表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第二章 少狂学校生存
81/402

夢、幻、そして現実

さて、きな臭くなってまいりました。

「...ふむ、とりあえずはこれで座学を終わらせていいだろう。まだ<魔法属性>だけ、しかも全てを知ったわけではないが、お前が<召喚魔法>と<結界魔法>以外を使うことはまだないだろうからな。今は知らなくてもいいだろう」

「は、はあ...」



 メモを書いていたノートを閉じる。結構な文字数を書いていたのもあって、手も疲れてる。



 脱力し、椅子についている背もたれに身を任せる。目を閉じると、すぐに夢の世界へ行ってしまうだろうね。



「疲れるのも無理はない。戦闘を終えた後すぐに座学だったからな、休む時間もなかっただろう」

「そういう時間割にしたのは校長なんですけどね...」



 そう愚痴を漏らすと、校長は笑みを浮かべる。



「何、今日の授業はこれにて終わりだ。<学園寮>に戻ってゆっくり休むといい」



 パチン、と指を鳴らす校長。少しの間目が眩み、気がつくとそこは寮の入り口。



 見上げると、そこにあるのは真っ黒な暗闇。しっかりと月が出ているからね、もう夜ということだろう。



 ...そう考えてくると、もう眠いことに気がつく。思わずあくびが出てしまう。



「...ふわあああ、ああ」



 なぜこんな真夜中になるまで授業を受けないといけないのかがまるでわからない。前世で塾に通ってた同級生はこんな時間になっていたのかな?



 まあいい。とにかく寮に入ってエリカ先輩の部屋で寝るだけ






「キャアアアアア!!」



 悲鳴。街の方からそれが聞こえる。



 ...ふむ、確実にそこに向かったら何かが起こるし、行かないが吉だな。触らぬ仏に祟りなし、だ。



 とにかく真っ直ぐエリカ先輩の部屋へ向かおう。もう僕は寝たいんだ...



 ============================================



 目が、覚める。するとそこは見知らぬ場所。



 すぐに起きあが...れない。どうやら腕と脚が固定化されているみたいだ。



 また口には猿ぐつわが付けられて、喋ることもままならない状況。鼻が塞がれていないことから、呼吸はできるしこの状況にした何かは僕を殺そうとは思っていないらしいことがわかる。



 唯一動く首を振って状況を確認するが、ふむ。



 真っ白な部屋、それに見合わない機械的な姿の物体。そもそもこの世界に機械が似合わないのは置いといて、なんだかこのままだとちょっとヤバそうな雰囲気がある。



 なぜなら、いくつかの機械のようなものの先端にはドリルのようなものは鋸のようなものがついているからだ。そのほかにも刃物だったりビデオカメラに見えるものがあるし、ここで人体解剖でも...



 ...雰囲気じゃないな、やばいわこれ。



 メェーちゃん、動けるなら出てきて。



 ...



 ...



 ...出て、こない。バースト、ショゴス、あなたたちは?



 ...



 ...



 ...絶望的だあ。ファンブルか、そもそも不可能か。まあそもそも不可能の可能性が大きいか。



 ならばと思い、思いっきり力を込めて右腕を上げようとする。



 が、無理。腕と足を押さえている器具がひんやりしているからね、金属でできていると考えるのが良さそうだ。



 というか、今更ながら僕って服着てないね。本当に人体解剖の現場みたいじゃない。



 うーん、後何かできるか...あ、<ステータス表示>ってできるのかな。



 ーーーーーーーーーーーー

[名前] マリア

[性別] 女性 [年齢] 6

[種族] ■■■■■■

[職業] 召喚師(サモナー)(クトゥルフ神話)

[パーティ] <ギルドズパーティ>

<クエスト>:殺人鬼の捕獲 受注中

[ギルド] <未来団>

[到達点] Lv11


 HP 200/200 MP 240/240


 ーステータスーーーーーー


 筋力 102

 体力 102

 敏捷 94

 知性 70

 精神 654

 魔力 268


 ースキルーーーーー


 言語 Lv37

 召喚魔術 LV50 (2)

 応急処置 Lv62

 再生 Lv30

 耐性 Lv100 (MAX)(ON/OFF可能)

 結界術 Lv10


(魔王の種[発芽前] Lv100 (MAX))


 ーーーーーーーーーーーー



 開ける、ってことは異世界のまんまってことか。そしたら<インベントリ>は...



 ーインベントリーーーーー


 ーーーーーーーーーーーー



 空だね、うん。そりゃあメェーちゃんもショゴスもバーストもこないわけだ。



 そしたらあとは...



