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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第二章 少狂学校生存
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幕間〜神話生物の食事〜

ギリギリまで書いてギリギリで削ってギリギリでこれを書いた結果ですね、はい。



遅れて申し訳ございません。

 頭が痛い。



 いやまあ、座学で学びを得ることができたのは良かった。問題はその内容。



 地球と違いすぎて、その時の情報を利用することがほぼできない。情報戦だと明らかにこの世界の人たちの方が強い。



 その理由は、覚え方に違いがあるから。白紙の紙に書くか既に色々書かれている紙に書くかという例えがわかりやすいだろうか。



 常識、その全てがぶち壊されてゆく。クトゥルフ神話を知った時、あの時を思いだすレベルのものだ。



 そんなことを考えながら、目の前のコップに入っている飲み物をがぶ飲みする。とりあえず適当に頼んだだけだが、意外と美味しい。



「美味しそうですね」



 声、いつのまにか肩に乗っているバーストの声だ。



「バースト、疲れは大丈夫?」

「大丈夫でなかったら起き上がってませんよ。最も、いまだに疲れは残っていますが」

「そうだよね...」



 鮮明に思い出せる、数時間前の記憶。犬...<アングリィメドッグ>の大群との戦いは本当にきつかった。僕も死にかけたし、神話生物たちも限りなく消耗した。



 メェーちゃんなんか、走り回ってぼこぼこにしてくれたおかげでこちらは助かったがメェーちゃんは怪我ばっか。超強力な質とはいえども、数には勝てなかったということだろう。今は頭の上ですやすやと寝ている。



 ちなみに今は昼。お昼寝にはちょうどいい気温とちょうどいい明るさである。



「お待たせしました!特製サンドイッチセットです!」

「お、きたきた」



 目の前に出される三角形の物体。美味しそう。というか今までの戦闘やら座学やらでエネルギーを消費しまくったせいで、銀貨3枚のこのサンドイッチが異常なまでに美味しく見える。



「...いただきます」



 興奮と口の中の涎を抑えてサンドイッチを手に収める。ふかふかのパンが手に当たり、味を頭の中で連想してしまう。



 ...そしてガブリと一口。もはや何も考えることなく咀嚼し飲み込む。



「...ああ、美味しい」



 おそらくサンドイッチという言葉自体は異世界、それも地球の言葉だろう。なぜか元地球人が転生者に多いらしいし、こういうものがあってもおかしくない。



 つまりサンドイッチというパンに何かを挟んだだけの食べ物すら洗練されている、だからこそ美味しい。



 葉物の野菜とお肉...ふむ、野菜は何度か畑を見たことがあるが、このお肉はなんだろうか。



「すみません!このサンドイッチのお肉ってなんですか?」






「特製サンドイッチですか?<アングリィメドッグ>の足ですね」



 ...なんだろう、すっごい損した気分になる。あいつら、全員食えたのかよ。



「お客さま?」

「ああいえ、大丈夫です。教えてくださりありがとうございます」

「いえいえ。ゆっくりしていってくださいね!」



 ...全部持ち帰ってれば良かったかなあ、あれ。多分焼いただけでも美味しいよ。



 そう思いながら次のサンドイッチを口に運ぶ。うん、美味しい。



「...美味しそうですわね。あなただけずるいのではなくて?」



 いやあ、そんなこと言われても...



 自分、お腹減ってるし。猫が食べれるものじゃないだろうし。



「そもそも神話生物って食事は必要なの?」



 気になってそんなことを聞いてみる。神話生物は神の如き強い力を持つが、あくまでも生物。人間は睡眠欲に性欲、食欲を三大欲求として求めるが、そこらへん神話生物はどうなのだろうか。



「必要ないですよ、ただ美味しいものは欲しいです。私が贄に赤子を求めるのもそこら辺が理由です。美味しいですよ、特に脳みそが」

「それ以上はこのサンドイッチが美味しく無くなってしまうのでやめてください」

「ふむ、残念」



 ...でもまあ、なるほどね。あくまでも食欲はなく、食事とは娯楽であると。



「じゃあやっぱり必要ないじゃん」

「必要ですよ。人間だって娯楽がなければ生きていけないでしょう?それに...」



 グウウウウ...



 お腹がなる音。それはバーストから発せられていた。



「この姿だと普通にお腹が減るんです。全く、メェーちゃんはどうやってこれを乗り越えていたのやら」

「ま、まじか」



 知らなかった、てことはつまりお腹が減っていた状態でメェーちゃんはずっと戦っていたのか。



「...なるほどね。すみません!」

「はい!ご注文ですか?」

「特製サンドイッチセットをもう3セットください」

「わかりました!少々お待ちください!」



 これでサンドイッチセットがみんなに届くことになるだろう。足りないかもしれないが、散財はいけない。実際僕もこれだけだと足りないしね。



「こういう優しさは、やはり人間の特権ですね。その優しさに感謝を」



 ペコリと頭を下げるバースト。



「ああいや、こちらこそ。今まで何度も力を貸していただいてますし、それに空腹に全く気づきませんでしたし」

「あら、メェーちゃんは一度も言っていないの?ふむ...」

「お待たせしました!特製サンドイッチセット×3です!」



 テーブルの上に並ぶサンドイッチ。普通に美味しそうだが、これは僕の食べるものではない。



「メェーちゃん、ご飯だよー」

「いいの!?」



 がばっ、と起きるメェーちゃん。口から涎が垂れてきて頭がずぶ濡れ、ギャグ漫画みたいなことになっているのだが。



「うんいいy」

「いただきます!」



 即座にテーブルに飛び乗り()()食べ尽くし、さらには飲み物を飲み尽くし、そして頭の上の涎をテーブルの上にあった紙で拭き座る。



 この間わずか1秒。とんでもない速度で食事を終わらせた、のだが...



「ごちそうさま!美味しかったあ!」

「私の分が...」

「ちょ、すみません!あと2つ追加で!」

「かしこまりました!」



 ...これからは確実に食費が馬鹿でかくなる、そんな気がする自分でした。

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