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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第二章 少狂学校生存
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アリ15匹と宇宙人

校長先生、どれだけ強いのでしょうか。

「ぬうん!!」



 自分のサイズの100倍はある巨人、その()()を思いっきり殴りつける校長。さっきまでステータスを見てたから、校長が何をしていたのか見ていないが...



 明らかに強すぎるこの人が戦う姿を見て学べることがあるはず。よく見ておかなくては。



 ズシィーン!



 最も、ただのパンチ1発で巨人が1体倒れているけどもね。



 すると、校長はそのまま()()でジャンプする。それを5回ほど繰り返すと、いつの間にか次の1体の元へ。



「ふん!!」



 殴る校長、吹っ飛ばされる巨人。



 しかもその吹っ飛ばした方向が他の巨人の方であり、これだけで2体の巨人を倒している。




「「「「「「「「「「オオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」

「がっ...み、耳が...」



 鼓膜が破れんほどの大きさの咆哮。ようやく巨人も危ないと考えたのか、咆哮中の巨人を殴りつけた校長に向かって突進している。



 鼓膜が破れなかったのか、あんなに近くにいたのに。まあともかくこれで残りは9対...9!?



 あれ、おかしいな。僕が見ている限りだと校長はまだ4体しか倒していないような。てことは僕がステータスを見ていた10秒間くらいで...あ、また1体死んだ。



 空中を跳び回り、巨人を殴る。たったこれだけ。いやそのこれだけが異常なのは置いといて。



 さらに1体。今度は跳ぶ勢いを乗せていたため体を貫通しているが、まあ驚きはしなかった。



 だってまあ、ずっと驚いているんだもん。



「せい!!」



 また1体、今度は思いっきり腹を蹴られる。くの字になって倒れ、その下にあった木々を薙ぎ倒す。



 次の1体。手刀で袈裟斬りをしたかと思うと、なんと巨人の体が斜めにずり落ちていった。



 そこから溢れ出す血は、まるで雨のように周りに降り注いでくる。僕の服も真っ赤になってしまう。



 だがそんなことは気にせず校長に対して見入ってしまう。空を跳び、また他の巨人の元へ。一瞬右手が光ったかと思うと、そのまま巨人は塵と化した。



 もはや血すら出ないほどのものであり、どれだけ高威力なのかは想像すらできない。しかも右手はそのままだし。



「オ、オオオオオオオ...」



 弱々しい声を上げながら巨人の1体が逃走を図る、がそれを校長が見逃すはずもなく。



「逃げられると...思わんことだな!!」



 跳び膝蹴りを背中、それも背骨のど中央に当てる校長。



 当然、巨人は上半身だけを逆くの字にしながら突っ伏す。あれは普通にやられても痛いやつだろう、他のも痛いやつだけども。



「オオオオオ、オオオオオオ!」



 自暴自棄になったのか、がむしゃらに走って校長の方へと向かう巨人の1体。



 そしてその首を手刀で刎ねる校長。またもや降り注ぐ血の雨。



 ...ん?浮いている校長の足元に何かあるな。最初の血の雨の時はすぐに跳んでいたからわからなかったけど、床みたいなものに乗っているのか。



 と考えていた矢先。



「グオオオオオオオオオオオオ!!!!!」



 雄叫び。それは先ほどの10、いや9体での咆哮とは比べ物にならないほど大きいもの。



 体は段々と赤くなり、黒く禍々しい模様が出てくる。部族の紋様みたいな、そんな感じ。



 武器もただの石槍(サイズがサイズのため十分に脅威)が神々しい三又槍に。



 その一方、自分は鼓膜が破れないように必死に耳を塞いでいた。すると唐突に巨人のステータス画面が表示される。



 ーーーーーーーーーーーー


 >タイタン・オブ・ヴェンジェンス/ミュウタント<



 HP 1600000/1600000


 ーーーーーーーーーーーー



 160万...?なぜ故に最後のやつが16倍に?



 一応名前も変化して...復讐の巨人、ミュウタントっていうのは多分ミュータント(突然変異体)だから...



