くて、そして何より力強い感じ



 例えるなら、頭の中にある脳みそを麻酔なしで直接触られている...待てよ?



 なんでだろう、そう考えると怖くなくなってきた。多分普通ならキモすぎて嘔吐必死の何かだと思うんだけども。



 まあそもそも脳みそを一度取り出したことがあるからだな。痛みがないとはいえども感覚がある状態で脳みそを取り出されているのだから、その時の感覚だと思っとけば全然怖くない。むしろ嬉しい。



 少しばかり時間が経って僕がその感覚を楽しんでいると、なぜか精神を乗っ取ったりできないことに違和感を覚えたのか先ほどまでの刺激がさらに強くなる。



 ここまでくると嘔吐どころか精神崩壊レベルだろう。というかそもそも一般人なら乗っ取られてる。まあ僕はどちらかというとステータスに表記されている精神値が異常になっている逸般人だし、むしろ魔王なので効かなかったりするのだろう。



 というかそもそも魔王である意味がないようなゲフンゲフン。



 ともかく、強くなってもさほど僕に影響はなかった。まあ若干グニュグニュの範囲が脳全体に広がって且つ鋭さと力強さがパワーアップしている感じではあるけど、まあそれだけ。



 実際に肉体を欠損させているわけじゃないのと元々どんなことをしてくるか予想がついていたために死の恐怖がほとんどなく、ぶっちゃけ草原での大怪我よりも...いやそれ以下だな。<魔法陣>を描くときの腕切り落としと同等くらいの恐怖、つまりほとんどない。



 まあ精神崩壊する前に意識失ったり思考放棄するような人間だし、この攻撃を喰らい続けても僕にダメージはないだろう。



 で、だ...あとはどうするべきか。耐えられることがわかってもこちらからあるいはあちらからの通信がないと意味がない。



 いや、でももし僕がシュド=メルだったらそろそろ通信を試みるだろう。なんせ相手は人間、自分よりも肉体的に弱い生物。なのに精神力だけでこちらからの干渉を防いでいるというのは......



(...おい、お前。聞こえているか?)



 ...俄然、興味が湧く。そしてその興味を知識へと変換するまで僕のような貪欲な人間は止まらない。これは、シュド=メル及びクトーニアン達全員に共通することだろう。



 肉塊の中身は知識欲。相手から知れる全てを搾り取る。それがクトーニアンという生物、だと思う。



 ...多分違うな。でもまあ、通信をしてくれてよかった。



 こちらからの通信手段がないからねえ。



(おい、聞こえているなら返事をしろ。殺されたいのか)

(あ、いやそういうわけじゃないですよ)



 最初っから物騒だなあ。僕はあくまでも助かりたくて召喚したのに。



(...お前、思考を読まれているのを理解してそういうことを考えているのか?)

(もちろん。まあ声が大きい独り言だと思っていただければ)



 実際独り言で喋っていても違和感はないようなことしか考えていないしね。



(で、ええと最初に自己紹介した方がいいですかね?)

(その必要はない、マリア・ヒルド。我々が今ここにいるのも全てお前が原因であることは理解しているからな)

(まあ確かにさっき独り言で言いましたしね)



 実際はドールとかでもいいかなあ、とは思ったんだけどね。宝箱の中身が中身だし...



(そ、そうだそれを聞こうと思っていた。なぜここに我らの子がいる?このような場所、我らは知らないのだが)

(いやそんなこと聞かれても...たまたま見つけただけだし、でも流石に返さなきゃいけないからそれも兼ねて召喚したんですよ)



 卵...彼らの卵はほぼあらゆる傷害から身を守ることができるほど頑丈と言える産物。とはいってもそれを持ち出すことは許されないこと。



 自分の子を誘拐されるのと同じことだ。自然界ではよくあること、むしろそれより酷いことが起こりがちだが、人間社会及び彼らの中では許されないこととなる。



 まあ僕は盗んでないけどね。でもそうと誤解されるのは嫌だから返す、それだけのことだ。



(そうか。なら我らの卵は確かに返されたとしよう...ところで)

(なんでしょう)

(ここはどこだ?先ほども言ったが、我らはここについて知らぬぞ)

(あー、まあそうですよね。あまり猶予が残されていないんですけど、まあとりあえず説明しましょうか)



 酸素を使っている生物が僕一人しかいないのが幸いして、現状でも息苦しくはない。ただ時間だけがすぎていくと確実に窒息エンド一直線だから、脱出したいのだ。



 まあ説明した方が信頼はかちとれるだろう。でも、そしたらどこから説明するかな...



