誰だよ20人にしたやつ
俺だよ
「さて、折り返しだ」
「ある意味で折り返しは過ぎているのでは?」
「敵側の数が多いのはしょうがない、そもそもこの世界で最も信仰されているのが<聖神信仰教会>、つまり<勇者>側陣営なんだ」
「もともと<魔王>側不利の状態からスタートしているからねえ」
正直<勇者>と<魔王>の争いの中で一番理不尽な要素だと思っている、信仰者の人数の違い。
多分7:2:1あればいい方なんじゃないかな、あれ。そもそもクトゥルフ神話は小規模のカルト教団が出てくることがほとんどなんだし仕方ないけども。
キ〇〇ト教を相手にしているようなもんだからね。今の状況。
「...これは...」
お、イゴーロナクネットワーク、略してINに反応あり。
「ようやく堕ちた?」
「どうかしたのお?」
「ああいや、そろそろあいつ起きるよ」
「何故わかる?」
「何故わかる...うーん...」
どう説明しよう。INなんて言っても理解しないだろうしそもそも今ここにいる人間は全員イゴーロナクにしたくないし。
「<通話>とは違うんだけど、特定の個体間で思念を相互に感知しあうことができるんだよね」
「その特定の個体というのが、あの<ゴブリン>ということか?」
「まあそういうことだよ」
これでいいのだろうか。まあとりあえずはいいのだろうけど、こう...
もどかしい。めっちゃkジョマ描く5時間くらい使って説明したいのにそれができないのが辛すぎる。
「なら手短に行くか、時間もないことだしな。次はイーモ、<探索者のイーモ>だ」
ほう、探索者ですか。さっきも話題に上がってたけど、そういう職業の人もいるんだね。
神話的にはちょっとあれだけど。
「苗字はなくイーモが本名である彼は、その職業の通り<ダンジョン>や野外における収集調達を得意としている」
「それが探索者の仕事だからね。ちなみに私も探索者なんだ」
「最も、彼の場合本来は採れない場所からも採取していたが」
「例えばどんなものを?」
「埃ひとつない部屋から<アブソーブマッシュルーム>を採取していたな」
「それは...流石に普通の探索者である私には無理かなあ」
あ、<アブソーブマッシュルーム>?
なんじゃそりゃ。
「端的にいうと、採取した瞬間そのあたり一帯に魔獣が寄るようになる、食用である<モリキノコ>に外見が99%一致している毒性の...魔獣」
「いや魔獣なんだ」
「<モリキノコ>は植物なんだよね。でもそれを見分けるのはちゃんと訓練しないと無理だから、探索者を育成する単位ではまず絶対に習う」
「そうなんだあ」
そういう魔獣もいるのか。となると探索者は結構大事...
そもそもどこに危険が潜んでいるかわからないこの世界ではどんな人でも重要か。いつ必要になるかわからないしね。
多種多様かつ大量の魔獣、どんどん生まれる<ダンジョン>、いつ何が起きるかわからない<イベント>、挙げ句の果てに周りの人間すらヤバい奴がいる始末なわけだし。
「<単純明快>は彼曰く非常に使いやすい武器であり、探索のツールとしても使える便利な代物だ。少し高いが形状だけ模倣したナイフが売られているくらいにはな」
はえー、サバイバルナイフみたいなものなのだろうか。
今度ニャルのとこ行った時に探してみよう。
「では次、パラ」
「短い名前だ」
「ニックネームだからな。本名はパガロウズド・ラゲイウイネで、自分でパラと名乗っている」
「確か...死んだ友人からもらったニックネーム、という話でしたね」
「そうだ、その友人が忘れられないらしく、また自分でも忘れたくないから自分で名乗っているらしい」
この世界にもそんな人がいるのか。珍しい。
「彼は<錬金術師のパラ>と呼ばれている。その<錬金術>の腕前は彼の右に出る者がいないほどだ」
<錬金術>、っていうと...僕はゴミを金に変えるのをイメージするんだけど。
あるいは等価交換?
