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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第二章 少狂学校生存
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弱肉強食の摂理

昨日が26日じゃないんですねえ...



ま、いいですけど。

「まずは挨拶を。私はこの<国立学園>校長を務める、バルバトス・ストーリク。以後お見知り置きを」



 そういえば、<国立学園>なのになんで校長なんだろう。普通なら学園長とかだと思うんだけど...



 ま、いいか。今は校長の話に集中しよう。



「さて、それではまず入学者に祝辞を送ろうと思う」



 祝辞、なんだか嫌な予感がするのは僕だけだろうか。



「最初に、入学おめでとう。お前達は入学するに値する強さを持つもの達だ。4714の命は無惨にも散っていったが、お前達はその屍を超えてここにいる。それを忘れぬように」



 散った理由ってこの学園の仕組みが原因じゃないですかね。



「だが覚えておけ、この程度で死ぬもの達は外では生きていけない。お前達はまだ知らないだろうが、魔獣というのはとてつもなく恐ろしい存在だ」



「知ってるよ...」という声がどこからか聞こえてくる。あの21人の中の1人だろうか。



「そして同時に、人も。自らの意思を通すためなら命すら奪うのが人間、これ以上に恐ろしい存在はいない」



 戦争とかね。



「お前達が今ここにいる理由、それは生き抜くためだ。この世界で生き残ることができるのは、強いものだけなのだ...俺からの祝辞はこれで締めさせていだく」



 パチパチパチという拍手、合わせて僕もやっておく。



「それでは次に、国王陛下からの祝辞を」



 その言葉が聞こえた瞬間、誰もいなかった壇上に誰かが現れた。



 さっきも見た、王冠をつけている人。しっかりとマントを羽織り、絢爛豪華な装いのその姿は確かに国王陛下なのだと一瞬で理解できるものだ。



「皆さん、私がシウズ王国国王である<キーグ2世>です。入学おめでとう」



 マイクはない。その代わりに国王陛下の口元に<魔法陣>が見える。



 魔法、万能。



「あなた方は、我が国の宝だ。これからも精進するように」

「以上、国王陛下からの祝辞でした」



 校長が終わらせる、国王陛下が消える、そして大喝采。あまりにも短いと思うのですがそれは。校長より短かったぞ。



「それでは次に、入学者代表の言葉だ。ソルス・バミア、前へ」



 ...ソルス・バミア。つまり。



 どこかにいる生徒が立つ。そのままゆっくりと前に向かっていく。



 そう、その姿はかの勇者の姿だった。このまま壇上に上がるだろうから、可能な限り顔が見えないようにうつむせておく。



 腹も抱えておいて、腹痛みたいな状態にしておこう。



「皆さん、こんにちは。入学者代表に選ばれました、ソルス・バミアです」



 聞いたことのある、声。聞きたくもないわけじゃないが、あまり耳によろしくない声だ。



「私達は、この学園に入学できてうれしく思います。一緒にいた友は消えていきましたが、その思いまでは消えていません」



 わーなんかかっこいいこと言ってる。



「ですので僕たちがするべきことは.............なので............だから...................それで.........」



 長い。あまりにも長い。いや、もしかするとさっきの校長と国王が短すぎただけなのかもしれない。



 ただ、この長さは朝礼とかの校長の長ったらしい話と同じやつだろう。



「......つまり、僕たちは校長先生が言っていたように、生き延びねばならない。それが僕たちの使命なのです。誓いましょう、僕たちは人生を謳歌すると。この理不尽な世界で生き延び、平和な世界作り上げると!!」



