表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
250/402

バーサーカーに足る

「まあ、とりあえずMPの仕組みがわかった所でえ、とりあえず観戦側になろっかあ」



 お姉ちゃんが少し詠唱すれば、出てくる正方形の壁。



 透明が故にしっかりと前が見える。しかも破片はこちらに来ない。



 観戦にはもってこいだろう。



「これでよしい」

「確認終わり、っと」

「ああ、おかえりい」



 エリカが戻ってくる。何かを引きずりながら。



「どこか行ってたの?」

「まあね。変なことはやってないよ、ただ気になって調べただけ」



 と言って引きずっていたそれを見せてくる。



 ...<ゴブリン>の死体。交雑種になった後のものだった。



「たった一振り、それだけでここの空間全域にいたこいつらが死んだんだよ。もちろん<伝説の20人>であることは重ね重ね承知の上だけど、流石に確認したよね」

「結果は?」

「全員死んでた」

「うわあ」

「切断面が綺麗なのなんでだろ。槍って切るためのものじゃないはずなんだけど」

「相当な力で振られた、ということだろうよ」



 あるいは...槍の特殊な力か。






「待たせたな」

「はぁ、はぁ、待ってたまるかっ!」

「む、確かに待っていないか。マリアと殺し合い...いや、あれは一方的な蹂躙と言ったほうがいいか?」



 槍を構えるアンジェリア。よろよろと立ち上がる醜悪王。



 ...しかしその姿には、確かな余裕があるようにも見える。



 まだ死なないということをわかっているのか、いや十中八九MPが残っているのだろう。



「...いくぞ」



 飛び出したアンジェリア。槍を突き出しながらの突進は、



「速っ!?」



 文字通り見えなかった。突き刺さった瞬間に、ようやく反応できたレベルだ。



 まあ校長のアレを見ていたらそりゃそうかともなるけど。



「しかし私の目をもってしても見えないのは...実に興味深いですね」



 突き刺さった、いやもう突き刺さっていないけど、とにかく槍は確かに脇腹を抉っていた。



 そのまま槍を振れば軽く飛ばされていく醜悪王。



「でも...」

「<流て、がはっ!?」



 <流転傷>が全てを解決、はしなかった。それをする前に首を切りつけたからだ。



 そのせいか<詠唱>はスキップ...されなかった。



 一瞬で醜悪王の体が元に戻る。外から見るとあんな感じなのか。



「あれえ、今<詠唱>があ...」

「おそらく何か他の方法での行使も可能なのでしょう」

「<無詠唱>?」

「可能性はありますが、低いでしょう」

「なんでえ?」

「<無詠唱>は<詠唱>と同様に喉が使えないと使えない、ってなんでマナが知らないのよ...」



 すぐにその場を離れるアンジェリア。それを追いかける醜悪王は、すでに身体が回復している。



 と、その追いかけてきた醜悪王に槍を思い切り投げた。こちらに向かってきていた醜悪王は避けられず、まともに喰らってしまう。



 のにそれによってつけられた傷は帰ってきた槍によってさらに貫かれた後に修復された。



「<流転傷>...たった1つの魔法だけでここまで戦えるようになりますか?」

「リーシャ!」

「遅れました、マリア...武器だけですが、アンジェリアは装備を、それもこの世界でも最高の武器を持っているのに...」



 よしよし、これでみんな完全に回復して集まれたか。



 これなら万が一があっても問題ないだろう。



「どれだけダメージを喰らっても回復できるんだ。防御のほとんどを捨てたとしてもなんとかなる、つまり攻撃に専念できる。意識が攻撃に割ける、というそれだけでも対応力は広がるのだから、実質的に攻撃の質も良くなるわけだ」



 最も、また拾いなおしたらしい棍棒でも、あの槍で捌かれているのだけど。



「...しかし、あれは説明できないな。あの棍棒は相応に力、筋肉が必要になるのはわかりきっているのだが」

「あの小柄な体で持てるようになるまで訓練した、とかですか?」

「いやそっちじゃない」



 そうそっちじゃない。僕が今言いたいのはアンジェリアの方だ。



 ただ人外だから、というには説明ができないほどの筋力をあの醜悪王が持っているのは、イゴーロナクの体でインファイトを仕掛けた僕はよく知っている。



 だからこそ、そこに質量を追加した棍棒の1撃をあの細い槍で抑えているアンジェリアもおかしい。



「チッ、しぶといな。もっと楽に死んだほうが身のためだぞ」

「それをいうのはこちらのセリフじゃないのか?お前、さっきから俺に致命傷までしか与えられていないじゃないか」

「...」

「俺は一撃で殺される以外死ぬことはない今のままj」

「うるせーよ。その汚い口を閉じろ」



 ...なんか、口悪くなってない?



「そろそろかな...」

「何がですか?」

「あ、マリアは知らないんですね」



 知らないって、何を?



「<伝説の20人>は絵本にもなるくらい有名ですけど、マリアは知らなくても無理はありませんね。アンジェリアさんが、<狂戦士アンジェリア>と呼ばれていた所以を」

「え?」

「あの人は20人の中でも継続戦闘に優れていて、それは断食状態でも1ヶ月は継続して戦闘できるほどなんです」



 そんなことできるのか、マジかよアンジェリアバケモンだなって言ってももうわかりきっていることだったわ。



「そしてそれを可能にしているのが」






 その瞬間だった。



 ボン!



 という音と共に膨れ上がった。



 筋肉が。アンジェリアの全身の筋肉が膨れ上がって、筋骨隆々となった。



「決めた。お前ぐちゃぐちゃにしてやるわ」



 そういうアンジェリアの右手にはあの槍。両手武器を片手で扱うとはどういう...



「<愛と名声と金の為に>が持つスキルの1つ、[快楽変換]なの」

筋骨隆々のお姉さんです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