学校生活①〜なんていっているけどただの地獄〜
すみません、なぜかモチベが上がりませんでした。
あ、死人出ます。(めっちゃ久しぶり)
「メェーちゃん、そろそろ降ろしてもらっても大丈夫だよ」
「...本当に?」
「もちろん」
大体2分くらいだろうか、マナお姉様に魔法をかけてもらって足が治った。
「ちなみにい、使った魔法は<治癒>っていってねえ、骨のヒビくらいは治せるんだよお」
わあ、ヒビ"くらい"はですか。地球では自然治癒だけだったような気がするが、そうなるとこの世界は地球よりも医学が進んで......いや、魔法がすごいだけか。
メェーちゃんが僕の体を地に下ろす。結局のところ体が重いのは変わらんが、さっきの押し潰されるような重さではない。マシとは思えないが思うしかないだろう。
「さてえ、早くしないと遅刻で怒られちゃうからあ、チャチャっと校舎まで行こうかあ」
「そうですね...この重さで?」
「そうだよお。慣れてくるとなんともなくなっていくから、それまでは毎日頑張ることになるよお」
「まじか...」
まあ、いいか。とにかく先に進もうと足を動かす。一歩一歩が重く、地面が少しだけ凹む。さっき倒れた時にみたが、地面が一面芝生なはずだから柔らかいのかもしれない。
おそらく、僕みたいに押し潰される人がたまにいるのだろう。そういう時のために地面が柔らかかったりするのかもしれない。
一歩一歩進めるせいで短い距離しか進まないし、倒れたら起き上がるのに時間がかかる。慎重になるのは仕方ないけど、遅すぎるとなんか怒られるらしい。
つまり、ちょっと急いで行かないといけないわけだ。今日以降の登校でも時間には気をつけないといけないな。
...そういえば、確かさっきは<学園関門>をくぐり抜けた後すぐの場所に校舎があったような気がするんだけど、どうだったk
「おい貴様!!いつまでダラダラと歩いているんだ!!」
「!?」
声。とても大きい声だ。
「ん?聞こえていないのか!!ならば話は早い、貴様の元に向かうまでだ!!」
ダンッ!という音が、前の方から聞こえる。そしてその後すぐに、ドーン!という着地音も。
まあ、目の前に着地してきたんだけどね。この人。
瞬間、目の前の人間から手が伸びる。その手は首を思いっきり掴み、顔を上げさせる。
「がっ!」
「ほう...なかなか伸び代があるじゃあないか、気に入ったぞ。おいマナ・ヒルド、お前は確か保護者役として見守るために今日休みを取っていたな。こいつがそれか?」
魔法陣の浮かんだ眼、つまりは<魔眼>で僕を覗き込んでくる。今のうちにこいつのことを調べてみるか。
ふむ。金髪で、しかも髪がトゲトゲしている。あと全体的に顔が四角いように感じる。服は緑色で大声となると、なぜか軍人を連想してしまう。結構機能的だし、もしかすると軍服に近いのかもしれないなあ。
「そうですよお校長先生。名前はちゃんと言えるよねえ、マリアちゃん」
「あ、えっと、マリア・ヒルドです。今日からこの学校に...」
「学校ではない!!<国立学園>だ!!」
「こ、<国立学園>に入学することになりました」
急に僕に振られて自己紹介してしまった。というかこの人があの怒ると怖いらしい校長先生なのね、なるほど。
確かに側から見ても怖そうだし、可能な限り怒らせないようにしておこうか。
「そうか。よし、マナ・ヒルド!!貴様にマリア・ヒルドとの<パーティ>結成権と白金級<治癒>の使用権をくれてやる!!まだ貴様は<新魔法発表会>において白金級<治癒>を見せたことはないが、貴様のことだから一応できるだろう」
「まあ、確かに白金級<治癒>は使うことはできませんがそれに該当するレベルの<治癒>はできますよお」
「やはりな。ならばこの娘、絶対に守りきれよ」
「はーい」
...白金級ってなんだ?
