最近なんかいつもよりクトゥルフしてる気がする
なんでなんでしょうかね
「な...」
自分を含み2名を除いて、全員が唖然としていた。
あの様子だと、今日の報告は最終調整のようなものなのだろう。
「さて」
おもむろに司祭様が立ち上がりこちらに向かってくる。
そして...<銃>を拾い、的に向かって撃った。
思わず耳を塞ぎ耳を守った。それでも音は聞こえてきた。
「ミカ司祭様、命中率がすごいですね」
「伊達に何度もこの場で使用しているわけではありません」
的の方を見れば、綺麗に中央を撃ち抜かれている鱗が。
「ですが...まだ反動が大きいですね。これ以上小さくすることはできないのですか?」
「無論できますとも。ただし威力と引き換えになりますがね」
「なんとかはなりませんか?」
「まあ、重量を増やせばなんとかは」
「それでは弱き民たちが持てないでしょう。その方向性は却下します」
「であるなら...うーん...」
弱き民、戦いから退いた人たち。この世界でそんなことをしている人は全て強者。怪我をすればただ魔獣の餌にされるだけだから、長い時を生きる老人はむしろ肉体こそ衰えているものの知識によって生き残れる力がある。
だから弱いと言えるのは生まれたばかりの子供だけ。しかしそれすら3年あれば戦えるようになる。
弱い人間なんていないはず。俺の認識が正しければ。
なら...司祭様は一体、誰に持たせようとしているんだ?
「...それを明日までの課題としておきましょう」
「んなっ!」
スタスタと外に向かう司祭様。壁などはないが、どうやら階段の方へ向かっているようだ。
「ああ、そう言えば言い忘れていました」
そんな司祭様は最後にこう言った。
「今回は見逃しましょう、もう発表する時も近いので。ですが、これ以上このことに首を入れたら最後、あなたたちの首が飛ぶことを忘れずに行動しなさい」
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ガチャ
「...おかえりなさい。何かヒントは得られましたか?」
「あ、ああ...」
「十分すぎるほど得られたぜ...なあ、ソルス...」
マイゲスの質問に答えずに、ベッドに突っ伏す。
かなり疲れた。今日はもう動きたくない気分だ。
「あれ、<警察>の方々は?」
「途中で別れんだ...上に報告するとかなんとか言ってたか」
その中身のほとんどは虚偽の報告であろう。最後の言葉を発した時の司祭様の顔は、その手で俺の首を飛ばそうとしているような目だった。
俺は...<勇者>だ。この世界において<魔王>に拮抗できる存在のはずだ。なのに...
...特別な存在だと、俺は自惚れていただけだったのか?<勇者>は特別でもなんでもなくて、ただの捨て駒だったのか?
"..."
「マイゲス、ソルスに一体何があったのですか?これ以上ないほど気力がないように見えますが...」
「そりゃそうだ...なあシート、禁書庫ってわかるよな」
「まあ、あまり本を読みませんがそれくらいは。図書館の奥の方にある読んではいけない本を集めた場所ですよね」
「そうそこだ。俺たちはうっかり、そこに入っちまったんだよ。んで見てはいけないものを見てしまった。たった...たったそれだけだ」
「そう...なんですか。私にはそれ以上の何かを見たようにm」
"マスター。今後はどうするのですか"
シートの言葉を遮ってアルカマが話す。
「そうだな。戦闘時の指示はカミラだが、それ以外の指示は全部リーダーであるソルスから出すのがルールだもんな」
...正直、今は何も考えたくはない。
だが、俺が一番の適任であることもまた事実だ。
「マイゲス、それは無理がありませんか?ソルスは今ひどく心が弱っているように見える。そんな状況で...」
「だからだよ」
「え?」
「俺たちよりも理解しているから、今後の方針を決めるのはソルスなんだよ。なあ、ソルス...」
「ああ...」
行動は起こさなくてはならない。俺の父さんを殺した犯人はいないが、それを仕向けたやつを捕まえなければ。
だがそれは1歩足を踏み外せば死が待っている吊り橋。そしてその片側に落ちてしまう条件を俺は知っている。
ならばこれは俺の役目だ。俺が、なんとかしなければ。
「...まずはメーノに連絡を取ろう。あっちの状況も知りたい」
「そうですね。<通話>にしますか?」
「いや、実際に会いたい。現状[再生]が低い後衛であるシートが回復しきっていない以上彼女らもそうであるはずだけど、魔法に関する知見はここにいる全員よりも彼女らの方がある」
「だな。俺なんて魔法はからっきしだ」
「しかし女性部屋に私たちは入れませんが...」
「こちらの部屋に来てもらおう。それなら行けるんじゃないだろうか」
数話ぶりの登場だあ




