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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
242/404

>キング・ゴブリン<戦⑩ 暗転返し

危うく飲み込まれた

「くそっ、俺自身に使う日がいつか来るとは思っていたが、まさかこんなに早いとはな...」



<ゴブリン>としての顔を歪め、それと人間の間、いやさらに魚を混ぜて酸で割ったような顔を見せていく。



 緑色にところどころ光る鱗は、それが完璧でないもの、交雑種であることを教えてくれる。



 そもそも奴らの鱗はあんな鈍い光を放ちません。光を反射したなら水面と言うべき煌めきを見せてくれますよ。



「お、それは気になるな...まあ、私ならいつでも見れることになるでしょうが」



 小柄だった体は大柄なものへと成長し、ギロギロとした目玉をこちらに覗かせる。



 ここまで変身することができるとは。どうやらその技術は本物のようで。



「それに比べて、私の体は本当に貧相です。<魔力>不足や全身の大怪我が原因なのはわかっていますが」



 ...ああ、知りたい。



「教えてください。どうやってその技術を?」

「...!!」



 問答無用で殴りかかってくる醜悪王、いや。



 ーーーーーーーーーーーー


 >キング・ゴブリン・ディセンド<


 666666/666666


 ーーーーーーーーーーーー



「...変わらず醜悪王でいいでしょうね。そのキモい顔は絶対に変わることはないでしょうから」

「ほざけ」



 棍棒を捨てたパンチは当たり前ながら相当重い。



 軽い僕の体は紙切れのように吹っ飛んでいく...が。



 おかげでいくつか知れたぞ。これもイゴーロナクの、知の欲望の権化が持つ権能か。



「そう、あなたは変わっていない。深きものの血を取り込んだことで変態しただけに過ぎないのです」



 触れただけでやつの情報を解析した。それも同時に、自動的に。



 とても単純なものであって、科学的な設備あるいは解析のための<魔道具>には劣るものではありますが、それで十分なほどの情報を、知を得られた。



「変身前と変身後のDNA一致率は平均60%。自我が保てるのはそこまでということですか」



 僕も走り、やつに接近する。そして奴も、醜悪そのものも僕に向かってきていた。



「ふん!!」



 全力の拳が僕に向かってくる。それを逸らすことによって当たらないよう調整、その動きのまま反撃。



 ビンタ。でも私のビンタは一味違う。


 手のひらが当たったところからえぐれていくの様は、神話生物のオーバーパワーを扱っているようでとても気持ちがいい。



 そしてこれ以上の力を他の存在は持っていると考えると、それはそれで夜が寝れなくなりそうだ。



「ああ、楽しみです!私は基本戦闘が得意な神でありませんのに、なのにこれほどの力!他の神話生物の本気は一体どんなものなのか!」



 でも今は、もっと知りたいものがある。



 目の前に。



「私は、私達は」



 肉片を握りつぶす。



 やはり鱗は全身に及んでいないのか、身体にとって重要な部分を隠すように生えてきている。



 鱗のサンプルを入手するには、やはり致命傷を狙うしかないみたい。



「知識欲の怪物」



 やつの頬は僕の手によって抉られた。顎の筋肉も一緒に持ってったために顎は外れ、喋れなくなっている醜悪。



「知りたいがために。あらゆる生命の記憶を食らい尽くしたいと願うもの」



 さっき地面に置いていた棍棒を片手に、突っ込んでくる。



 話すだけ無駄だ、とでも思ったか。その顎はいつでも再生できるはずだが。



「そのために、そのためだけに。私は文字と成った。知識となった」



 大きく振り下ろされた棍棒を避け、そのまま片足を首に掛ける。



「今は仮の姿を見せているが、いつか私が文字の状態からでもこの姿になるようになるのだろう」



 地面を掴んでそのまま足で投げ飛ばし、また距離的には仕切り直しになる。



 しかし構わず突っ込んでくる。そして突っ込みに行く。



 ガン!ガン!



 互いに手を合わせ力の競り合い。しかし勝者は...



 ...僕。手の肉を削ぎながら相手の目の前で食ってやる。



「そしてそれに近づくために、私はお前に近づく。さあ教えてくれ、君の全てを、君の存在理由を」



 互いに互いへ走って行けば、ものの数秒でまたあの時と同じ状況。



 スタミナが尽きれば、走りも鈍くなる。でも関係ない。



 醜悪をもっと知れるのであれば。



「教えてくれ。君の骨までしゃぶって、僕はお前を殺してあげよう。」




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