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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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まだ全部じゃないけど

ラスト5人は明日

「ああ、おかえり。気分はどう?」

「最悪だ。今後俺はヴァンパイアとして動くことになるのだろう?」

「ちょっと違うけど、まあ似たようなものかな」



 こちら側の警戒が強いのにも関わらず会話を返してくる。



 その行動から考えるに絶対に攻撃してこないっていう思考をしているのだろうけど、それは僕がそういう思考、つまり警戒しているだけで攻撃しようとはしていないことをわかっているのだろう。



「...何故だろうな」

「?」

「とても体が軽い。まるで憑かれていた何かがいなくなったかのようだ」

「多分その逆で持ち上げられているだけだと思うんですけど」



 イゴーロナクとかいう最高峰の呪物にね。



「そうか......そうかもな...?」

「さて、僕は君のことをなんて呼べばいい?勝手に醜悪王と呼んでいたが、流石に嫌だろう?」

「まあ、それはな」



 一応イゴーロナクとして僕の仲間になったんだ。名前くらいね。



「そうだな...キムとかはどうだ?」

「作者が暗殺されそうだからダメ」

「むう。ならキーゴイは」

「それならいいか」



 なんか語感がピンク玉に似ているような気がするけど、まあいいや。



 とりあえずは紹介だ。



「あ、今日から僕の仲間になりますキーゴイくんです」

「どうぞよろしく」

「待て待て待て待て」



 ============================================



「つまりい...洗脳?」

「噛み砕いて言えばそうなるな」

「そんな軟弱な精神だったのか...」

「そんなわけがないだろう。これでも<ダンジョンボス>だぞ」

「これでもって...ええ...?」



 荷物をまとめ、壁際を歩いていく。



 そもそも彼、キーゴイを待っていた理由は出口にたどり着くためだからね。



「まあ彼を堕とせたのは神話を詳しく知っていたのもあるからね」



 というか特攻。知っているやつを絶対に堕とす、そういう性質を持ったミームだからね。



「...ついた、確かここまではきていたんだったな」



 そして止まったこの場所は、一見すると何もない壁である。



「...本当に出口を出してくれるんですか?」

「疑っているようだが、今の俺はここにいる理由もないし、お前たちを襲う理由もない」

「でも魔獣であることに変わりは」

「ないな。だがお前は魔獣というだけで差別するのか?本質的には、魔獣とネコマタは同じ存在だぞ」

「それは...」



 まあ元々敵だったから信用できないというのは当たり前なんだよね。それを堪えているのがアンジェリアさん、お姉ちゃん、エリカなんだ。



「ネコマタ差別ダメ、ゼッタイ」

「マリアちゃんは何かあったのお?」

「ありました。そして聞かないでおいてください。一種の呪い的なものです」

「う、うん。わかった」



 呪いとは失礼な。ちょっと拘束力のある祝いだぞ。



「バースト、厄介な旧神を味方につけたな」

「それはそれ、これはこれだよ。早く出口を...」

「今やっている...確かこれだったか」



 キーゴイが壁にくっついた岩を押し込む、というか押し込めたんだそれ。



 ゴゴゴゴゴ



 すると壁から切り出されたレンガのようなものが階段状に迫り出してきた。



 大きさは人一人分はあるため十分に登っていける。そしてその続く先に、壁に穴が空いているのが見える。



「あんなところがあったのか」

「ここの岩を押さないと開かないがな」



 階段を登っていく。おそらくなんらかの不具合で勝手にあそこが空いてしまった時に出ることがないようかなり高めに設置されている穴。



 螺旋階段のように、かなり長い間登る必要があるようだ。



「それにしても、確かあんたはここで<ゴブリン>の国を統治していたんだってね」

「そうだ。この瓦礫の下には、たくさんの<ゴブリン>が住んでいた住居や<ゴブリン>のための施設があった」

「どれくらいいたのお?」

「総数は73万5033。その内戦力になるのは全員だ」

「うわあ軍事国家」

「俺たちが最も得意としていることは戦闘と略奪だからな。作物を育てようともしてみたがダメだった」



 魔獣は魔獣、知能を持ったところで人間のようになるのは難しかった、ということだろうか。



 とは言ってもそのための略奪だ。魔獣を縛る法はなく、見たら殺すが見られたら殺され奪われる。



「まあそのための奴隷だ」

「奴隷?」

「私たちのように略奪行為によって捕縛した人間を奴隷として扱って、苗床や労働者として扱ってたんだ」

「なかなかひどい環境でしたよ。病は蔓延しご飯もまあまあしか貰い得ないですから」

「生きる理由は死なないため。それで十分だろう?」



 それはそう。そして不満が溜まっていった結果...



「そう、だから私たちは皆で反旗を翻した。生き残ったのは私たち3人だけだが、なんとか壊滅には持ち込めたな」

「やはり作戦指揮をもっと見直すべきだった。数による人海戦術だけではまだまだ穴があったな」

「まあ反省点は次に活かせばいいさ。キーゴイは今、こうして出口に向かって登りながら反省できている。反省できない奴がほとんどなんだから、また死ぬ気で頑張ればいいだけだろ?」



 この世は生きるか死ぬかのどちらか2択。その中で生きるを選択できたのなら、また生きるを選択するために奮闘する。



 無意味だと感じるのは生きるのが楽しくないからだ。そういう意味でも、この世界で生きている人は狂っているのかもしれない。



 生きるために生きる。何を言っているのか自分でもさっぱりだけど、多分僕たちは生きるために生きているのだ。誰かの思案が運命を変えてでもいない限りはね。



「やり直す?お前は一体、俺に何をさせるつもりだ」

「もう一度国を再建してもらう」

「...は?」

「そして戦力て保持し、来るべき戦争の日に備える...僕は<魔王>だから、味方はたくさん欲しいんだよ」

戦争...確か6歳の時でしたっけ?

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