表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第一章 未狂理解不能
42/402

LUCK

運も実力のうちって言いますけども。



流石にそれは違うと思うんですよねえ。

 さーて、いったんメェーちゃんのステータスは一旦置いといて。



「お次はショゴスの番だ」

「...あノ、メェーちゃんの後で期待されても困るのですが...」

「まあまあ、そんなこと言わずに」



 僕は見れるだけでそれでもいいんだからね



 さささ、一体どんなステータスなのかなーと。



 ーーーーーーーーーーーー

[名前] ショゴス

[性別] 不明 [年齢] ■■■

[借体] 本


 HP 1000/1000 MP 540/540


 ーステータスーーーーーー


 筋力 1548

 体力 1045

 敏捷 301

 知性 1691

 精神 1234

 魔力 54


 ースキルーーーーー


 呼ばれたもの Lv100(MAX)


 ーーーーーーーーーーーー



 ーーーーーーーーーーーー


 呼ばれたもの 銅


 本来の性能をギリギリ世界が押し込めるレベルの強さを持つ召喚獣が持つスキル。

 このレベルの召喚獣を呼び出せる召喚師は、もはや[召喚]を極めたと言っても過言ではないだろう。

 このスキルの持つ者の最大レベルは召喚者と同じになるものの、召喚師のLvアップ時のみLvがあがる。


 ーーーーーーーーーーーー



 なるほど、確かにメェーちゃんのステータスを見てからだと見劣りはする。だが...



「いや、僕よりも全然ステータス高いじゃん」

「それはまあ、マスターは人間デすから」

「十分。やっぱショゴスも全然強いよ」



 馬車に追われてた時とか人間に対して無双していたし、作戦ありきとはいえドラゴンも倒しているショゴス。



 弱いわけがない。というかメェーちゃんが規格外なだけで、そもそも地球の人間から見たら即座に逃げを選択したくなるレベルの神話生物なのは間違いないんだし。



 メェーちゃんを抱っこし、頭を撫でる。「メー!」と気持ちよさそうな声をあげるメェーちゃんはやはりかわいい。



 ============================================




 さて、本当にやることがなくなってしまったわけだが。



 窓の外を見る。未だ空には太陽が浮かび、お姉様が帰ってくることは当分ないだろう。



 すうすうと寝ているメェーちゃんを膝に乗せて撫でながら考える。



「ショゴス、何か今やれることとかある?」

「ふむ、ソうですねえ...」



 少し悩み始めるショゴス。こういう暇な時が一番困るのだが、はてさて。



 今この場にいるのは、ショゴスとメェーちゃんと僕。ステータスの見せ合いは一応したし、というか僕のステータスを見せた時の無反応さからあまり興味はないんだろうけども。



 やること、あるか...?



「...マスター、そういえばエイルという男性がいましたヨね。その方にきいてみるのハいかがでしょうか」

「おお、ナイスアイデア」



 そういえばそうだった。加計が薄いわけじゃないんだけど、なんか忘れてたな。



「...あれ?なんでショゴスがエイルさんのことを?確かあの時は<インベントリ>にいたよね」

「<インベントリ>ニいる間にメェーちゃんから聞きました」

「ええ...」



 どうやら<インベントリ>の中にも現実の音声がちゃんと聞こえるらしい。



 ============================================



「なら、勉強道具を買いに行くのはいかがでしょうか」



 そしてエイルさんの的確なアドバイスにより、我々は王国の商店街へと足を踏み入れた......お小遣いをもらって。



 で、



「ひっっっろ!」

「す、すごい人だかりだね...!」



 どれくらい広いかというと、東○ドームが大体4個は入るサイズという目測が立てられるくらい広い。その中で出店が所狭しと並んでいる。



 しかも、地球で僕が生まれる前に流行ったらしい某ウイルスもびっくりなくらいに密である。この中でお店を探すとか、めちゃめちゃ苦労するやつですやん...



 ちなみにメェーちゃんは抱っこして腕の中、ショゴスは<インベントリ>内にしまってある。後でお土産を買うとは言ったものの、何か理不尽な力によって半強制的に<インベントリ>に入ったショゴス。ちょっとかわいそうd



「さあさあ!!メイズ()のセールの始まりだよ!!今なら全品20%オフ!!さあ買った買ったー!!」



 え”。それマジで言ってるんですか。



 やはりこの世は理不尽に満ちているのか、僕の意思なんて関係ないのか。これでもいつか<魔王>になるはずの人間なんだけどなあ。



 メェーちゃん、絶対に手を離さないで...っ!






 波。それも特大の大津波が押し寄せてくる。



 確かに陸のはずなのに、圧倒的質量が流れ込んでくる。



 タイムセールとは、なるほど。生死の危機すらあるらしい。



 どんどん押されて、否、押しつぶされていく。



 当たり前だが前は見えない。呼吸すら困難になっていく世界の中、必死にもがく。



 まあ貧弱ステータスの僕だともがいてもあまり意味はなく、色々な人にぶつかって外へ外へ流される。



 人海戦術の人海とはこのことを指すのだろう。まさに、人でできた海。



 流され、流され、流される。岩の時は自身の体力との勝負だったが、今回は違う。どちらかというと肺活量だろう。



 溺れないよう、必死に呼吸をする。メェーちゃんも流石にきついのか、ちょくちょく呼吸している。



 誰かを押せば、誰かに押され。そんな時間が、ざっと10分続き。



 ドンッッ!



