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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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ミシシッピな幕間 teikihoukoku

すみません。大真面目にどうやって<銃>を弱体化しようか考えてました。

 それって<ダンジョンボス>がいない可能性があるってことだよね?そんなことある?



 その名前の通り、<ダンジョンボス>って<ダンジョン>の奥にいなければいけないはずでは?



「まあ、普通はそういう反応だよね。私も聞くまではありえないと思ってたよ」

「どういうことですか?」

「あいつ、結構そこら辺を飛び回っていることが多くてね。大概は3日くらいで帰ってくるんだけど、それゆえに会えない時があるんだよね」



 全くと会えない時の方が多いのでは?と思いつつ扉を開ける。



 大きな扉であり、しかし思ったよりも軽いそれにゆっくりと隙間を作っていくと、その隙間から覗くのはだだっ広い空間。



 扉をくぐればその空間に辿りつける。岩肌だらけの竪穴と違ってシンプルな石レンガの構造で、特筆すべきこともない場所。



 そしてその中央にはものすごく大きい何かがいた、恐らく<ロン>の一つである<ブラドラ>が腹を引きずった跡が残っている。本来はそこにいるのだろう。本来は。



「いないな」

「いませんね」

「いないねえ」



 そしたらこれは...どうするの?



 どうするって言っても待つしか無いのだろうけど、ってもうみんなテント設営し始めちゃった。



 ...僕も手伝うかあ。やることそれくらいしか無いだろうし。



 ============================================



「...............」




「えと、なんか社長が放心状態っすけど、とりあえず始めますね。定例会議第■■■■回目を」




「...............」




「...まず質問からさせてもらうわ、030-19。この資料に書いてあることは本当なの?」




「残念なことに事実っす...時間にしておよそ24時間後には<銃>が完成し、そこからさらに24時間後に発表が行われます。これはうちの特殊偵察部隊も確認してきた事実っす」




「なんで!!ここ魔法も剣もあるのよ!!なんで銃が生まれるのよ!!」




「うわめっちゃ怒ってるとこ初めて見た」




「...失礼しました。それで、実力行使で止められそうですか?」




「断言する、無理だ。この一件には<神話生物>であるヌトスが関わっている、というのはここにも書かれている通りだが、こいつはどうにも<ダンジョン>に細工をして自分の工房を作り、そこで研究をしているらしい」




「確か<セイント・キャッスル>の一室でしたね。あれは確かトップの方が研究用に改造したと聞いていましたが」




「残念なことにそれだけじゃ無いんすよね。どうもそっからさらに別の空間を繋げてそこでもっと深い研究をしてるみたいなんすよ」




「...............」




 "つまり、銃が生み出されるのを止める方法は現状ない。ということだ。出てくる前に少しばかり弱体化はできたが、いかんせん元となる魔法を弱くすると他のものも弱くなってしまう。できる限りはしたつもりだが..."




「少なくとも覇権は握るだろうな。あまりにも強すぎる」




「そうなんすよねえ。しかもそれを互いに持っての戦争が起こるってんですから、もう終わってるっすよ」




「.........いや」




「うわ社長、生きてたんすか」




「もしこの程度で死ぬようなら...すでに俺は何度も死んでいるさ。さて、銃同士の戦争だが、恐らくそれは起こらない。いや起こらないようにできるはずだ」




「一体どうやって?」




「弓に厳しくなってしまうが、そこは弓に何かしらの補正を与える形で解決すればいいとして、銃弾のコストを上昇させ<爆属性>で簡単に壊れるようにし、さらに風などの影響を受けやすくしてやればいい」




「でもそれだけなら結局使いそうじゃないっすか?<銃>の利点は小回りが利くことと<魔道具>であるがゆえの使いやすさ、そしてそれに見合わない威力の高さっすから」




「そこに関しては1つ提案を。<爆属性>については<魔道具>で使用した場合暴発する可能性というのを増やすのはどうでしょう」




「<銃>の使用にリスクを付けるわけか。プログラム班、行けるか?」




  "乱数ぶち込むだけなんで難しくは無い。だがこれに関しては新人が提案してくれた弱体化案がある"




「前に採用したあの子たちか。どんなものなんすか?」




 "いっその事武器の1種にしてしまう、というものだ。具体的には、発表されてから1ヶ月ほど放置した後緊急で<更新>する"




「ですが武器種にしたところで弱体化にはならないのでは?」




「いや、なるねえ。武器なのであれば扱う時に別途対応するスキルが必要になる。1ヶ月あればその間は使われるだろうが、急に仕様変更で使えなくなってスキルを成長させないといけなくなれば一気に使用者は減るはずさ」




「その緊急の<更新>の補填はどうするんすか?どう考えても使ってた人のスキルLv上昇が妥当だと思うんすけど」




 "そこら辺はかなりあくどい方法になってしまうが、幸いなことに俺たちは<更新>の補填でスキルLvを渡したことは無い。技術的に不可能だとして金やら貴重素材を渡せばいいだろう"




「...なにかの法に引っかかりそうな気がしますね」




 "俺達は別に誰かがプレイしているゲームのバランスを調整しているわけではない。だからと言って今生きている生物の生活を脅かす権利というのはないが、しかし銃が蔓延すればその技術から科学の道に近くなってしまう。俺達はそれを望んでいるわけでは無いのだろう?"




「.........」




「ん?社長、どうしました?」




「.....いや、なんでもない。そうだな、確かに072-19の言う通りだ。俺達は、そしてクライアントは科学を見たいわけじゃない。魔法という別の道で一体人間がどこに行き着くのかを見る、そのための<更新>であり、この■■■■だ」




「それじゃあそういう方針で進めるっすね。次に<生存不可区域>についてっすけど...」

ゲームの運営ってすごいんですね...

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