ネタバレ:爆発はしない
普通に間に合わなそうだったので今日にずらしました。
と言うことは今日の分は明日にずらされるということです
見慣れた廊下...俺の後ろについてくる4人は誰もみたことはないが、そんな場所を歩いていく。
さっきも爺やが言っていたが、この家は広い。歩いていればまず掃除している使用人を見ないことはないくらい掃除はずっと続いている。
「...む、ここ埃が残っていますよ」
「し、執事長!申し訳ありません!すぐにやり直します!」
「確か君はここにきて短かったね?」
「はい!3ヶ月前に採用してもらったばかりです」
「ならまだ何もわかっていないような時期ですね。いいですか、窓枠の清掃にはコツがあり、特に角の清掃を行うときは...」
俺には全く汚れも埃も見えないのだが、どうやらあるらしい。
今年で...確か430歳だったか。ドラゴニュートは寿命が長い種族であるとは聞いていたが、ここまで長いのは知らなかったな。
最も、長寿といえど殺されることがほとんどだから、平均死亡年齢を調べても全くおかしなことにならないのだが。
「それにしても広いわね。まだ階層移動してないはずよね?」
「ですが必要なものが多すぎて、これでも部屋が足りないのです」
「<クエスト>の報酬に<ダンジョン>で得た宝だけだが、それも積もらせれば山になりすぎるわけだ」
「使っても使いきれないほどの宝がたくさんありますう...」
「っと、大丈夫か?」
倒れ込んだカミラを支える。おそらく連続で大規模な<ダンジョン>を2つも閲覧したからだろう。脳が限界を迎えたんだ。
「爺や、ゲストルームは上2階のままか?」
「そうですな。今はメルト様の元に向かっていたのですが、休憩が必要だと言うのであれば先にゲストルームへと案内しましょう」
「頼む」
肩にもたれかかっているカミラを背負う。前線に出るタイプではないので軽く、簡単に背負えた。
「......むう」
「ん?メーノ、どうかしたか?」
「何でも。ところで、ゲストルームにはどうやっていくの?」
周りを見渡しながらメーノは言った。
「確かに...階段が見当たりませんね」
「ああそれなら、とりあえずみんな、握手をして輪っかになってくれないか?」
「輪っか?」
とりあえず近くにいたメーノと爺やの手と手を繋ぐ。背負いながらであるから完璧ではないが、これでも問題はなかったはずだ。
「こうか?」
「そうそう。そうやって全員で手を繋げば輪っかになるだろ?」
「いや、なりましたが...」
よし、全員が繋がったこの状態ならいける。そうだよな、爺や
「こんなことして何になるんだ?」
「わからない?かなりわかりやすいと思うけど」
「「いや全く」」
「即答するようなら、もっと魔法を勉強するべきですな」
繋がったことを確認した爺やはそう言いながら<魔法陣>を描いていく。
輪っかになった俺たちを枠として描かれるそれは、徐々に光を帯びていく。
「この魔法は...」
「わかるのかよシート
「ええ。というか何度も見たことがありますよ」
「そうなのか?」
「いつもお世話になっている魔法だから、普通なら覚えていてもおかしくないはずなんだがな」
そして<魔法陣>が完全に光に包まれたと同時に、目の前が見えなくなるほど明るくなった。
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光が収まり、目を開けばそこは部屋の前。
全く変わらない光景の廊下が周りに広がっているが、少し違うのは大量の扉だ。
「あ、<転移>か」
「ようやく気づいたか。罠にもあるからマイゲスならすぐ気づくと思ったんだが」
「そんなこと言われても、流石に枠が俺たちの<魔法陣>とかわからねえって」
それもそうだが、しかしそれを見抜けないのは...
「普通はありませんからね、そんな罠なんて」
「ありますよ。<パーティ>の陣形が特定のものであると発動するタイプのものが」
「マジかよ...俺の勉強不足だったか。また学び直そうかね」
「それよりも前にカミラを寝かせてあげることが優先だ。爺や、早く開けてくれ」
「わかりました、坊っちゃま」
「その呼び方はやめてくれ、恥ずかしい」
キィ、と扉が開くとそこはゲストルーム。
個別のお湯が出る風呂にトイレ、大きめのベッドと机そして椅子が1対、それと小さい冷蔵庫と軽めの調理がこなせるキッチンがついているが、ここが使われたことはほとんどない。
「豪華ですね...」
「ほとんど使われたことはないけどな」
「そうなの?」
「そもそも客人があまり来ませんから」
「こんな端っこならそりゃ来ないぜ」
背負っていたカミラをベッドに下ろし、寝かせる。
すでに「くう...くう...」と寝息を吐いていた彼女は静かに眠りについていた。
「さて、私たちはどうしましょうか」
「うーん、そう言われてもカミラを置いていくわけにはいかないでしょ?」
「それもそうだな。カミラが起きるまでこの部屋で待つか」
カミラは戦闘能力がない。襲われでもしたら抵抗することはできないだろう。
だがいなくなってしまっては<パーティ>が瓦解してしまうほど重要な立ち位置でもある。俺は指示が得意ではないし、彼女の指示は的確で動きやすいからだ。
「それでは私は紅茶を」
「その必要はないぞ」
入り口から声がする。聞き慣れた声が。
「だ、だれ!?」
俺たちが一斉に振り返れば、そこには。
「...帰ってすぐに声をかけないのか、お前は」
「そもそも父さんが帰っているかどうか俺はにはわからなかったし、仲間が倒れたんだから介抱するのが先でしょ」
「私も坊っちゃま...ソルスの意見には同意です。彼は自らそこの娘を背負いましたよ」
「そうか」
と言いつつ入ってくる...
「詳しいことはここでは話せない。すまないがダイニングルームに来て欲しい。話したいことがあるからな、<勇者>よ」
「いや、自己紹介はしようよ父さん...もとい、<伝説の20人>である<剣士メルト>ことメルト・バミアさん」
「...お前にその名で呼ばれると、何だか小っ恥ずかしいな」
「そんなことで赤くならないでくれ...」
息子にはちょっと優しめ、でも戦闘になると厳しめのイメージ