 言うなれば、復讐の巨人/変異。あれか、他の巨人が倒されて怒り狂ったのか。



「ちっ...このタイミングで<変異>か。セルの方でいくつも起きているとは聞いていたが、まさか北で、しかも<イベントボス>の<変異>とはな」



 違った。どうも<変異>っていうやつらしい。確かに団長から南の魔獣が<変異>しているというのは聞いていたけど...



 確かシウズ王国からエル()に3、ヌル()に6の場所だったよね、ここ。南で起こっていることが北の方にも影響を及ぼしているってことなのかな。



「流石に使わざるを得ないか...ぬぅん!!」



 と叫ぶ校長。しかし特に何も起こらない。直後、右手を突き出す校長。



 一体何を...



「久しぶりに仕事だぞ、俺の愛斧、<終焉世界(デストロイワールド)>よ」



 つぶやく校長。そんな大きい声じゃなかったとは思うが、なぜかはっきり聞こえる。どうやら聴覚が鋭くなっているらしい。



 いや、確か校長のこと目で追うことができたことも考えると、五感の全てが鋭くなっていてもおかしくはないな。






 そしていつのまにか校長の手に握られていたそれは、周りに巻き起こっている風が飛んできたことを教えてくれていた。



 最も、僕は見えていない。思考している間にも目線だけは校長に向けていたから、まあ本当に見えなくなるレベルの速度で飛んできたと考えていいだろう。



 サイズは巨人の顔と同じくらい。巨人の顔は校長の3倍くらいで校長は僕の1.5倍くらい。僕は6歳児としては平均的である。



 つまり導き出されるサイズは約5mくらい。そんな大きさの戦斧についている2枚の刃は校長と同じくらいの大きさ。



 そして何よりも...



 "おいおい、俺を呼ぶのが遅すぎるんじゃあないかあ?"

「お前は目立つだろう。それに俺は校長、生徒の前では紳士的な戦いをしなくてはな」




 そう、校長と戦斧が会話していた。なんで?



 "ならさっさと目の前のやつを殺さなくちゃあなあ"

「だからお前を呼んだのだ。こいつは早く殺さなければ、周辺国に被害が出る可能性があるからな」



 そういうと、校長は戦斧を()()で担いで突っ込んでいく。



 しかし巨人は驚きもせず、一般人が槍を振るったらこうなるであろう速度で槍を振るった。



 あの巨体である。ただただでかい槍を動かすだけで相応の風が巻き起こり、体を揺らす。その風は僕たちにまで影響を及ぼしていて、僕の体がすごい速度で浮き上がってしまう。



「っ!ショゴス!」

「ハい、マスター」


 ちゃんとショゴスが触手で僕を巻き取ってくれたからいいものの、あのままだとどこか遠くに吹き飛ばされていただろう。



 一応アキ先輩はショゴスが固定化しているから吹っ飛ばないし、そんなことよりも早く校長の方を見なければ。



「うおお!!」

「グオオオオオオ!!!!!」



 カアン!ゴオン!ガキィン!!