「貴様もだ、マリア・ヒルド!!」
「は、はい!」
「貴様はこの<国立学園>で死んでいい人間ではない!!この世界を旅し、運命を見届けねばならない使命がある!!ならば<国立学園>の壁、見事超えてみせよ!!」
「は、はい!」
もはや返答しかしないbotになった僕を尻目に、校長先生は帰ろうとして、こっちに振り返った。
「そうそう自己紹介を忘れていた。私はバルバトス・ストーリク!!この<国立学園>で校長を務めている!!この名、ゆめゆめ忘れるなよ?」
「は、はい!」
そして校舎の方に戻っていく校長。その背中は広いようにも見える。
「...伸び代のある、かあ...」
「ん?どうしたんですかマナお姉様」
「ふぇ!?ああいやあ、なんでもないよお。それよりもお、校長先生に<パーティ>になって言われたからあ、とりあえずなっちゃおっかあ」
...ふむ、なんだかよくわからないが、何かを誤魔化された気がする。気がするが、うん。あの紙にも書いてあった通り、マナお姉様のいうことは聞かなくちゃね。
確か、<パーティ>を組むって言ってたか。
「<パーティ>って?」
「まあ、端的にいえば一緒に行動するっていう証明かなあ。でもやるとやらないじゃ大違いなのは事実だしい...うーん、とりあえずやってみよっかあ。<メヌー・リング>を出してもらっていい?」
まあ、文句はないしとりあえず<メヌー・リング>を出す。マナさんも<メヌー・リング>を出すと、お互いの<メヌー・リング>を重ね合った。
すると、急に光が<メヌー・リング>から漏れ出してくる。<インベントリ>からアイテムを取り出した時よりは弱い光だ。時間が経つと、その光はさらに弱まっていきついには消えてしまった。
「ようし、これでマリアちゃんと<パーティ>を組めたはずう。ステータスを見るとわかると思うからあ、確認してもらってもいいかなあ」
「わかりました...よっと」
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[名前] マリア
[性別] 女性 [年齢] 6
[職業] 召喚師(クトゥルフ神話)
[パーティ]<ギルドズパーティ>
HP 50/50 MP 45/45
ーステータスーーーーーー
筋力 25
体力 25
敏捷 15
知性 50
精神 322
魔力 95
ースキルーーーーー
言語 Lv37
召喚魔術 LV50 (2)
応急処置 Lv50
耐性 Lv50
(魔王の種[発芽前] Lv100 (MAX))
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ふーむ、また精神値が増えてると。あとはステータスとスキルが微妙に増えている。
そして、職業の下に<パーティ>の欄が追加されているね。
<ギルドズパーティ>...って、確かマナお姉様とエリカ先輩がすっごい暴れてたやつか、なるほど。
「<パーティ欄>に<ギルドズパーティ>がありますけど、これですか?」
「そうそう!よかったあ、これでマリアちゃんの<その他>は<ギルドズパーティ>に決定だねえ」
...なんか、僕罠に嵌められてない?別に入りたくなかったわけじゃないけどさ、絶対おかしいよね。
「さあさあ、とりあえず校舎に入ろうかあ」
ガシッと腕を掴まれる。そして掴んでいる主は、そのまま校舎の玄関と思われる場所に入っていく。もちろん僕は引きずられる形だが、なんとか歩いてついていく。ただでさえ重い体を引きずりながら歩いていたところを校長先生に邪魔されて、しかもこの状態で地面に引きずられるのはg
「アアァァーーーーーー」
「!?」
「おっとお、新学期早々<脱落者>が出るとはねえ。校長先生、ちゃんと緩い設定にしているのかなあ」
はい?脱落?緩い設定?なんか急にきた悲鳴の時点で頭がパンクしそうなんだけど、なんでどんどん情報を追加するんだろうか。
まあ、知らないことは知りに行ってしまうんだけどね。
「だ、<脱落者>って?」
「それはねえ...ほら、玄関の先にあるよお」
え?と思い周りを見渡す。どうやらもう玄関についていたみたいで、周りにはなぜか下駄箱がある。別にこの世界って靴を履き替える習慣とかないんだけども。
「おお、下駄箱に興味津々のところ悪いけどお、そろそろ時間がやばいから早く中に入っちゃおっかあ」
「あ、はい!」
急かしてくるマナお姉様。そんなこと言われなくたって時間がないのはさっきからわかっていることだが、おそらくこのまま放置しておくと下駄箱ないしは玄関を探索し続けるはずだ。止めてくれてありがとう、マナお姉様。
で、ドアは...あった、下駄箱の奥だ。
近づいてみる。特に扉自体に違和感はないし、逆に清潔感が漂っている。
が。
「イヤアァァァ」
「ヒイイイィィィ」
若干、扉の奥から悲鳴が聞こえる。しかも何人分もの、だ。
頬を伝う汗を感じる。何かとてつもなく嫌な予感がする。
メェーちゃんとショゴスは......よかった、足元にいるね。ありがたいことにメェーちゃんが本形態のショゴスを持ってきてくれたみたい。
「...これ、先に進むんですか?」
「そうだよお」
他に道はないか、よし。
ドアノブに手を触れる。すると、急に目の前が暗転し...
