表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
271/403

乗り越えたその先

不思議な人物です

「そういえば名前を聞いていないが?」



 廊下を歩きながら<警察>に話を振る。



 急に来て、納得して、話をしたものの、自分たちから名乗っては来なかった。



 信頼していないわけではないが、<警察>としてそれでいいわけではないだろう。



「あ、確かに言ってなかったな。俺はケリンだ、よろしくな」

「そして俺はジド。<勇者>様方の名前は把握しているが、一応聞いても?」

「わかった。俺はソルス、ソルス・バミア」

「俺の名前はマイゲスだ。苗字はないぜ」

「俺たちも苗字はないな。金持ちはいいな、苗字があって」



 苗字は国の長から直々に賜るしか名乗ることはできないしステータスにも追加されない。



 つまり、俺の家は、というか父さんは神聖皇国イマジの皇帝、<カリオストロ>と会い、苗字を賜ったということだろう。



<伝説の20人>全員が賜ったわけではないが、それはおそらく国の貢献度などがあるのかもしれない。



 父さんは<聖神信仰教会>を信仰していた。手に入れた宝を提供していたという話もあるくらいだったから、



「金持ちだけが持っているわけではないぞ。俺たち<警察>も貰おうと思えば貰えるさ」

「うおっ、まじか」

「それじゃあ<勇者>である俺も」

「まあ金貨が2000枚は必要になると聞いたが」

「「高っ!?」」

「礼拝堂の近くだぞ、静かに」



 石造りの城は脆く見えるが、しかしその実構成している石煉瓦1つ1つに<魔法陣>が描かれているため、そこら辺の盾よりも頑丈であり、対物性能の高い<爆属性>に対しても強い。



 見た目によらず、高性能な城になっていると言えるだろう。



 ============================================



「工房はどこにあるんだ?」

「もうすぐ...あった、ここだ」



 扉の前で足を止めるケリン。扉には



 実験中。入る時はノックしてください

 ヌト



 と書かれている。どうやら中で取り込んでいるらしい。



 ...少し聞き耳を立てれば、中からどんちゃん音がするのが聞こえてくる。一体何をしているのだろうか。



 コンコン



「すみません。<警察>のものなんですが...」



 瞬間、



 ドゴゴゴゴッゴ



 と音が響いてくる。



 そして、



「...っ、ふせt」



 壁が吹っ飛んだ。これくらいの瓦礫でどうにかなってしまうわけではないが、念の為頭を守っておく。



 あと戦闘態勢になり、爆発後に魔獣あるいは敵対する何かが出てきても問題ないようにする。



 ...つかの間の沈黙、それが破られたのは、砂煙が少し晴れ始めた頃だった。



「けほっ、けほっ、やはりこの世界の<魔力>の質はいいな...地球に持って帰りたいくらいだ」



 煙の中から出てきた、白衣姿の女性。この人が件の...?



「全く...それもこれも君たちがノックをしたからだ。注入<魔力>量を間違えてしまったじゃないか」

「いや扉にはノックをしろと」

「その扉は今木っ端微塵になっている。つまりその言い訳は無しだ」

「なんて暴論だ...」



 髪の毛をわしゃわしゃとしながら語る女性。黒髪黒目であることや先程言っていたことから、おそらくこの人は転生者だろう。一体何の実験をしていたのかは知らないが、それ関連の可能性は高い。



 <爆属性>の関わることで発生する爆発、何か屋敷のそれと関係がありそうだが...



「あなたが<聖神信仰教会>お抱えの<魔道具>職人さんですか?」



 話しかけにいく。関係があるのかはともかくとして、俺たちには情報が必要だ。



「んー、そうだとしたら?」

「話が聞きたい。バミア邸が爆発したことに<魔道具>が関わっているみたいなんだ」



 心を許していない人と話すときは、物腰を柔らかくして話すと相手も話しやすくなる。



 意識し始めたのは他人に指摘されてからで、まだまだ下手だがその成果は如何に。



「ふむ...もしかしてだが、私が疑われている?」

「そういうわけじゃない。犯人を特定するためにも、本当にそういう<魔道具>があるのか知りたいんです」

「そんなことができる状況かどうかは見ればわかると思うんだけどねえ」



 確かに、室内にあったのであろうもののほとんどはかなりひどく損壊して、使い物にならないもので床が埋まっている。



 何ならその床すらボコボコに傷ついている。歩くのも危険な状況だ。



「まあまあ、その気になってくれるのなら修理費を<警察>が出すことができるが?」

「それならいいか」



 ...世の中、結局金なのかもしれない。



「それで?一体どんな<魔道具>について聞きたいの?それが分からなければ、質問にすら答えられないぞ」

「あ、ああ。詳しい話は話すが、簡単に言うとものすごい音が鳴り響き鍛え上げられた者の頭を塵すら残さず消すことのできるものなのだが」

「何...」



 しばしの沈黙。何か考えているそぶりだが...






「...おかしいな、私の研究は公表していなかったはずだが」

「どういうことだ?」

「私、そういうものを作ろうと研究していたんだ。素人でも扱え、子供でも扱え、魔獣を退けることのできる<魔道具>をね」

次回「黒い金属塊から小さい金属塊が出てくるアレ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