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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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そろそろ...ね

「共有情報で知ったが、メェーちゃんはシュブ=ニグラスなんだってな」

「そうだよ?」

「いやそうだよではなくてな...どうせなぜここにいるかとか聞いても無意味か...」

「聞けているのなら僕がすでに聞いているからね」



 そしてそんな僕が知らないということは、つまりそういうことだ。



「まあまあ。ほらあ、メェーちゃんはこんなに可愛いんだよお?」

「メェー!」

「本性を知ったらそんなこと言えないがな」



 そうかなあ。僕はぜんぜん可愛いと思うけど。



「全体的に見ても可愛いし部分的に見ても可愛い。肉体面も可愛いし精神面も可愛いよ?」

「少なくとも精神面は否定したいものだ...見えてきたぞ」

「お!」



 前も後ろも光なく、ただただ真っ暗なこの場所。



 曰く、



「ここには光を消す魔法である<消灯(デライト)>が仕掛けられていてな。どれだけ強力な光だろうと、それがクトゥグアの炎であろうと、光によって周りが見えることはまずなくなる」

「てことは周りを確認することはできないってこと?」

「<暗視(ナスコ)>などの暗視系で見れる。だがそれ以外では見えない」

「いつものだねえ」



 とのこと。当たり前のように初見殺しが雨のように降るこの世界では、何も見えない状況というのは全く持って普段通りのことであるらしく、皆が一斉に<暗視>あるいは[暗視]を使用し始めた。



 ちなみに僕はショゴスが暗いところでも見える目にしてくれたので見えたのだが、まあそんなことは置いといて。



 見える、と言っていた。前に向けば、そこには暗闇があった。



 では暗闇の中には?その中には、広い空間。



「...いや」



 歩いてその暗闇に入れば、踏みしめた地面から先ほどまでとは違う感触がする。



 さっきまでは岩盤だったけど、今は柔らかい土の感触だ。



「つまり」

「外だ...!」



 そう、僕たちは外に出てきたのだ。



「とりあえず出口までは案内した。これで俺の仕事h」

「まだ残ってるよ?とりあえず他の<ゴブリン>を仲間に引き込むまではこのまま一緒に行動してもらうからね」

「本当にに戦力保持しようとしているんだね...」



 戦争が起こることはすでにわかっている。あとは自分の強化と神話生物の召喚を積極的に行い、戦力を高めるだけだ。



「戦争か...<勇者>と<魔王>の争いだな?」

「多分ね。でもいつ火蓋が切られるかはわからないから、可能な限り早くに戦力を集めたいんだ」



 戦争っていうのはいつ起こるかわからない。単なる個人間のいざこざが発展して戦争になることだってあるんだからね。



 集められる時に集めるに越したことはないし、そもそも僕弱いし。



 この世界は弱肉強食、たとえ神話生物に縋ることになろうとも、生き残るためにはなんでもしなきゃいけないのだ。



「ふむ、そうなると目的地は...?」

「あ、そういえばこの地に来た目的を忘れていましたね」



 目的?



 なんかあったっけ...あああったあった。



「忘れんなよ!俺がこうやってここに出てきている理由だろうが!!」



 まあそうだねクトゥグア。でもさっきまで静かだったよね、なんで?



「暗いからな」

「それだけ?」

「おう。慣れてねえから、落ち着かねえんだよ」



 そんなものか。まあ確かにクトゥグアは炎そのもの、光を自ら発しているから、周りが暗いなんてことはまずない。



 でもあの洞窟は違った。ずっと真っ暗だった。



「そんで!!!俺が求めるバトルはどこに!!!!あるんだ!!!!!」

「こいつこんなにうるさいのか!」

「叫ばないと声が聞こえないレベルだねえ!」



 まじでうるさい。本当にうるさい。



 持っている僕からすると耳元で花火が破裂したくらいうるさい。



「ちょっと静かにしようかあ?」



 メェーちゃんがキレ気味に言った。



「ひっ」



 瞬間、クトゥグアはめちゃめちゃ小さくなった。山羊の一声だ。



「はあ...思い出したけど、<カウラの試練>ってどこ?」

「ああ、ここですよ」

「そうなんだ...え?」

「止まってくださいね。それ以上歩いたら...」






「奈落へ真っ逆さまですよ?」



 足をとめ、ランタンをかざす。



 一際明るくなったことで全容が見える穴は、その直径だけで1kmは下らないサイズであり、また底は見えなかった。



 だが何より重要だったことは、縁に沿うように階段があることだ。



「もしかして、ここが...」

「<龍穴/黒>という<ダンジョン>だ。ああ、さっきまでいた<ダンジョン>よりもかなり安全だから、そこは安心していいだろう」

「そもそも<<インベントリ>使用不可区域>は結構強めの<制限>だからね」



まじか。本当にそうだとは思わなかったぞ。



「じゃあここを降りていけばいいの?」

「かなり時間はかかるけどな。マナ、食料は?」

「今は6人かな?それくらいなら2週間はもつよお」

「よし、それなら大丈夫だ」



6人が2週間もつ食料って、かなり多くないか?



って思ったけど、よくよく考えてみたら何が起こるかわからない以上<インベントリ>の中に保存食は詰め込んでいるだろうから納得した。



「待ってくれ。俺も行くのか?」

「そうだよ?」



 キーゴイが変なことを言ってきた。



別に悪いことはしないし、いいと思うけど。



「いや...あいつは<ゴブリン>を毛嫌いしているぞ?」

「仲間にしている以上そうしていると伝えなければいけないからね」

「<ドラゴン>が敵対することに...」

「大丈夫大丈夫!ドラゴンと戦って、勝ったことあるから」

「「なんだって!?」」

「え?」

脱出だあああ

そして侵入だあああ

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