幕間なのか本編なのか ~定期報告2~
久しぶりの定期報告会です。ずっとマリアのお話書いていると書きたくなってくるんですよね。
「.........定期報告、第■■■回目を開始する」
「ういっす。んじゃあとりあえずまずは<生存不可地域>についてからっすね」
「まずは、か。今回はかなり多そうだな」
「ええ、そりゃあもう。で、<生存不可地域>なんですけどね。どうも最近<変異>が増えているんです」
「確か、元々<変異>が多い地域ではあるんだよな?」
「そうっす。そうなんすけど、前の月と比べて2~3%ほど上がってるんすよ」
「...2~3%はかなり多いな。何かでかい<イベント>でも発生したか?」
「いやあそれがね、<決戦>と同規模のものはないんです。けど、上司も見たでしょう?あの...」
「...<魔王>の討伐か!」
「はい。調べたところ、やはりそれがトリガーになっているっぽいんすよね」
「つまり、<魔王>を討伐すればするほど魔獣が増えると?」
「さすがにそれは広く見過ぎかもっすけど...それと同等、あるいはそれ以上のことが起こりうる可能性はあるかと」
「...なるほどな。そして具体的に予測した起こりうるイベントがこの情報■か。」
「ええそうっす。ただまあ正答率10%って計測では出てるんで確証はないんすけどね」
「だがそれでも無視できん事象はあるだろう。特に無視することができないのは...天候改変、<生存不可地域>拡大、大規模戦争だな」
「ですねえ。全部が全部確実に人類の総数が減りますし、さらに環境が改悪されますから」
「今の所減少傾向が強いからな。人類にはさらに強くなってもらわないといけない」
「ええ。といったところで次の情報っす。<超インフレ作戦>について」
「それ、今年は本当に成功したのか?あの魔王の死に様を考えると...」
「いやね、俺もそう思って調べてきたんすよ。で、詳しく調べたところ...確かに成功はしているんすよ」
「具体的には?」
「例えばステータス。一応前回の<魔王>と比べて今回の<魔王>のステータスは上がってるっす。5%くらいっすけど」
「他には...なるほど、スキルは確かに全員が未知のスキルを所持しているのか。あの初戦敗北したやつのスキルは何だったんだ?」
「えっと、確か...この辺にあったよな...ああ、えっと。[分裂]というやつを持っていたらしいっすね」
「どういう能力かはわかるか?」
「もちろん。どうも本体が普遍的な攻撃、この場合は武器及び魔法攻撃ですが、それらを受けた時に多数の眷属に別れることでダメージを食らわないというものらしいっす」
「...む?だがあの矢を喰らった魔王はそんなこと起こっていたなかったはずだが?」
「......えー、それが今回お伝えしなければならない重要議題の一つでして」
「...何となくわかったぞ。おそらくだが、覚醒した勇者は魔王の特別なスキルの対抗策を持っているとかそんなところだろう」
「大正解っす。例えばあの矢を放った勇者だけの特別な<魔技>である<完全射出>は、相手の弱点に合わせて威力、サイズ、性能、属性、形状、命中部位などなど全部が全部変化するものっす。ちなみに確定命中らしいっすね、チャージは必要らしいっすけど」
「吸血鬼の最大の弱点である心臓への杭、そして<聖属性>の攻撃が絶対命中。それ一枚でどうにかなってしまうほどの対策カードじゃないか」
「ええ、だからやばいんっす。こうなってくると、おそらく他の魔王の持っているスキルに対するカウンターを勇者が持っている可能性、いや確実に持ってます」
「...一体誰が介入した?我々のことはあの信用ならないおっさん以外知らないはずだが」
「現在急ぎで調査中っす。あと1週間もあればわかる...と、思いたいっす」
「3日でやれ。我々のことがバレると本当にまずい」
「うす。調査班に伝えておきます...次に例のわけわかんない魔王なんですけども」
