深きものとの戦い③ スターダスト
またやってるよ...
「[思考加速]」
さて、どうするかね。
今、僕の残りMPは本当に少ししかない。避けれてあと7回といったところか。
そんな状況でどうやって勝てと?短期決戦のためにはMPを使わなければならず、防御にもMPを使わなければならないと。
なんで?なんで僕はこんな状況下にいる?可能な限り極限な状況っていうのが適切なのってなんで?
...いやいやいや。あの階段を、スロープを降りたのは僕だ。そしてこの状況になったのも、帰ろうとしたからなのだ。
そしてこの状況を打破しないと帰ることはできない。つまり、こいつを倒さないといけない。
どうやって倒す?おそらく<魔力撃>しか僕に攻撃方法はない。それ以外の方法では深きものに傷ひとつつけることすらできないだろう。
であれば。今僕ができる<魔力撃>は、接触できるほどにまで近づき、そこに高威力の爆発を叩き込むというもの。
ということは当たり前だけど深きものに近づかないといけないので。そうなると...
...おそらくは2撃ほど、攻撃をもろに喰らうことになる。
深きものの一撃はかなり重い。脇腹を掠った時のあの激痛が全身を包み込むことは、想像に難くないと同時に僕にその痛みを想起させてくる。
その痛みはおよそ全身火傷のそれではなく、もっと深いところを無くす喪失感そのものだろう。
誰だってそうだけど、痛いのは嫌だ。僕だってできればそんな攻撃に当たりたくない。
でも、当たらないように避けると、おそらく<魔力撃>の反動を利用した回避になってMPを使うことになり、結果攻撃の<魔力撃>ができなくなる。
つまり、回避をせずに攻撃をしないといけないわけだ。どうする?攻撃は喰らわないといけないけど、おそらく食らったら防御手段がない僕だと即死...
...いや、時間はたっぷりある。<思考加速>は元々早いと自負している精神の僕の思考を爆速にしている。思考していればいつか確実に答えにたどり着けるはずだ。
どうする...受けることが確定している以上なんらかの防御手段を講じる必要があるから...
防御...結界。<結界>。そうだ、確かこの世界には<結界>という防御手段がある。
そして幸運なことに僕は<国立学園>の単位で<結界魔法>の学習をする予定だ。
...なぜ予定なんだ。これ学んでおけばできたかも...
...あ。
待てよ。確かバーストは<結界>の使い手だったな。それで、バーストが扱う<結界>は間近で見てきた...
そうだ、そういえばバーストは<勇者>と戦っているときに何かしていたな。
体に纏った何かで自分の体を守っていた。それを再現すれば...
できるか?いやできなきゃダメだな。
となると、まず考えるべきは体に纏った何かだけども。
多分<魔力>だろうなあ。<結界>が<魔力>の塊であることは想像に難くないしね。
...問題はどうやって纏うかだな。
<魔力>の塊を作るのは簡単だ。<魔力撃>で形作っているのと同様に使えばいい。
となるとあとは体全体にか。でもどうすれば...
いや。そういえば。
僕は足から<魔力撃>を出すことでダッシュしてる。それを全身でやればいいのでは?
...試してみるか。
「[思考加速:解除]」
即座に<魔力>を体の中で動かす。手の上に塊を持ってきて、その塊を手に覆ってみる...
「...ダメだっ」
しかし爆発してしまう。おかげで皮膚がボロボロになったが、まあそれはいいとして。
ただ覆うだけではダメだな...あちこちから出してみるか。
もう一度<魔力>を動かし、今度はニュルニュルと出てくる感じで捻り出してみる。
<魔力>が出てくる...
「くっ...」
抑えるのがかなり難しい...いや違う。絞り出す量を調節すれば...
...
「...こう、か」
できた、いやできていない。
あまりにも不安定なそれは、1秒も経たずして消えてしまった。
だが。
「...1秒もあれば十分だ」




