神様仏様
主人公の性格がある程度わかります。
「誰だよとは。失礼な子供ですねえ」
なるほど、心が読めるのか。それは便利な能力だ。
てか、あんた誰?
「いやだから、神様に対して失礼じゃないですか?」
そんなことをほざいてきた。
「ほざk」
「あなたが名乗っているだけかもしれない、ちがう?」
実際そうだと思っているからこう言っているわけだし。
「……まあ、信用していないことはわかりまs」
「目の前に急に出てきた、半裸の、神と名乗る不審者があなた」
絶対に誰も信用しないしできないと思う。
で?誰?
「……神様です」
あからさまな嘘乙。
で?だr
「あなたは、死にました」
………あー、まじか。やっぱ自殺だったか。
「いえ、トラックにはねられて」
「………なんだか急に頭が痛くなってきた」
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「落ち着きましたか?」
「まあ………お陰様で」
「それは良かった」
その後、急にイスとテーブルとお茶が出てきて「少し飲んで、落ち着きましょうか」と言ってきて、飲んで落ち着いたところである。
「………暴れまわる人もいたの?」
「中にはそんな人もいましたねえ」
つまりこれまで何人も見ている、と。
「僕はこれから………どうなるの」
「結構、話が早いですね。まあ私としては助かるのですが」
そう言って、神は髪の中から紙を取り出した。ダジャレがなにかか。
「これに記入をおねがいしても?」
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[-名前-]
[-性別-]
[-職業-]
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………あーーはいはい。これあれだ、転生するやつだ。学校の図書室でよく読んだっけ。
「これステータス?」
「………あなたで35人目ですよ。その質問する人」
「日本人ばかり来ているのであれば、わかる人多そう」
な○うとかは有名だしね。転生モノ。
「生死は軽々しく扱うものではないのですが……」
「僕、自分の名前がわからないのだけど」
「………………転生後の名前なので、自分の名前じゃなくても大丈夫ですよ」
顔に無視されて悲しいと書いてあるぞ。
と考えると、すぐに元の胡散臭い顔に戻る。この反応が意外と面白い。
性別はもちろん女性。
職業は、テンプレート的なやつにするか。
うーん、名前は………あれにしよう。
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[マリア]
[女性]
[召喚師(クトゥルフ神話)]
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これは自画自賛するにふさわしい出来だね。
「いやいや、ツッコミどころしかありませんよ」
ほら、すぐそうやってちゃちゃをいれるから胡散臭いって言われるんだよ。
「あなたしか言っていませんよ………まず、あなたは男でしょう。マリアという名前もそうだし、性別が変わると性同一性障害を引き起こしますよ?」
「………現在進行系でそうなんですが」
「それは……失礼しました。まだあまりあなたのことを知らないので」
「いえ、別に」
………まあ、似たようなことは色々な人に言われてきたからね。もう慣れちゃったよ。
「ええっと……この召喚師はわかるのですが、その後のクトゥルフ神話とは一体?」
「神なのにクトゥルフ神話をご存知でない!?」
「さっきの空気はなんなんですか?!」
いや、え?神でしょ?全知全能でしょ?そんなやつらがクトゥルフ神話を知らない?いやいや、仏様だってその上位5%は知ってるこの世の常識をしらないの?
「いや、流石に常識では………」
「いーや常識だね。多分1000年後には国語の教科書に掲載されてるよ」
「それは絶対にないと思いますよ」
まあとにかく、知らない神には布教しなくてはな。
「クトゥルフ神話とは地球の西暦における二十世紀初頭にアメリカのオカルト作家の文豪である………」
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「………………現在だとtrpgの方ではやってる人たちはほぼ確実に知っているレベルになってきているはずなので、いつの間にか世界の常識担ってる可能性もあるかも。と………ここらへんで終わりね」
体内時計で、およそ一時間。ようやく興奮が収まったので口を閉じる。
「ナルホドオモシロソウデスネ」
おっと、神が狂気に陥ってしまった。っていやいや、そんなわけない。だって神だしこんなんで狂気とか人間よりもPOW値が低いのだが。
とりあえず起こすか。
「えいっ」
バシィ!
