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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第一章 未狂理解不能
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脱出げーむ④ ~速さはいらない~

前回と前々回のあらすじ


ショゴス召喚したらその時の声で見回り的なやつがやってきたけど、ショゴスがなんとかしてくれた。

その後に来たやつもショゴスがなんとかしてくれた。




遅れてすみません。

何はともあれ、僕たちはようやく牢屋を出ることができた。


牢屋を出てすぐの通路は、いくつかの蝋燭によって明るく照らし出されている。


また、両端に一つずつの扉があるのが遠目で見てもわかる。


ちなみにだけど、通路に汚れは全くない。赤くもないし、黒くもない


「エリカさん、でぐちってどこ?」


とりあえず聞いてみる。知っているかどうかは知らないけどね。


「んー。あいつらは右から来ていたから...右?」

「私たちはあ、牢屋に入って時に左に曲がっていたよねえ」

「じゃあ左ってことか。先に様子見てくるね」

「りょーかーい」


そしてエリカさんは左の方へ行ってしまった。あれ、でも左に曲がって入ったってことは...


「みぎがでぐち?」

「マリアちゃんせいかーい」


やったぜ、ってそうじゃないよ!?


エリカさんは左に行っちゃったんだが!?


「え、エリカさんはいいの?」

「いいんだよお。多分ドアの向こうで色々やっているからあ」


ドアの向こう?そういえば、エリカさんは様子を見おわったのだろうか。


左のドアを見る。結構遠いのでドアくらいしか見えないけど...ん?


ということは、エリカさんは今ドアの向こうにいるのか。なるほどね。


ゴッ!


という鈍い音が聞こえる。その次に、ガシャーン!という何かが割れるような音が。


そして最後は、まあ。擬音で表すならドカバキグシャだろうか。どうやら、ドアの向こうでは乱闘がはじまっているらしい。


「エリカおねえさん、だいじょうぶかなあ」

「エリカなら大丈夫だよお。だって、ほら」


とマナさんが言うと、ドアがゆっくりと開かれる。


そこにいたのは、軽く怪我を負ってるエリカさんだった。


...後ろを見ると、気を失っているように見える男性が何人か見える。あの人たち全員ボコボコにしたということか。


「お疲れえ」


マナさんがねぎらいの言葉をかける。が、そんなに疲れているようには見えない。


「はあ、スッキリした!」

「良かったねえ」


と言いながら手に魔力を集めるマナさん。何かするのだろうか。


「<回復(ヒール)>」


エリカさんの足元に、緑色に淡く光る魔法陣が出てくる。


すると、エリカさんの傷がみるみるうちに回復していく。まあほとんどなかったけどね。


いやしかし、なるほどね。これでリーシャちゃんの怪我を治したんだ。


そして、魔法陣が消えた時には怪我一つないエリカさんに戻っていた。


「はあい、終わりい」

「ありがと、おかげで腕が軽い軽い」


ぐるぐると回しながらエリカさんはそう言った。


「よし、じゃああとは右の扉だ」

「いってらっしゃあい」


エリカさんは右の扉へ向かう。それに続いて、僕たちも向かう。


とは言っても、エリカさんのように駆け足ではない。マナさんが背負っているリーシャちゃんを起こさないくらいの速度でだ。


歩いているだけじゃ暇なので周りを見渡す。どうやら僕達のいた牢屋以外にも牢屋はあるみたいだった。


が、その中にいる人のほとんどが泡を吹いて倒れていた。中には痙攣したまま倒れている人だったり、ずっと俯きながら何かをブツブツとつぶやいている人もいた。


わざわざ聞こうとは思わない。十中八九ショゴスを見たか食事の音を聞いたのが理由だろうし、何より神よウンタラカンタラ言っていたので聞く気が失せた。神って、あの胡散臭いおっさんだからね。


まあ、少しはわるいことをしたとは思ってる。次からショゴスを出すときは再発防止対策を考えなければいけないな。


...まだちょっと距離があるし、スキルの確認でもしておこうか。


えっと、今のステータスは......


