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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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第2層探索

新しいの、出てきまっせ。

 ============================================



「全員寝ぼけてはいないな。よし、なら出発しよう」

「おう」



 扉のない2階の入り口から周囲を覗き、安全を確認。



「周囲には、い、いませんね」

「おそらく安全区域の周囲だからですね。十二分に警戒して進みましょう」



 昨日と同じく警戒を怠らずに先へと進む。



「こちらです!」



 カミラからの指示があるから良いものの、それがなければまず間違いなく迷うこの図書館の迷宮。



 迷路とかではなく、単純に同じようで違う風景がずっと流れ続けるこの<ダンジョン>は、左側に進み続けるだけの単純作業ではなく、脳内あるいは紙にマッピングをしっかりと行わないといけない。



 それを行わなくてもいいカミラには本当に助かっている。マッピング作業というのはそれだけで戦闘にラグが発生してしまうからだ。



「ちなみにここはどれくらいの広さなの?」

「大体...1階の2倍ほどだとは思います。た、ただ敵の種類がどうやら変わっているみたいです」

「図鑑が違うのか」



 頷くカミラ。基本的に<ダンジョン>では視認しなければどんな魔獣が出るかはわからない。



 しかしカミラの場合、マップを確認した際に敵の種類がしっかりと表示される。これは紙のマップでも同じで俺も見たことがあるが、それが見たことのある魔獣だった場合、なんと名前と姿までしっかりと表示される。



 だがあの言い方、おそらく...



「そしてその欄は空白になっていると。何枠あるのですか?」

「枠は1つだけです!」

「つまり1種類ってことね。楽で助かるわ」



 しかし残念なことに完全にそれだけでいいわけではない。



 魔獣を認識し対処できるようになるまではそれを倒さなくてはっ!?



 シュン!



「っ!?」



 空中からの続け様の攻撃を行っているらしい何かに対処する。



 すぐに立ち上がって上を見れば、そこには魔獣の姿がある。



 特筆すべきは真っ黒なその姿だ。明るいこの<ダンジョン>の中では簡単に見えるものの、夜であれば全く見えなくなるであろうその姿。



 一応人の形ではあるのか?<ビット>のような羽を持っているが、何も書かれていない顔のような部位に加えその他人の特徴を併せ持っている。



 明らかに細身ではあるが、全く音を立てないその飛び方と足元に落ちていた髪の毛のことを考えると、この魔獣はどうやら相当な力と技を併せ持っているらしい。



 あるいは認識できないだけなのかもしれないが、それもまた技術だろう。



「チッ、こいつら矢を避けるだけの知能はあるようです!」

「なら近づくしかねえなあ。ソルス、合わせろ!」

「もちろんだ」



 シートの報告を聞いてすぐに本棚を蹴る。天井までかなりの高さはあるものの、通路の狭さと本棚の段によって壁を蹴って登れる。



 こうして登ることでその魔獣、いやおそらくは<神話生物>であろうこれに辿り着くには1秒もいらない。



「せあっ!」

「おらあっ!」



 近づいて攻撃されることは想定できなかったのか、戸惑いの中避けられずにまともに攻撃され、<神話生物>の体は真っ二つになる。



 断末魔もなく落下していく死体。



「っと、やったぜ」

「周囲は...大丈夫そうだな。降りるぞ」

「よっしゃ」



 それを眺めつつ自然落下しのまま着地。



「死体は...踏んでないな。カミラ、すぐに解析を」

「そろそろ終わります...終わりました!」

「結果はどう?」

「えっと、し、<神話生物>です!」



 やはりか。今まで見たことのない、というのとこの<ダンジョン>の1階でそもそも<食屍鬼>がいた時点でなんとなく察していたが、こいつもまた<神話生物>らしい。



 一体どれだけ種類がいるのだろうか、<神話生物>というのは。



「名称は?」

「ナイトゴーント、別名を<夜鬼>と」

「<夜鬼>...」



 確かに、あの見た目と夜の暗闇の相性は抜群だろう。暗い状態で襲いかかってきていたらそれに対処は






 そう考えた瞬間だった。



「!?」



 一瞬にして周りの光が失われた。壁なども完全に認識できなくなった。



「一回<爆属性>使う!全員防御して!」



 メーノの言葉に反応してすぐに声の方角に対し防御姿勢をとる。



 ドゴン!



 と、とても強い爆発が瞬時に発生する。



 そしてそれによって一瞬周りが見えるようになる。全員この場にいることは確実であることも認識できる。



「シート!」

「ランタン使用します!」



 ふっ、と明るくなって周りがぼんやりとだが見えるようになる。さっきの一瞬でも見えたが、俺たちが移動したわけではなく単にギミックとして明かりが消えたらしい。



 ...まずいな。完全な暗闇だとあいつらに対応することが難しい。



「カミラ、マップは」

「使えます。<ジャミング>ではないみたいです」

「単純に暗くなっただけか。ならまだマシか?」

「警戒をかなり強めなければダメだな。メーノ、MPは?」

「残ってるけど、あの爆発で結構減っちゃったから支援系使う余裕はないわ」



 なら...



「ランタンは確かそれ1つだったな」

「これだけだと戦闘は困難です。かといって照らすことは叶いませんし...」

「直行するしかねえな。カミラには悪いが」

「私が先導します!ち、ちょっと怖いですが、頑張ります!」

まさに、<夜鬼>。



説明は次回。

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