勇者の幕間①〜「血楽の魔王」戦前〜
ネタ切れによる幕間です。
なんか幕間って毎回書いている量少ないのに情報は多いような気がします。
「......このメンバーが、今回の<勇者>ですか」
「はい、司祭様。我々は[勇者の種]をもつ5人の勇者です。この度、<国立学園>に無事入学することができました」
「なるほど......」
ジーー
「......」
「な、なんですか。このシート・サントニーに何かあるというのですか?」
「いえ...あなた、既に覚醒してますね」
「なっ!?」
「図星、でしょう。つまりはすでに<魔王>の一人が覚醒しているということ。気をつけるように」
「は、はい!」
「そして...あなた、名前は?」
「あ、えっと、め、メーノと言います!」
「メーノ....とてもいい名前です。その名前、忘れないほうがいいでしょう」
「わ、わかりました!」
「あなたは...ソルス・バミアですね。報告は聞いています、なんでも、既に<魔王>の一人と接触したのだとか」
(僕はまだ<聖神信仰教会>には言ってない、ということは母さんと父さんが言ったのか...)
「はい、司祭様。おそらく<魔王>と思われる人間の女の子と接触しました」
「ほう、人間の女の子ですか。名前は聞きましたか?」
「名前...確か、マリアと」
「.........なんと、ふざけた名前を...」
「あ、あの、司祭様?」
「......見苦しいところを見せてしまいましたね。それで、その<魔王>のスキルなどはわかりましたか?」
「は、はい。確かあの者は、自らのことを召喚師と言っていました」
「召喚師...なるほど、わかりました。ならばそのものが持つスキルは[召喚(クトゥルフ神話)]でしょう」
「す、スキルがわかるのですか!?」
「...ふむ、あなたの名は?」
「あ、申し遅れました!私はカミラと申します!」
「カミラ...わかりました。私たちは慈善事業として3歳の子供全員に対してステータス調査を行なっています。知っていますね?」
「はい!私も3さいの時に<鑑定石>を触りました!」
「ええ、そうでしょう...盗賊の子、マイゲスよ。あなたに質問ですが、赤の<鑑定石>ではどこまでステータスを見ることができますか?」
「おう。赤ならステータスの<色別階級>と年齢、後は名前と性別だぜ」
「お、おいマイゲス。せめて司祭様には敬語を...」
「良いのです、ソルス・バミア......そうですね、マイゲス。正解です、そうスキルまでは見ることができないのです。スキルは個人の強さを最も色濃く表すもの、スキルは本来...」
「銅の<鑑定石>以上の物のみ、だろう?」
「その通りです。なので、表立っては赤の<鑑定石>を、裏では銀の<鑑定石>で[鑑定]していました」
「...なるほど、ですがそれだけでは<魔王>のスキルかどうか判別できないのでは?」
「ええ、そうです。<魔王の因子>も<勇者の因子>と同じく白金の<鑑定石>を使わなければいけません、ですが...」
「ですが...?」
「ある時、情報が入ってきました。どうやら今回の<魔王>は<勇者>を単独撃破できるレベルまでに強くなるらしい、という物です。<超インフレ作戦>と言うらしいですね」
「と言うことは、だいぶ手応えのある敵と戦えると言うことですか?」
「苦戦する、とも言いますよ、シート・サントニー」
「...すみません、司祭様。つい、こうウキウキしてしまいまして...」
「その性格、いつか自らの身を滅ぼしますからね」
「...ご忠告、ありがとうございます」
「さて、そしてドジにもう一つ情報も得ていました。それは、<超インフレ作戦>の影響で<魔王>が未知のスキルを所持している、という物です」
「あ、<召喚(クトゥルフ神話)>は未知のスキルだから!」
「さすがカミラ、頭の回転が早いですね。そう、逆説的に未知のスキルを所持している者は魔王であると言えるわけです」
「じゃあ、あのマリアという女の子は確実に魔王である、ということですね。確かシウズ王国の<国立学園>に入学すると言っていましたが...」
「それなら、もしかすると入学式の時に会えるかもしれません」
「じゃあその時に全員で畳み掛ければ!」
「いえ、それは無理でしょう。覚醒していない状況だと、絶対に<魔王>の方が強いのは先代勇者が立証してくれています」
「そ、そんな」
「ですが」
「「「「「?」」」」」
「例年通りなら、あなた方がシウズ王国にて集まり、そしてシウズ国王の目の前で演説すれば、既に覚醒している魔王があなた達の所へきてくれるはずです。その魔王を叩けば、まず一人目の討伐が完了するでしょう」
「...きてくれる、というのはどういう...?」
「文字通りの意味ですよ。既に覚醒している魔王は確認されていますし、その魔王がだいぶせっかちな者なのも調べがついています。そして、先ほども言った通りこの最初の魔王との戦いは今までの<勇者>と<魔王>の抗争で毎回起こっている事なのです」
「...なあ、そのこと<魔王>は知ってるんじゃないのか?毎回起こっていること、なんで毎回繰り返すんだよ」
「まあ、そう思うのも無理はないでしょう。ですがいいですか、マイゲス。<魔王>はあなた達のように結託して<勇者>と戦ったことは一度もありませんし、それは今回もあり得ないのでしょう。そのため、過去からの教訓という情報が全く手に入らない状況なのです」
「それ、魔王勝つ気あるのかよ」
「もちろん、あるでしょう。しかし、過去のことを知れないのは現実なのです」
「...卑怯、じゃないですか?それ。どう考えてもフェアでは...」
「そうですね。フェアではありませんし、過去の勇者にも卑怯だと言われたことはあります。しかし、だとしても<魔王>はいてはいけない存在なのです。たとえどれだけ卑怯、それこそ闇討ちなどしてでも<魔王>は全て殺さないといけないのです」
「「「「「.........」」」」」
「話がそれましたね。今回私があなた達をここに呼んだのは、何があっても<魔王>を討伐しなければならないあなた達の意志を確かめるものです。いいですね?最初のあなた達の<クエスト>は最初にあなた達の元にくる魔王、<血楽の魔王>の討伐です」
「<血楽の魔王>、それが魔王の名ですか?」
「二つ名というやつです。<魔王>はそれぞれにそういう別名を持ちます。今回の<血楽の魔王>の場合、既に吸血鬼に<変異>しているのでこういう名前なのでしょう」
「<変異>、とは?」
「<魔王>は、原則人間から生まれます。これは過去に証明されているので詳しい説明は省きますが、覚醒時に人間よりも強い種に<変異>するのです。元々<変異>とは魔獣が別の魔獣になることを指しますが、まあ大体同じようなものです」
「じゃあ、その吸血鬼という種が現れたら、そいつが魔王ということですね!」
「そうです。その<血楽の魔王>およびその情報は後で冊子としてあなた達に渡すのでよく読むように」
「「「「「はい!」」」」」
「良き返事です。それでは今回の集会を終わりましょう。次回会うのは、<魔王>が覚醒し討伐のタイミングとなった時です」
ちなみにマリアの元ネタは某s...うわ何をするやめ