 おお、すんごい大層なことを言ってi



「そして!僕たちはまだ誓わねばいけないことがあります。皆、前へ」



 すると、どこからともなく4人の生徒が立ち上がり、そのまま壇上へ向かっていく。怪しい雰囲気が出てきましたけれども、一体何が起こるのか。



「我々、<勇者>一同はここに宣言します!」

「平和な世の中を築くと!」

「そのために悪を滅ぼすと!」

「<魔王>を打倒すると!」

「この世界をより良くしていくと!」



 ワアアアアアアという歓声。それが空間中に響き渡る。



 一応それに涙して拍手するが...これ、ようは宣戦布告又は殺害予告ですよね。



 嬉し泣きじゃないよ、どちらかというと恐怖による涙だよこr






「はっ!こんな弱っちい奴らが我々を打倒するだと?甚だしい」



 どこからか、声が聞こえてくる。



「何だと!」

「おいおい理解できなかったか?俺っちは、お前らなんかに殺されないって言ったんだよ!」



 瞬間、僕たちの上に何かが現れる。



 人の形、黒いマントを羽織り、周りには蝙蝠らしき生き物がいる。



「牙もついている、ってことは!!」

「そう!俺っちは覚醒した<魔王>が一人、ザイン・シリウス!!お前達を殺しにはるばるやってきてやったぜえ!」

「何!?」



 吸血鬼、それの特徴に当てはまる存在。それが僕たちの上にいた。



 距離にして5m。なかなかの存在感。



「きゃああああ!」

「ま、魔王がこんな近くに!?」



 慌てふためく周り。一応それに合わせて僕も慌てておく。



「てめえらを八つ裂きにしてやるぜえ!」



 それを尻目に空を飛び、そのまま勇者の方に向かっていく吸血鬼。



 ...そういえば、魔王の成長って勇者と同じなんだよな。僕はまだ種のままであることを考えると、魔王1人につき勇者1人っていう感じで成長がリンクしているんだと思う。



 てことは、おそらくこの場にいる勇者のうち...



「侮るな!お前の覚醒に合わせて、僕だって覚醒しているんだ!」



 ビンゴ。そしてメガネをかけた男の子が叫ぶ。



「我はシート・サントニー!我の呼びかけに応じよ、聖弓!」



 叫びが空間中に響き渡る。すると、叫んだ者の手の中、光と共に弓が現れる。



 しかもサイズがでかい。射手の10倍はあるだろう。



「はっ!そんなでかいだけの弓、俺には効かねえぜえ!」



 突進する吸血鬼。だがね、吸血鬼よ。



「はああああああ......」



 ...この世には、理不尽があるものなのだ。



「<完全射出(パーフェクトショット)>」



 放たれた一筋の矢。矢というよりかは杭のほうが近いが、とにかくそれは完全に奴を捉えていて。



 青い水の流れを纏った一撃は、真正面から吸血鬼を貫いた。



「うぎゃあああああ!?」



 困惑する吸血鬼。それは次の瞬間、コウモリに化けた。



「くそっ、一気にダメージをもらいすぎた!ここは一時撤退して...」

「逃すか!」

「がはっ!」



 そして、そのコウモリに2本の小刀が刺さる。恐るべき投擲精度だな。



 ホバリング中とはいえ、動いている小さい物体に対して当てることは容易いことではないだろう。あのでかい弓の場合は自ら当たりに行ってたようなもんだけど。



「<麻痺(パラライズ)>」

「ぐ、う、動け、ない、くそお」



 杖を持った女の子の勇者がさらに魔王に対して魔法を使う。現れた魔法陣は黄色、<麻痺(パラライズ)>って言ってたしおそらく行動確立が1/2にでもなったのだろう。速度1/2もセットで。



 しかし...ここまできたらリンチだな。そりゃ5人の勇者に突っ込んでいったらそうなるけどさ。



「残りHPは1割!いけますよ、シートさん!」

「おう!はああああああ...」



 なんと、もう一人は情報係か。え、じゃあ


 正統派剣士(予測

 2本の小刀使いの盗賊(シーフ、後予測

 遠距離火力型の弓使い(予測

 どんな魔法も使う魔女(めっちゃ予測

 なんでも見通す司書(予測


 っていう超バランスのいいメンバーってこと?もしそうならさ、<魔王>ってめっちゃ不利じゃない?



 闇討ちとか結託とか、そうゆうことしない限り有利な状況にはならないよね、これ。



「<完全射出(パーフェクトショット)>」



 またもや放たれた、杭。



 それは完全に吸血鬼を捉えていて。



「ぐぎゃああああああああああ!!!」



 とてもうるさい叫びを残して、最初の魔王は消え去っていった。



「よし、俺たちの勝利だ!」

「「「「「「「うおおおおおおおお!!!」」」」」」」



 歓声、感涙、その他諸々が沸き起こる。



 そう、<勇者>は<魔王>の内1人を打倒(リンチまたは公開処刑)したのだ。



 残る敵はあと4人、<勇者>は<魔王>に勝てるのか。



 頑張れ<勇者>!負けるな<勇者>!





 ...みたいなテレビ番組が放映しててもおかしくないほどのやられっぷりだったな。



 どう考えても慢心によるもの、吸血鬼ならばそれ相応の戦い方があっただろう。



 あ、もしかしてあの吸血鬼ってただの<勇者>の引き立て役で、裏で<勇者>と繋がっていたのかもしれない。



 じゃなかったら、あいつはただのアホだな。

Q.あいつってただのあほ?


A.はい、ただのアホです。



いやね、ほんとは強いんですよ。ちゃんと覚醒した時に<血楽の魔王>っていうスキルに変化しましたし。



だからね、もし慢心してなかったら大丈夫だったんですよ......





残る魔王 4


残る勇者 5

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