「うむ、それに関してはこちらからも情報がある。まずは君のを聞くがね」
「了解っす。えっとそしたら...まずは■■■ページを開いてもらっても?」
「ふむ」
「そこに書いてあるのが彼女の情報っす。やっぱり転生者だったのはあの入学式で判明してたんですがね」
「魔王に転生者がいたのは初めてだからな...っと、2度も親が死んでいるのか」
「マジで不運としか言いようがないですよ。1度目は盗賊、2度目は殺人鬼。どれも惨殺です」
「そして誘拐経験もおそらく2度で現在行方不明...と。履歴書でこんなものを見たら発狂ものだな」
「そもそもここまで色々起きているのに発狂していないのがおかしいとは思いますけどね。心が死んでいてもおかしくありません」
「だな......なるほど、やはりスキルによって出てきている生物は全て未知か」
「そうっすね。一応写真だけ撮ってきたんで、次ページを確認してほしいっす」
「ああそうだな...やはりか」
「え、やはりって?」
「俺もこっちで色々情報収集してたからな...そっちに送ったやつ、確認してくれ」
「ういっす...」
「...」
「...」
「...はあ!?」
「そうなるよな。まあ俺もそうなったからな、恥じなくていい」
「いや、でも、ええ!?」こ、これ本当の」
「しっ!それ以上は口に出すな...いいか、この情報は他言無用だぞ」
「あ、当たり前じゃないですか。でも、まさかあの生物群がそんな...」
「あの魔王が人前で全くあの生物群を出さない理由、それすなわちこういうことなのだろう」
「え...?じゃあ、まさか、あの魔王は全て理解していて?」
「そういうことになるな...全く、胃に穴が開きそうだ」
「...これはあれですか、我々も関与して守り通さなきゃですか」
「だろうな。しかも、生物群を怒らせることなく、絶対に彼女を死なせないように」
「死んだら最後、生物群が何するわかったもんじゃありませんからね」
「そしてもし死んだとしても...確実に、我々が生き返らせる」
「あのおっさん、怒りますよね絶対...」
「知らん。下手なことになれば我々が殺されるのだ」
「命より大事なものはありませんからねえ、特に我々は命が特に重要なので」
「だな...ああ、それともう1つ」
「ま、まだあるんですか」
「ああ...上の決定でな、給料が下がった」
「はい!?上司も俺も部下も全員危険な状況に巻き込まれるのにですか!?」
「そうだ。ちなみに減額は50%だ」
「完全に首切ろうとしてるじゃないですか...うちの会社は何があっても無関係ですって言い張るつもりですかね」
「だからまあ、もし首を切られた場合俺が会社を新しく設立することになるんだが...」
「あ、それならよかったっす。もちろんついていくっすよ」
「...すまないな、いつも以上に危険な目に合わせることになってしまうが」
「大丈夫っすよ。だって、種を消す戦犯かそれを阻止したヒーローのどっちかに確定でなれるガチャって考えると、ねえ?」
「...そのポジティブさ、見習いたいものだ」
「コツは楽観視っす」
「心に留めておくとしよう...さて、他には報告はあるかな?」
「あるっすよ」
「あるのか...」
「ええ。と言ってもこれで最後っすけどね。ニャルラトホテップについてっす」
「ついにか」
「いやあ、ほんっと遅れて申し訳ないっす。で、やつはどうやら武器屋をしているらしいんすよね」
「...やつの武器など絶対に買いたくないな。何が起こるかわからん」
「俺もです。最もそこまで繁盛はしていないので、国が乗っ取られたりあるいは世界が...っていう危険性もなさそうっす」
「そうか、それはとても良い情報だ。今後も諜報活動を続けてくれ」
「ういっす」
「では、これで第■■■回目の定期報告を終了する。何かあったら連絡してくれ」
「了解、お疲れっした〜」
次回、件の魔王がボス戦です。