 ============================================



(...でまあ、そういうわけでここに神話生物が5体+1体の神話生物もどきがいるわけなんです)

(わけなんです、ではない。なんだこの理解不能の状況は)

「私にはわからないかなあ」

(シュブ=ニグラスは黙っとけ)



 10分くらい使って説明を行ってみた、がどうやら理解できないらしい。



 まあそれもそのはず。実際のところ、なぜかここにいるけどその理由は不明、だからね。



 なぜか僕は転生して、なぜか僕は魔王になって、望んで手に入れた神話生物召喚能力を手に入れて、なぜかかなりの回数死にかけて、なぜかここにいる。説明を大雑把にすればこんなところだろう。



(でもまあ、地上に出ればわかりますよ。いかにして今のメェーちゃんたちよりも強い生物が闊歩してるか、とかね。どっかのオカルティストなんぞ霞むほどの人間がたくさんいるので)



 化け物しかいないからな...しかもその化け物の軍勢を遥かに上回る力を持った魔獣及び<ダンジョン>の数々、未だ僕はその全てを見てないけども、まあ確実にやばいというのはわかる。



 特に、校長に教えられたあの最難関ダンジョンの話...いつか行ってみたいと思えるほどドン引きしたし気になった。



(...はっきり言っておくぞ、お前のことは信用できん)



 シュド=メルが告げる。まあそりゃそうだろう。



 何せ僕は普通の人間よりも少し、いや9割くらい中身が違う変人。そんな奴の言葉は基本誰だって耳を貸さないだろう。



(なんだ、わかっているじゃないか。誰がどうみたって変態であるお前のことを信用する生き物は、よほどの変わり者か、愉快犯か、あるいは暇人だけだ)

(でしょうねえ)



 実際僕の前世での親友も......どれくらい変人だったか忘れたけど相当の人間だった。



 なぜ詳しいことを覚えていないかもわからないけど、そういう人間くらいしか僕と仲良くならなかったのは事実。



 ...しっかし、なんで大事な親友のことを忘れているのに、さらに大事なクトゥルフ神話だけ覚えているのだろうか?



 ま、今はどうでもいいけど。



(.........ところで、シュブ=ニグラスに問いたい)

「何?」



 いつの間にか会話しているメェーちゃんとシュド=メル。外神と旧支配者という、関係があるのかないのかわからないようなグループでも、まあ一応祖先は一緒みたいなものだし。



 実質血縁、うんきっとそうだろう。まあどうせ全ての神話生物の原点はアザトースだし、うん。



(......お前、本当にこのいかれたやつにその呼び方を許しているのか...?)

「そうだよ」

(......理由は今度尋ねても?)

(今度、てことは僕の仲間になってくれるんだね!)



 はっ、と身を乗り出したところで我に返る僕。いやあ、仲間になってくれることに嬉しさを感じてつい調子に乗ってしまった。



(......お前が知るにはまだ早い情報だが、まあ少なくともお前の仲間にh)

(いようし!シュド=メル及びクトーニアン確保!)

(...なぜこんな奴が...)



 いやはや、本当によかった。これで脱出もできるしシュド=メルとクトーニアン確保したらもう地下は制圧したも同然だな。



 あとは制空権だけど...どうするかねえ。大体のやつが空飛べるけど、いやでも空...宇宙...やっぱ外神の一柱を呼び出すか...?



 いや、それとも便利な神話生物とか...ここはさらにマイナーな、いやいあ、有名な神話生物もあり...



 ============================================




(なあ、本当に呼んでるのか?)




「召喚?そうだよ!マリアが私を呼んだし、バーストも、ショゴスも呼んだよ!」




「はっきり言って、今でも癪ではありますけどね」




(...バースト神までいるとなると、なるほど、信用に値する生物かもしれん)




「変態?って言われるような人間ってさっき自負していたけど、それでも?」




「(それは自負するような内容ではない(ですよ)...だがあの小娘()なら自慢げにいうだろう(でしょうね))」




「なんでああいう変態さんは恥ずかしくないんだろう?」




「推しを説明するのは呼吸と同じようなもの...あなたが食事をする、あるいはそこのミミズが土を掘るのと同義ということです」




(我はミミズではないのだが...いやそんなことは今の所はどうでもいい。問題は...)




「「??」」




(...あやつの独り言は、いったいいつになったら終わるのだ......)




 ============================================

ちなみに、シュド=メルというのはあくまでもクトーニアンという種族の中でも特に強大な個体につけられた名称です。



あくまでもリーダーであるだけではあるんですけど、結局のところ他の神話生物と比べると強いってわけですね。



どれくらい強いかというと、ショゴスとミ=ゴの合併チームだと倒せるか怪しいと言ったところ。いやでもミ=ゴの技術なら倒せるのか......?

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