 コツン、コツン



 足音、それがどこからか聞こえる。思考をやめて、その音に注意する。



 ...後ろか。



 ギュイイイン



 質素な、しかし異世界には似合わない音が部屋に響く。よくあるスライド式のドアを開く音だ。



「■■■■■■■■■■■■」



 聞いたことがない音または声が聞こえる。なんらかの言語だとは思うが、果たして。



 そしておそらく僕が見ることが敵わない位置にいるであろうそれは、音を段々と変えてくる。



 不協和音、それが響く室内。しかしその音は段々と姿を変える。



『あ、あ、あ。これで聞き取れるかな?被験者■■■■』



 ついには、それは聞き馴染みのある言語となる。



 猿ぐつわで喋ることができないので、頷いて返事をする。



『そうか。お前は他のものよりも冷静だな。暴れたりしないのか。』



 するわけない。こういうのは冷静に対処するのが一番だし、暴れても無駄に体力を使うだけ。



 脱出のタイミングを逃すことにつながるからね、冷静さは欠かないとも。



『...我々は心を読むなどという芸当はできないからな。お前が何を思っているのかわからない。だが。少なくともお前が絶対に冷静であることだけはわかった』



 お、我々。つまりはほかにもいるのか、厄介だなおい。



『だからこそ。お前には我々の研究に協力してもらう。準備は』

「■■■■■■■■■■■■」



 それがしゃべっている途中、何かの音または声が聞こえる。さっきも聞いたやつだ。



 ただ、言語自体は同じでも言っていることが違うから何もわからない。音質も違うし、理解できるのは言語学者くらいのものだろう。



 一通り喋ったあと、それはまた声の調整をする。



『あ、あ、あ。ふむ。お前。運がいいな。侵入者だ』



 侵入者、ねえ。この異世界においてそういうことがあり得るとしたら、だ。



 例えば<ダンジョン>。<ダンジョン>は僕の知る限りは誰でも入って探索することが可能だ。



 例えばどこかの家の中。怪しいし家宅捜索というのもあり得ない話ではあるだろう。警察という組織があるのかは知らないけど。



「........!」

「......?」

「...............!?」

「...」

「...........!!」



 遠くで声が聞こえる。5人ほどだろうが、その声の奴らはだいぶテンパっているらしい、慌てている音が聞こえる。



『さて。このままだと我々の命も危ういが...お前を失うわけには行かないな。どうするべきか』



 考えるそれ。ぶっちゃけ逃げたほうがいいと思う、あなたのことについて全くわからないけど、確実に敵認定されるだろうし。



「■■■■■■■■」



 少し考えたあと、それは音または声を発した。おそらく仲間に連絡をしているのだろう。



 そして、そのまま少し何もない時間が出てくる。それも移動しないし、僕を守りきったほうがいいという判断だろう。



 それが吉と出るか凶と出るか...そんなことを考えていると、それが声の調整を始めた。



「あ、あ、あ。被験者■■■■。これがこの世界の言葉か。」



 一応頷いておく。すると






 ダカダカダカダカダカ



 走ってくる音、聞こえた後それらが止まる。おそらく扉の前にでもいるのだろう。



「ここが最奥、でいいんだよな?」

「はい。マップにはここの記載はなかったですが、全て探索し尽くしたはずなのでここが終着点です!」

「おそらくこの奥にボスがいるだろう。みんな、気を引き締めて」

「わかっています...支援魔法は終わりましたか?」

「魔力もほぼ底を突きてるからね...とりあえず、妥協で<筋力上昇(パワーアップ)>はかけといたわ」



 ......うーん、やけに聞いたことのある声だ。なんというか、確実に僕と敵対しているやつの声。



 ギュイイイン



 そう音がなる。おそらく扉が開いたのだろうが、さて反応は...



「うわっ!?な、なんだこいつ!?」

「見たことのない魔獣!?」

「み、みんな!?あ、慌てないで!?」

「あなたこそ慌ててるじゃないですか!?」

「でっかい!?」



 おお。なるほどね。天井はボス部屋みたいにめちゃめちゃ高いわけではなく、部屋の幅もそこまで大きくないからね。それは天井にくっつくくらいのサイズだと思っとこうか。



 しかも未確認の魔獣と。そんでもってみんな変に慌ててるってことは。



 まさかだが、神話生物?いやあ、そんなことある?



「...よく喋る口を持つな。これは貴様らも良い被験者となってくれるだろう」

「...こいつ、喋るのか」



 比較的冷静な弓使いの声。喋ることすら知らなかったのか。



「喋っているわけではない。ただ音を出している。その音を貴様らの言語に合わせているだけだ」



 その時、僕に衝撃が走る。



 神話生物、その疑いが確定事項となる。



 そうか、確かに奴らならこんなことだってできるか。結構人を誘拐するし、こんな機械的なものが部屋にあっても問題ない。



「さて。会話はもういいだろう。大人しく捕まれ。貴様らでは我々に勝つことはできん」

「戦闘しかないってことか...やるぞ、みんな!」

「「「「ああ!!」」」」



 瞬間、強い風が僕にぶつかる。そしてそのまま横になっている台座(と思われる)ごと壁に叩きつける。



 衝撃が全身に、体がバラバラになるかと思われたがそんなことはなく。むしろ怪我ひとつなく固定が外れた。



「な、おおお女の子ののの!?」

「な、え、き、君は!?」

「おお、いい眺めだ」



 よし、シーフは後で血を10Lほど献血してもらうとして、だ。



 ...それは、神話生物の中でもトップクラスで有名な宇宙人。



 楕円の頭、鋭い鎌、そして数枚の羽をもつ化け物。



 脳みそを研究し、そしてその技術を駆使して戦うことができる菌糸類。



 猿ぐつわを外す。頭の後ろで固定されているだけのものだから、外すのは容易だな。



「...ぷはっ。ふう、<勇者>の皆様、お久しぶりでございます。そして...初めまして、ミ=ゴ」

Q.菌糸類ってなに?


A.キノコとか、カビとか。まあどちらかというとエビに近い存在ですけどね(?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