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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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「終わらせないよ、どこまでも」

ちょっと長くなりました

「おっ、いたいた。おーい、ソルス!」



 こちらに手を振るマイゲス。



 場所は<セイント・キャッスル>の正門前。



 時間よりも30分は前だが、やはり3人ともいた。カミラは時間に厳しいからな。



「久しぶりだな、マイゲス。久々の周回はどうだった?」

「どうもこうもやっぱきちいな。久々すぎて足腰が痛え」



 周回は簡単なものから難しいものまで揃っている。



 採集するだけでいいもの、魔獣を討伐しなければいけないもの、一定の条件をクリアしなければいけないもの。その他多数。



 生活するのに必要なものでも難易度が高い時があり、そういう<ダンジョン>を周回できるやつはモテるとかなんとか。



「今回マイゲスが行ったのは...?」

「き、<如月ステーション>です」

「あそこか...」



 <如月ステーション>は確かに足腰を痛める。天井の低い特徴的な<ダンジョン>でありかがみながら移動しなければならないからな。



 その上<アント・オーガ>は手のひらほどしかなく色も黒くて保護色となっている。<暗視>ではなくランタンなどを持っていかないといけないかなり面倒な場所。



「まあ仕方なかったです。集めなければいけないものが多く、それを3人で集めろともなればこの<ダンジョン>が適しています」

「過剰な気もするけどね一体いくら集まったの?」

「えっと、わ、私の<インベントリ>が埋まるくらいには...」

「いや集めすぎだ」



 同時に、最高効率で金貨を集められる、厳密には高い金額で金貨に換金できる素材である<キング・アントのヒゲの毛>が手に入る場所でもある。



 貴重な素材であり時価にもよるが1本600枚の金貨になったりする。カミラの<インベントリ>がいっぱいになるということは、だいたい30本は持ってきたか。



「よくそんなに持てたわね。あれ入らなかったでしょ」

「私の持ち物ほとんどシートさんに持ってもらって、よ、ようやくでした」



 <キング・アント>は<アント・オーガ>の<変異>した存在で、<ダンジョン>の壁ギリギリのサイズになる。



 大きすぎるその顔についている1本の顎髭、それが<キング・アントのヒゲの毛>なわけだが、これがまた特徴的なんだよな。



「1本あたりメーノ1人分くらいはあるかんな。ぐるぐる巻いても大岩1つ分くらいにはなったぜ」

「<インベントリ>の重さが反映される場所じゃなくてよかったな」



 重さはかなり重く、俺1人では持てない。<インベントリ>は重さを感じないために入れても問題ないが、それも適当に入れていれば4本でダメになる。



 なかなか厳しい周回だとは思うが、どうやらマイゲスらはそれを乗り越えたらしい。



「...さて、本題に入るか。まず先に言っておくぞ、マイゲス」

「おう、なんだ?」

()()()。そっちは?」

「お前もかよソルス、俺も()()()ぜ」



 つまり全員知ってる状態と。



 ギロチンどころの騒ぎではないな。蘇生すらさせてもらえないやもしれん。



「やっぱりか。カミラが?」

「押しが強くてな。口を割らされたぜ。そっちは?」

「こっちもだ。ずっと探りを入れてきたんでな」

「そりゃなんお隠し事もしない私たちの仲に急に隠し事が生まれたら、ねえ?」

「正直驚きましたけどね」



 しかし怖気付いてはいられない。正門をくぐり<セイント・キャッスル>内部へ。



「これ以降その話を話題として出すなよ。もちろん心の中で考えるのも禁止だ」

「それくらいはわかって...ん?」

「シート、どうした?」

「いえ、何か内部が騒がしいな、と」

「...警戒していくぞ。バレたら俺たちは死刑だ」

「俺たちゃ<勇者>なんだけどなあ」



 ============================================



 城内部はシートの言った通りかなり慌ただしい様子だった。



 色々な人が走り回っている。言いたい何が...



「お、あんたらは<勇者>か!」



 声をかけてきたのは...ケリン。<警察>だ。



 がなぜ...?



「客人としては招かれてないが」

「そりゃそうだ。ってそうじゃない、なあ、あんたら...」






「ヌトさんの居場所知ってるか?」

「...何?」

「知らないか、それじゃあなんのためにきた?」



 ....なんとなく状況は察したぞ。



「話題の人に用があってな...状況を軽く説明してくれ、力になりたい」

「おお、<勇者>の助けはありがてえ。んでかいつまんで説明するなら」

「ヌトがいなくなりました」



 声。前の方から司祭様がやってきていた。



「...首を入れるなと警告したはずですが、まあいいでしょう。今回は見逃します、猫の手でも借りたいですから」

「いつからだ?」

「ついさっき、最終の試験のタイミングです。いつも通り研究室に向かったら誰もいないという状況でした」



 誰もいない...本来ならヌトさん、いやヌトが監禁されている場所にいない。



「...どうもソルスの読みは当たってたっぽいな」

「確率99%だったがな」

「読み?」

「こいつずっと主犯はヌトだって言ってたからな」



 ならば聞くべきは。



「巫女様は今天啓を?」

「ええ、そろそろ終わるはずです...しかしこちらの捜査網に引っかからないともなればかなり隠れることが上手いようです」



 <聖神信仰教会>の目はかなり色々なところにある。



 それはつまり、居場所が限られるということ。



「ロックダウンは?」

「すでにしている。わかった瞬間であるからすでに手遅れの可能性も考慮して外への捜索も命令してある」

「さすがだぜ」



 ここの外は比較的安全であり、歩いていたところで数百の魔獣に囲まれることは決してないと言える。それも数ヶ月経てば安全じゃなくなるだろうが、今はそんなことどうだっていい。



 大事なことは、外に出ていればまず間違いなく見つかる、ということ。



「俺たちが探せばいいのは街の中だな」

「でも街の中は司祭様方が探しているんでしょう?」

「ああそうだ。普通ならな」

「え?」



 なんとなくではなく、少し考えれば理解できる。






「司祭様、<ダンジョン>はこの街の中にどれくらいありますか?」

「登録されているもので80」

「...多いですね。かなり浅はかな考えでしたか」

「いや、そうではないな」

「どういうことです?」



 どうやら司祭様は考えがわかっているらしく、すでに資料の精査を始めていた。



 やっぱりあの人は俺たちの1つも2つも上にいるらしい。



「<ダンジョン>は登録される時、制作するときの図面と内部の調査の2つが行われる。だが1つだけ図面の調査が行われない時がある」

「...あ」

「ようやく見つけました。ありましたよ自然生成された<ダンジョン>が」



 そして、それは俺たちにとってあまりにも高すぎる壁だ。



「事実上人工的な<ダンジョン>と言っても過言ではない、<焚書区域>。それがその1つだけの<ダンジョン>だな?」



 巫女様が俺たちにわたしたあれは、色々な意味にとらえることができる。



 そして最も悪い意味にとらえるとしたら...何もかもがわかっているということ。



「それって、わ、私たちが何日か前にいた...」

「まあ、そういうことだわな」



 踵を返し<セイント・キャッスル>を出る。



「ちょ、ちょっとソルス!?待ってよ!」



 それも急ぎめに。



「カミラ!アイテムは購入したな!」

「え、あ、も、もちろんです!!」



 なんなら爆速で走って宿に戻る。



 と。






「...やっぱりか」

「嘘...」



 そこに<一時撤退>はなかった。



 なぜないのか。簡単な話である。



「通ったのは?」

「間違いなくヌトだろう」

「てことは...」

「攻略しなおしだ。全員、気を引き締めてかかるぞ」

で、数時間後にもう1話と

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