 槍と戦斧がぶつかり合う。弾き弾かれ、押して押される。ある程度拮抗しているといえる勝負になっているあたり、相当巨人は強くなっている。



 まあステータスが16倍になったらね、そりゃそうなるんだけど。



「<殺刃>!」



 と言いながら戦斧を振るう校長。すると戦斧が黒く光り、エネルギー刃のようなものが飛んでいく。



 これが<魔技>か...確かに教室でやることではない。



 しかし、巨人はそのエネルギー刃を叩き潰すように槍を振るうと、その槍が黄色に染まっていく。



「グオオオオオオ!!」



 槍を地に刺す巨人。段々と空模様が悪くなっていき、太陽の光が消えていく。



 さっきまで雲ひとつない快晴だったことを考えると、こいつが発動した<魔法>によるものだろう。



 瞬間、雷が所々に降り注ぐ。しかもその頻度が尋常じゃなく、地面を見た時に視界の中に雷が落ちていないことがないほどだ。



「この程度!!」



 だがそれをものともしない校長。若干の視界不良以外は全く効いていない様子だが、確かに幾度となく雷が校長に降り注いでいるはずである。それも現在進行形で。



「おおお!!」

「グオオオオ!!!!!」



 2つの咆哮と幾つもの打ち合いの音。雨の中、火花すら散るこの世界で戦う校長と巨人。



 拮抗した戦いの中、それを先に穿つのは巨人だった。



「グオオオオ!!!」



 青く光る槍の、目にも止まらぬ速さの連続突き。先ほどまでの力と力のぶつかり合いでは起こり得ない、あり得ない数の突きが校長を襲う。



 そう、さっきまでは力と力がぶつかり合っていた。だからそれに目が慣れてしまった。



 避けていく校長。しかし三又槍の範囲が思ったよりも大きかったのか、思いっきり三又の端の穂先が突き刺さる。



 巨人サイズの槍、その穂先。当然細い訳もなく、上半身と下半身が別れを告げる。



 だが、



「ぐう!!だがこの程度、<オオバアキル>で何度も食らっておるわあ!!」



 叫び、思いっきり戦斧を槍に叩きつける。



 ゴオオォォン!!



 金属と金属のぶつかる音。それはまるで大きな鐘が鳴った時のような音だった。



 そして、その反動で浮かび上がる校長の体。そのまま()()()()()()()()()()()()()左脚で空を蹴り、思いっきり戦斧を振り上げる。



「<排除執行>!!」



 漆黒に染まる戦斧。それを両手で巨人の顔面に叩きつける校長。



 しかし、それほどまでに大ぶりな動きだからこそすぐに対応できるのか、すぐさま槍を防御に使う巨人。



「その程度お!!」



 完全に再生した両足で空を蹴り、思いっきり真下に向かう校長。



 その勢いは雷すら振り切るほどで、地面に特大のクレーターを生み出して着地した。



 もはや自然を壊すとかそういうレベルではなく、人災あるいは天災に近いものだったが、果たして...



 巨人はそのまま立っていた。だが、クレーターの範囲内にいた巨人はバランスを崩して倒れ...ず、縦半分になった体が両側に倒れることになる。



 ズシイイイン.........



 響く振動、いつのまにか快晴になっていた空から太陽が覗き込んでいる。



「解除しても...良さそうですね...」



 バーストがそういうと、<結界>が消滅する。そしてパタリと倒れるバースト。



 そっか、ここまで僕たちに対する攻撃から全て守ってくれたんだもんね...相当な負荷になっていただろう。



「バースト様、ありがとう。今は<インベントリ>の中でゆっくりと休んでいてね」



 すやすやと寝ている猫を<インベントリ>の中にしまう。起きたらなんかしてあげないとなあ。



「さて、マリア・ヒルドよ。久しぶりに俺は本気を出した訳だが、その感想はあるか?」

「バケモンでした」

「化け物...まあ、それが一番正しいだろうな」



 実際そうだし。かっこいい服が破れている半裸の戦斧を担いだおじさんだからね、今の校長。



 "化け物呼ばわりも久しぶりに聞いたなあ、バルバトス"

「そうだな、実に60年ぶりだ」



 60年。前世ではすでに定年退職していてもおかしくない年齢だが、この世界ではまだまだ現役時代らしい。



 だが...それにしても、気になるな。



「あの、ところでその喋る戦斧は一体...?」

「む、知らないか。これは<終焉世界>という白金級戦斧。白金級の武器になると意思を持つのは常識なのだが...」

「知りませんでした...」

 "ほぉーう、そうかそうか。だいぶ平和な世界になったものだなあ"

「平和なものか。<魔王>と<勇者>が現れたのだぞ」

 "おお、おっかねえおっかねえ"



 目の前にいるんですけどね、魔王。



「だが、そうだな...これから世界は戦乱の時代となるだろう。マリア・ヒルド、貴様は一度座学を受けておくべきかもしれん。何、俺が行うからな。相応に良い知識が得られると思っておけ」

「あ、ありがとうございます!!」

「良い返事だ」



 そりゃそうだろう。僕はまだまだこの世界について知らないことがあるからね。



 知れるのであれば、その機会を逃すわけにはいかない。



「ではこのまま座学に移行するとしよう」

「え...ここで?」

「そうだ。きた時にも言ったが、ここは比較的安全なのでな」



 安全どころか危険地帯にした張本人が何をいうんですか。まあいいけどね。

ちなみに校長の元ネタは某朝日を拝ませてくれない人です。



それと、次回はこの世界の設定について書こうかと思います。

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