ーーーーーーーーーーーー

[名前] マリア

[性別] 女性 [年齢] 5

[職業] 召喚師(サモナー)(クトゥルフ神話)


HP 10/10 MP 20/20


ーステータスーーーーーー


筋力 10

体力 10

敏捷 11

知性 40

精神 165

魔力 36


ースキルーーーーー


言語 Lv7

召喚 (クトゥルフ神話) LV3 (1)

魔術 Lv5

応急処置 Lv1


(<魔王>の種[発芽前] Lv100 (MAX))


ーーーーーーーーーーーー


うん、見間違いじゃない。確かに、[魔法の才]がなくなって[魔術]が増えてるわ。


...とりあえず、説明でも見ておこう


ーーーーーーーーーーーー


[魔術] 緑


別世界の魔法。この世界には存在し得ないもの。そのために希少性は高く、難易度も高い。

緑までの[鑑定]スキルか<鑑定石>には[魔法]として表示される。



<隠密>

<魔力付与>

<Lv10で使用可能>

ーーーーーーーーーーーー


なるほど別世界の。クトゥルフ神話で語られる魔法のことでいいと思うけど、この世界に存在し得ないものって...


さっきショゴスいたし、あの図書館にいたグールもそうでしょ。


まあ、深く考えるのは後にしよう。その次は[<魔王>の因子]と同じだからいいとして、だ。


ふむ、<隠密>に<魔力付与>。説明とか見れるかな?


ーーーーーーーーーーーー


<隠密> 3MP

一時的に物音が出にくくなる


<魔力付与> 5MP

一時的に武器に魔力を纏わせ、霊体などに対してダメージが通るようにする。


ーーーーーーーーーーーー


なるほど、魔法とかを長押ししても説明は見れるのね。


で、どちらも癖はなさそうだけども。3MPとか5MPとかは消費MPかな?


「どお、中の様子はあ」


マナさんの声が聞こえて、前を向く。いつの間にか、ドアの前まで来ていたらしい。


やっぱり、僕は何か考え事をしていると途端に周りが見えなくなるらしい。実際、発声の練習のときも母さんの呼んでいる声が聞こえなかった時が何回かあったし...


まあ、今は思案すべき時ではないな。目の前のことに集中すべし。


「まあ、通れなくもないかな?という感じ」


とエリカさん談。扉の隙間から中を覗くと、そこは結構広い場所で、たくさんの男やら女やらが寝ていた。通路と同じく、壁に設置された蝋燭のほか、地面に置かれている蝋燭によってかなり明るい。


よく見ると全員同じような服を着ている。ということは、ここにいる奴らは全員敵だということだ。


そして、その奥には大きく広がっている出入り口のようなものが。あれが出口でいいんだろうけど、どうなんだろう。


そこから見える外らしき景色は、いわゆる森の中といった感じだ。


「おおー、いっぱいいるねえ」


僕の上で覗き込んでいたマナさんがそう言った。本当にたくさんいるから、タチが悪い。


「どうする?このまま通るか、安全に通る方法を模索するか」

「ショゴスでいちもうだじんにするとか?」

「いや、それで出口が閉まったりしたらまずいからそれはできないかな」


むう、残念。確かに、襲われたことで叫び声をあげてパニック状態になったことで何かまずいことが起こっても、僕たちは対処できないし奴らも対処できない。


じゃあこのまま進むとかになるのか?


僕の魔法ならできそうだけど...全く使い勝手のわからない魔法をぶっつけ本番で使うのはなにが起こるかわからないし。


「ならあ、眠りだけ深くしておいてえ、できる限り安全にしておきましょお」

「ん、わかった」


すると、マナさんがドアの隙間から手を出す。そして...


「<睡眠(スリープ)>」


と一言。


隙間から覗いてみる。が、特に変わった様子はない。


いや...あの出入り口にいた男が、壁に寄りかかって寝ているように見える。


エリカさんがドアを開ける。キイィィっと結構大きい音がするが、寝ている奴らが起きる様子はない。


これなら100%とはいわずとも、かなり安全に出口まで向かえそう。


「それじゃあ、起こさないように静かに移動しましょお」


エリカさんがうなずく。それに続いて僕もうなずく。


ゆっくりと、移動を行う。できるだけ、足音を立てないように。


コツ、コツ、と小さい足音だけが、いびきを遮ってが空間に響く。


出口が近づく。蝋燭の明かりで気づかなかったけど、外は夜と言っていいほど暗く、奥を見ようとしても全く見えない。


...そういえば、この場所を出たらどうするかなんて考えてなかった。でも、今は考える時ではないな。


今僕たちは足音を立てないように歩いている。こんな時に考え事をしたらそれこそ...


カシャーン、と音。発信源は、目の前。


見ると、エリカさんが蝋燭を蹴ってしまっていた。


いや、僕じゃないんかい。

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