「<錬金術>って?」
「厳密には<魔法陣>及び<魔道具>の一種でえ、対象の物体を別の物体に変化させる魔法の総称だねえ」
「じゃあ魔法使い?」
「そういうことになるな」
前世の認識とそう変わらないのか。
「まあ彼が生み出した<錬金術>の中で最も有名なのは<金木成>だな」
「ああ、あの使用禁止の」
「使用禁止...って、そんな強いの?」
「強いというかなんというか、お金を無限に生み出せるためにお金の価値がなくなってしまうんだ」
「あっ...」
なるほどね。それは禁止指定だわ。
「そして彼が持つ<封印されし者>は無機物を有機物として、そして有機物を無機物として扱うことができるらしい」
「えっと、それはつまり?」
うわ...それやばいな。変化させる系の魔法にその能力はダメでしょ。
「つまり、生物を何か他のものにすることができるんですよね?」
「そうだ。よく理解できたな」
「前世では無機物と有機物は常識でしたから」
それこそ目の前の敵を爆薬に変えて爆発させることも可能なのだろう。
その爆弾を他の敵に当てれば効率はなおよし。なお。
「そうか、だがこいつに関してはマリアでもわからないかもしれないな。<拳闘士ドラ>、ドラゴニュートと呼ばれる<ドラゴン>の血が混ざっている一族の人間だ」
拳闘師、なんだかカッコ良い響きだけど、なんだか嫌な予感がする。
そしてその予感というものは大体当たる。
「本来ドラゴニュートは武装を扱える器用さと<ドラゴン>に連なる強い肉体を持ち味とし、槍などを扱うのが一般的なんだが、彼は武装を一切使わず、また<当身>と総称される力を必要としない<魔技>を使用する防御系の人間だ」
「強みが消えていそうなんですけど?」
「彼が話すには、というか実際に見たんだが、彼は何故か知らないが筋力ステータスが異様に低くてな」
「具体的にはどれくらい...」
「私が管理していた最後の瞬間の数値が正しければ、14」
「ひっく」
ナメクジ以下だったショゴスなしの僕でさえ90から100くらいはあったのに、14?
もはや何かの病気なのでは。
「無論そんなに低ければ武器はままならず、鎧も厚めの布きれが精一杯だった。日常服すら着れないのは流石に可哀想だったな」
「でもドラゴニュートは鱗があるから...」
「防御力はまあまあある、だから前線でも戦えるわけだな。ちなみに彼も白金級武器を持っていない、いや持てないの方が正しいか」
「攻撃力は追いついていたんですか?」
「それが追いついていた。なんでも相手の攻撃力を利用していると言っていたが...拳闘士は本来攻撃寄りの職業、しかし彼はその独自の<魔技>で味方を守っている。そこには死に物狂いの努力があるだろうが...まあ、敵ともなれば容赦はいらないだろう」
合気道みたいなものか。<当身>って言ってたけど、それを踏まえると迂闊に攻撃はできなさそうだ。
「そしてもっと意味不明なのが彼女、<忍クノチ>だ」
「意味不明?」
「日常的に服を着ない。別にそこに理由は無いし、忍は普通に装備を着てもなんらペナルティだったりがあるわけでもないし、彼女は普通に恥ずかしいとも言っていた」
「じゃあなんで」
「わからない。曰く、脱いでいないとダメらしいが...本当によくわからない」
別にMってわけでも無い...じゃななんで?
裸族でも、ペナルティのためでも無いんだから、本当に理由なんてないのでは?
「とはいっても忍は忍、隠密と急襲は負け知らずであり、それは天才とも言えるほどだった」
「姿さえ...なんかそういう残念系の女性多くないですか?」
「そうか?私は普通だと思うが」
「アンジェリアさんは...まあ、いつもは普通ですね」
「いつもは普通だねえ」
「同感です」
「うんうん」
「ええ??」
自覚ないのか記憶がないのか。
はたまた嘘をついているだけなのか、真相はどれだ。
「ま、まあ...<球状形態>はその名の通り質量武器として投げたとしても強いが、最大の特徴は中にいろいろ入れられるのと、形状が投げる対象が苦手としているものに変化することだな」
「うわっ、地味に嫌だなそれ」
「ちなみに自動的に回収される上に計5つある」
「戦い方は自由自在だあ」
よくわからない人なのに要注意なのなんか...なんか。
あまり言葉にできないな。頭の中でまとまらない。
「さて、あまり理解できない者が続いたからな。次はシンプルに<剣士メルト>といこう」
そして一気に普通になったな。風邪ひきそうだよ。
「本名メルト・バミア」
「あ」
「流石にマリアでもわかるか。現<勇者>であるソルス・バミアの親となっている男だ」
剣士...てことは多分あいつに教えれるほど強い...
「実力は超一流。剣がなくても切った爪で一度に木を5本は薙ぎ倒せる」
「筋力が相当高そうですね」
「もちろんそれだけじゃないが...何よりも」
「随分と、賑やかに話をしているな」
その瞬間、全員が立ち上がり一点を見つめた。それには僕も含まれていて、いかに緊急性が高いものかを表しているだろう。
話の途中なのに帰ってきたか。タイミングくらい考えろ。
起きたあ