「が!....い、痛え...全く、なんでこんな目に....メェーちゃん、大丈夫?」

「う、うん...」



 よかった、とりあえず無事に切り抜けられた。



 だが、このままだと当初の目的である勉強道具の購入ができん。



 というか流石に展開早すぎ...どうわぁ!!



 ドシン!と背後から何かがぶつかる。せっかく体勢を立て直したのに、顔面から地面にぶつかる。



 しかも、追撃といわんばかりの背中への衝撃



 ゴン!という鈍い音が響く。



「痛っ!」

「がはっ!」



 聞いたことのない声が後ろから聞こえる。とりあえずメェーちゃんは人形形態になっててもらって、結構乱暴に後ろのやつをどかす。



 ガン!という頭が地面にぶつかる音が聞こえる。



「痛っ!ちょ、ちょっと君!一体何をするんだよ!」

「それはこっちのセリフじゃい!」



 こちとら放り出されてゆっくりしようとしたタイミングでてめえがのしかかってきてんだよ。少しくらい怒らせろ。



「いや、何を言って...ん?」



 そいつは、急に冷静になり始めて周りを確認し始めた。それに釣られたのか、僕もだんだんと冷静さを取り戻していく。



 後で損害賠償請求とかできないかな。こいつのせいで、さっきから頭が痛い。



 せめて姿だけでも脳裏に刻もうと努力してみる。



 赤い髪が、あまりにも特徴的すぎる髪型になっているその男の子は、綺麗な翠色の眼で僕を見つめてくる。



「...僕の顔に、何か?」

「ああ、いや。君が俺の下敷きになってくれたことに気がついてね。すまなかった」



 わお、めっちゃ礼儀正しい。どう見たって僕と同い年くらいなのに、僕よりも教養が行き届いているとは。



 こいつ、お坊ちゃん系キャラと見た。



「別に。わかってくれれば、それで」



 しかし、思いっきりクッションにしてきたことには変わらない。ぶっきらぼうに答えてやる。



「...」

「...」



 束の間の膠着状態。お互い何も喋らずに、周りのガヤガヤとした声をBGMにした時間がずっとずっと、大体5分間くらい。



「あー、その。えっと...」



 彼が口を開く。周りがうるさすぎて全く静かじゃなかった静寂の時間が、少しずつ動き出す。



「君の、名前は?」



 わお、初対面の相手に名前を聞いてくるとは。あれか?やっぱ賠償責任とかか?



 いや、しかし。それがなかったとしても。



「...名前を聞くときは、まず先に自分の名前を名乗るのが礼儀。そう母さんに教わったんですが」



 このセリフ、ちょっと前に言ったような気がするんだけど。なぜこの世界の男は先に自分の名前を名乗らないの?



「あ!す、すまない。では自分から名乗らせていただこう」



 そういうと、彼は立ち上がってこういった






「俺は[<勇者>の種]を持つバミア家長男、ソルス・バミア。いずれ<勇者>になる男だ」

「ゴフッ!」



 思わず吹いてしまう。いや、え?今[<勇者>の種]を持つって言った?マジで?



「えっと、大丈夫かい?」



 いや、急に親切にされましても。今目の前にいるのは[<魔王>の種]を持つものだからね。



「あ...」



 まずい、言葉が詰まる。ここで怪しまれるとまずいぞ、どうする。



[<魔王>の種]を持つってことは、つまり<魔王>になること確定。どう足掻いても<勇者>の敵。



 どうする、どうすればバレない。思わず吹いてしまった以上、誤魔化さないとまずい。



 考えろ、考えろ。どうすれば...そうだ!



「あ、あの...ほ、本当に<勇者>さまなのですか...?」



 食い気味に話す。そう、いわゆるファンだと思わせれば、この場くらいは切り抜けられるかもしれない!



「う、うん。そうだけど、君は一体?」



 まあ、そりゃ聞きにくるよね。僕の名前。



「僕はマリアと言います!ああ、まさか本物の<勇者>様に会えるとは!」



 <勇者>の顔を見る。まあそりゃ怪しむよね。だからこそ。



「僕、おとぎ話で<勇者>様の伝説を読んでからずっと憧れていたんです!」



 もちろん、真っ赤な嘘だが。そもそもおとぎ話に<勇者>の伝説があるかどうかなんて知る由もない。



 だが、ないと潔白証明(?)にはならない。



「その人が!」



 近づく。



「僕の!」



 さらに近づく



「目の前に!!」



 鼻がくっつきそうになるまで近づく。



「わ、わかったから。ちょっとだけは、離れてくれ」

「はいぃ!」



 一気に1mくらい離れる。<勇者>の熱狂的なファンが<勇者>本人の命令を聞かないわけない。



 そして<勇者>の顔よ。これから一体どうしようみたいな顔をしていて、面白い。笑えはしないけど。



 ささ、如何なる命令でもお申し付けくださいませ、<勇者>様。

めっちゃ展開が早いように見えますが、その通りです。



一体魔王はどうなってしまうのやら...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