表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
251/402

性能と性癖は紙一重

「か、[快楽変換]?」

「名前の通り、相手を攻撃した時にあるはずの感触を全て全身への快楽に変換する。とてもじゃないけど危険すぎる代物なの」



 それって...女王様的なやつ?



 鞭で叩いておーほっほっほするあれ?



「そしてあの筋肉はそれの象徴。快楽がたまっていくとそれに耐え切れる体・精神に使用者本人を変質させていく」

「どういうことお?」

「んーと...えっと、その...」



 溜まっていく、か。言葉だけだと解放されないように聞こえるけど、それってつまり



「達せない、ということか」

「よく堂々と言えるね...端的に言えばそうなるけどさ」



 あれだな。薄い本でたまによくあるやつ。



 でも...



「あんなになるのお...?」



 少し目を離したすきに、アンジェリアの筋肉はさらに膨張していた。



 筋骨隆々なのはまあそのままとして、体のサイズが1.5倍くらいになっている。もはや槍をぶん投げてそれを牽制とし突っ込んでいくようにも見えるどころかそうしてる。



 頭を掴んで地面に叩きつけ、飛び上がって膝を首に落としたと思ったらそのまま立ち上がり、何度もスタンプしていく。



 幸い(?)なことに全面的にミンチにされていっているだけなので回復の余地はまだあるけど...



 あれ、もう絶対楽しんでるよね。すでに殺すことができるくらいの腕力あるでしょ。



「その快楽は際限なく溜め込まれ、解放がくるのは攻撃を与え続けた対象が死ぬ時のみ」

「それまではあの状態がずっと続くんだ...」

「だから、どこかで絶対に敵を倒せるし、動き続けるためのエネルギーは快楽が消費を肩代わりするために永遠と戦うことができる」

「...あ、待って。精神面の変化もあるということは」

「多分マリアの想像通り。快楽を求めるように動くよう、あの槍に触れた瞬間から変わる。アンジェリアさんが言ってたことだけど、一度やるとやめられなくなる何かがあるとも」



 いや、もはや呪いの武器というかなんというか。戦うことを強制してるのもそうなんだけど、知っちゃったねえ状態にするのもやばいな。



 何度も使うように誘われている、しかも自分も使ってしまうって、まるで麻薬みたいだ。



「理論上は私たちを倒すことは可能と...まさかとは思うけど、もしかして<伝説の20人>ってみんなやばい?」

「他の人の話は聞いていないけど、多分そうだと思う。武器の性能に依存してるって言われるかもしれないけど、そもそも強い武器を手にいれる為にはそれ相応の素材が必要なわけだし」

「素材を手に入れるには相応の魔獣を倒さなきゃだからねえ」



 例えアンジェリアがあの槍を持っていなかったとしても強いことは、今までの行動が証明している。



 そしてステータスが最高峰なのだから、そんな槍を持ってしまったらもう手がつけられないのは自明の理だ。



「ぐっ!!がっ!!ごふっ!!」

「まだか!お前はそんなもんか!私たちを、人間を痛めつけたんだろ!もっと反撃しろ!立ち上がれ!そうしたら私がその上から叩き潰してやる!」



 ひえっ。性格まで変わってるって。



「あれはまだマシな方で、前に2時間以上戦った際は言語機能を失って仲間に手を出すほど狂乱状態に陥ったんだって」

「だ、だから狂戦士...」

「我々の、"狂う"、とは異質ですが、確かにこれも狂っていますね」



 暴れ続けているのを狂っていると捉えることもできるけど、その槍からずっと供給され続ける快楽に溺れ狂っているとも捉えられる。



<狂戦士アンジェリア>。まさにその名に相応しいと言える。



「もっと、もっとだ!もっと私にいたぶられろ!!」



 さっきと言ってること違う、いや同じか?とにかく彼女は止まらない。



 醜悪王を殺すまで。殺してしまうまで。



 おもちゃ(醜悪王) で遊び続けるんだ。



「ぐっ、ここだ!!」



 と、ここで醜悪王が反撃した。



 馬乗り状態で振るわれる何十回もの拳の、一瞬の隙間に捩じ込んだパンチはしっかりと顔にクリーンヒットしたように見える。



「...アハッ」

「!?!?」



 そして聞こえるアンジェリアの声。後ろにハートマークがついてもおかしくないような、歓喜の声が。



 続けて殴り続ける、抵抗し続ける醜悪王に対し、アンジェリアは



「いい!イイッ!!」



 恍惚の笑みを全身で体現していた。怖いて。



「SはMを兼ねるって聞いたことあるけど...これは...」

「それは逆だエリカ。MはSを兼ねる、つまり元はMだったのだろう」

「アンジェリアさんがどうやって1ヶ月も耐えていたのかわからなかったですけど、こういうことだったんですね...」

「...ん?そういえば<愛と名声と金のために>って、使用者を溜まり続ける快楽に耐えられる体及び精神に改造してしまうんだよね?」

「そうですが...あ」



 ということは本質的には3つの特殊能力があるわけか。



 相手に攻撃すると快楽を得る。

 絶頂を封じ、溜まっていく快楽に耐えられる体及び精神への改造。

 使用者への依存性。



 この時点で強い。噛み砕けば、攻撃すればするほど強くなれる、という解釈になるから。



「あの状態を鑑みるにい、ダメージを受けた時にも快感が溜まっていってるう?」

「ち、ちなみにあの槍の身体改造に再生能力は?」

「ついていると思います...自己強化系のスキルには大抵ありますから...」



 なのに攻撃されてもそうなっていくのは話が違うでしょうよ。攻撃するたびに、されるたびに強くなるなら<流転傷>よりもタチが悪い。



 であるなら、攻撃して悦び、攻撃されて悦ぶその姿が<狂戦士アンジェリア>ということなのだろうか?



「...ふ」

「マリア、どうしたの?」

「ああいや...何、久々に私を殺せるものを見つけたからな」



 まあそりゃそうでしょうね。



 そもそも神話生物の中でも神格に位置するのだから殺せないのは当然なんだけど、だからこそそれを殺しうるというのははっきり言って異常だ。



「これは、今後が楽しみですね」

「え、何が?」

さてと...そろそろ決着といきましょうか

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