「痛っ!………はあっ………はあっ………とにかく、ものすごく好きなのですねえ。その、クトゥルフ神話というものが」
「人一倍クトゥルフ神話を好きになってる自信はありますよ?」
愛だけは誰にも負けない。そんな根拠もない自信があるのはいつものことなのだ。
「これは……手遅れ、というやつですね」
「幼稚園のときから読んでいたからね」
もはや僕の常識=クトゥルフ神話と言っても過言ではないのよ。
「……ゴホン。ええと、とりあえず納得はしましたので本題に入ってもよろしいですか?」
「えーもっと語りたいのに」
「十分です」
「………」
「………」
「それで?本題って何?」
一応、私から切り出してみた。まあこの気まずい空気を生み出したのは私だろうしね。
「………転生の際の注意点です」
ああ、そんなものもあるのね。
「まず、どこに生まれるか等は指定できません。あくまでも、あの紙に書いたもののみ設定できます。」
「ふーん」
適当に返す。結構どうでもいいし面倒くさい。利用規約とかはあまり読まないタイプなのだ。
「そして、あなたは生まれついたその瞬間からスキルとして[<魔王>の因子]を持つことになります」
なるほど………<魔王>の因子?
「嫌な予感がする」
「このスキルは持つものを死ぬまでのどこかで<魔王>とするものです」
「……うーわ」
面倒くさそう。率直な感想だ。
「ただ、このスキルは最上位の<鑑定石>か一部の特殊スキルがなければバレません。そのため、<魔王>になる前に討伐されることはありません」
……あー、うん。
悪い方の<魔王>か、まじかよ。
「質問、討伐される運命?」
「少なくとも、今までの<魔王>は全員討伐されましたね」
……まじかー。
「ただまあ、その代わりにはなりますが。」
と言って、神は内ポケットをガサガサと漁る。なにかあるのだろうか。
「………ああ、ありましたありました。いやーなくしてなくて良かったですね」
……あまり期待しないほうがいいやつだね、これ。
「この中から好きなスキルを1つ選んでください。」
そう言って、神は紙を渡してきた。
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[(武具)の才]
[魔法の才]
[鑑定]
[(五感)強化]
[身体強化]
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おお、中身がものすごくわかりやすい、例えば最初に選ぶ相棒みたいな奴らが5個!うーむ、これは悩むなあ。
ただ……
「神、質問」
「何でしょう」
「一つだけチートスキル代表格が混じってるのだけど大丈夫?」
………[鑑定]があまりにも存在感が強くて、周りが霞んでいる。誰だよ中央に配置したの。
「ああ、[鑑定]のことですね。私の世界では熟練度のようなシステムなので、最初はどんなスキルでも同じようなところからですよ」
なるほど、それならたしかに大丈夫だね。
「ところで、熟練度のようなシステムって何?」
だが、僕は聞き逃さないぞ。たしかに「熟練度のような」と言っていた。
「それはやってみてのお楽しみということで」
えー!?神のくせにケチだなあ。
「なんとでも思ってください。それで、どれにするのですか?」
おっと、選ぶのを忘れていた。うーん、どれにしようか。
[(武具)の才]は……まあいらないよね。キャラクターコンセプトと違うからね。
[魔法の才]は、まあキープかな。
[鑑定]は、最終的にそれしか使わなさそうだからなしで。
[(五感)強化]もいらないだろうし。
[身体強化]はまぁまぁいいかな?
てことは……[魔法の才]か[身体強化]か。
うーん。
[魔法の才]かなあ
「[魔法の才]にする」
「わかりました」
とりあえず、通ってよかった。
「それでは、最後になにか質問とかはありますか?」
って、もう終わりか。
そうだなあ。
「今まで転生者で天寿を全うしたやつはどれくらい?」
「そうですね………わたしの記憶ではいませんね」
はあ、まじか。
そういうことは最初に言えよ。
「そうですね、次からはそうします。」
そう聞こえると。
不意に世界が真っ黒になった。
わからないことが多いのは彼女………主人公がわからないからなんですよね
意外と理解力がないのかあるのかわからない主人公です。