エピソードログ2 とある司祭ととある司祭の場合
昨日はちょっと時間がなくてZEROの更新のみとなりました
なのでもうちょっと続きます
「ふむ、そうですか。これで報告は以上ですか?」
「一応は。もっとも、表で話せるものはですが」
「なるほど...いいでしょう、お前たち、一度外へ」
「はっ」
......
「それで?彼女たちはどうしていますか?」
「<魔王>を探しに行きました。カウラの<生存不可区域>に向かったようです」
「確か信者も連れていましたね。被害は?」
「報告はまだありませんが...おそらく彼女ら以外全滅していると思われます」
「でしょうね。あそこの<生存不可区域>は最近できたものですから、比較的強い魔獣で溢れかえっていそうですし」
「はい。報告によれば、数万単位の<ゴブリン>で溢れかえっているそうです」
「<ゴブリン>ですか、なかなか面倒な魔獣ですね」
「カウラの街との連絡が途絶えているのも、<ゴブリン>が壊滅させたとのことでして」
「え?確かあの街には<伝説の20人>が...いや、多勢に無勢でしたか」
「あと数時間で定期報告の時間になります。それまで待てば何か情報が得られるかと思います」
「いえ、それは待ちません」
「と、おっしゃられますと...」
「<生存不可区域>にいる以上、いつ死ぬかわかりませんから。戦力は今後のため残しておかないといけませんし、何より<魔王>が近くにいるのですから<聖神信仰教会>の刺客及び<勇者>がやってくるかもしれません」
「わかりました。<通話>をなされるということで?」
「ええ。外にいる彼らにも聞かせてあげましょう、我らが聖女の声を聞けば、鈍った感覚を引き戻してくれるでしょう」
「了解です。この部屋に呼べば...」
「それで構いません......ふふ、これで教祖様の悲願の達成に1歩近づきましたね...」
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「......」
「...司祭様?」
「ん?ああ、あなたですか。報告ですか?」
「そうですが...大丈夫ですか?すでに7連勤であると聞きますが...」
「問題ありませんよ...少し、頭痛がするだけです」
「は、はあ...」
(マリア...あのお方の名を騙るもの...なぜあんなに力を...?)
「...考えていても仕方ありません。報告を聞きましょう」
「はっ。<勇者>は指示通り<剣士メルト>様の所に向かわせました。反抗の意思はなく、無事に馬車に乗ったとのことです」
「そうですか。全く、彼は一体何を考えているのやら...」
「わかりません...それともう1つ」
「ほう」
「鼠からの報告がありました。現在<魔王>のうち1人がカウラの街跡近くにいるとのことです」
「あそこに?確かあのあたりは<生存不可区域>になっているはずですが...」
「それがシウズ王国王都に向かう途中の補給として向かったようなんです」
「補給?なぜそんなところに...待ってください、その<魔王>とはまさか」
「はい。マリア・ヒルドと名乗る<魔王>です」
「確かにニャージーランドとの間にありますね...」
「どうしますか?最後の報告から1週間はありますし、補給もなく死にかけている可能性も」
「ないでしょうね」
「だ、断言ですか...?」
「その理由は単純、あのものたちは強すぎるからです」
「ですが<生存不可区域>で1週間ですよ?」
「それを考慮しても、まず間違いなくまだ生きているでしょう。それも五体満足で」
「しかし...」
「<勇者>の報告は聞いていますね?彼女が扱うクトゥルフ神話の<神話生物>というそれを、私は知っています」
「どういうものなのですか?」
「私が転生する前にいた世界...地球における創作神話の1つです。怖い物語などで利用されていたりもしましたが...その中で大まかに人間の敵として描かれるのが<神話生物>でした」
「なぜ知っているのです?」
「広報の担当でしたのから、他の宗教を知っておく必要がありました。あれを宗教とするのは違いますが、神ではないことを否定するために詳しいことを知っておかなければなりませんでしたからね」
「そうだったんですね...」
「ですから...あの存在らが一体どれだけ非常識で、異常な存在かは知っているつもりです。だからこそ、それを従えている彼女はまだ生きていると考えることができます。それに...」
「それに<魔王>は<勇者>によってのみ殺される...でしたよね」
「ええ、それ以外の方法で殺されたことは前例としてありません。この2つの理由によって<魔王>マリアはまだ生きているとすることができるのです」
「では部隊の派遣などは行わないと?」
「そうとは言っていませんよ?<警察>を呼び出し向かわせてください。<伝説の20人>のもいるのですから、まず問題なく戦力としては...」
「そういえばカウラにいた<伝説の20人>はどうなったのでしょうか。街が陥落したとはいえ、その程度で死ぬことはないでしょうから...」
「それも探らせたほうがいいですね。確かそこにいた<狂戦士アンジェリア>は<魔王>側だったはずですから、生き残っていたら障害になる可能性が高い。<探偵>も連れて行ってください」
「わかりました!」
「さて...と。<勇者>は今、何をしているのでしょうか...」