光が元に戻る。
そして、想定内に近く又は程遠い光景が、目の前にはあった。
ブゥン!ブゥン!ブゥン!
リズンよく左右に揺れる、巨大なふりこ。縦長で、それこそ人間をスライスできるサイズ。その下に子供1人分の横幅しかない道と、その両側を埋め尽くす奈落。
しかもふりこの一番床に近づく点はほぼ床についているだろうと言えるレベルで接地しており、その近くの地面とふりこ自体に若干ではあるものの何かがこびりついている。
黒、いやそれよりは赤いか。
「はあ、はあ...」
息遣いが聞こえる。横に顔を向けると、そこには男の子が1人。あまりにも悲惨なことが起きていたことが容易に想像できるこの空間に急に放り込まれたもんだから、周りのことが見えてなかったらしい。
ただそもそもこの空間、めちゃくちゃ暗い。目測でおよそ5mくらいしか見えない。それでもゆっくりと顔を動かして壁などをみると、ふりこや地面、壁に天井全てが白い。このくらい状態でこびりついているように見えたのはそのためだな。
メェーちゃんショゴス並びにマナお姉様はこの場についてきている。
「く、くそっ!」
男の子が急に声を漏らし走る。向かうのは、ふりこの奥。
ブゥン!ブゥン!ブゥン!
ふむ、どうやらしっかりとリズムが崩れずに動いて......いや、この周期だとあの男の子!
「まずっ!」
そういうも束の間、ふりこは容赦無く彼に振り下ろされる。
真っ二つに近いだろう、証拠として切られてから動かないがそれ以上動くこともない。
しかし現実は非情なのか。
ガタン!
と音が鳴ると同時に床が開く。中央から開いているので、そのまま男の子だったものも落ちる。
その一瞬、僅かに見えた彼の顔。
ひどく歪んでいると、そう説明付けるのが一番しっくりくる。涙で頬が濡れて、僕がきた時すでに怯えていたことを考えると、彼もまた惨劇を直視したのだろう。
そして、僕も直視した。
「あ...ぐっ!」
唐突な眩暈。おそらくここまでにあったたくさんの出来事を全部認識式できていない上、目の前の死体制作機で起きたことによるものだろう。
ただ、間違いなくここで倒れると彼のようになるであろうことは理解していたのか、すぐに自分の舌を噛んだ。
痛い、が今まで食らってきたものよりマシだろう。これくらいの痛みが意識を繋ぎ止める上では大事だと思う。
大体10秒くらい舌を噛み、離す。瞬間的に噛んだのもあって舌は半分に切断しかけていて、もちろん口の中は血だらけだ。
「おっとお、ちょっと待ってねえ。今舌を治すからあ」
と言ってマナお姉様が近づく。そして口元に手を当てると、どんどん口の中から液体がなくなっていくのを感じた。
「...はあ、はあ。あの、これって現実ですか?夢とかじゃないですよね」
「そうだよお。これはちゃんとした現実であり、自分のクラスを決める場所に行くための道だよお」
頭いかれてんのか、この学校。
とりあえず、次は21日に投稿します。
それと、遅くなりましたが
第二章学校編、スタートでございます。




