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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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深きものとの戦い② 奴らの隙を突け

さて、読者の皆様におかれましては、ずっと考えていた疑問の1つが晴れるかもしれません。

 ザッパーン!



「来た!」



 水の中から飛び上がってくる深きもの。真っ直ぐ僕を狙って突撃してくる。



 反撃は、いやタイミングがもう遅すぎる。



 避けるしかない。



 横に転がるようにして回避を試みるが、やっぱり見てからでは遅いのだろう。



「かはっ!?」



 脇を思いっきり削っていく爪は、文字通り容赦のない攻撃だった。深きものの顔が見えるようになると、そいつは爪を振るって付着してた肉と皮と血を払い落とした。



 ...血がかなり出てる。このままだと失血死は免れない量だ。



 でも今僕ができることは傷口を抑えることだけだ。それ以外のことをやる余裕はない。



「......■■■!!」



 鳴き声とも取れる意味不明の音と共に、深きものはまた攻撃を仕掛けてくる。



 さっきもそうだったけど、距離が近すぎて回避が間に合わない。できることは致命傷を避けることだけ。



「う、ぐ!」

「......」



 右脚断面に思い切り爪を捩じ込まれた。どうやら今の僕の弱点を理解できる知能はあるらしい。



<変異>したとしても知能の衰えというものはない、ということだろう。あるいは知能が進化して弱点を的確に狙ってくるだけか。



 どちらにせよ厄介なことに変わり無いだろう。だからこその短期決戦。ずっと回避し続けるだけでは消耗するだけであり、どここかのタイミング、それも早いうちに攻撃に転じなければならない。



「......」



 ボチャン、という音と共にやつは再び潜航した。



「よし...」



 それを見て、僕は走り出す。可能な限り位置を動かし続けて、奇襲されても回避できるようにする。



 ジグザグに走る、時折小石を拾って他のところに投げたりする。これで撹乱になっているかどうかはわからないけど、少なくとも足掻いていることにはなるだろう。



「さて...本当にどうしようか」



 どのタイミングで攻撃に転じるかは重要だけど、その前に必要なのは攻撃手段。



 今の僕には<魔力撃>しかない。けどそれは燃費が悪い上に僕の体に負担がかかる。



 威力が高ければ高いほど反動は大きくなる。深きものを飛ばすのなら...



 ...右手を失うくらいの覚悟は必要かもしれない。



「わかってる。命に変えられる犠牲はない」



 でも恐怖は僕の体を縛り付ける。絶対に痛いし失血は早まる、ショゴスもいないのに無茶だと、僕の中にある本能か何かが伝えてくる。



「神話生物に頼っていたツケ、とでも言えばいいのかな」



 いや、そんなツケはもう何度も払っている。



 体力は強制奪取され、肉体は乗っ取られ、意識を失い、首を落とされた。



 最後のやつ以外はしっかり自覚症状のあるものばかり。その中でも体力、HPを奪われることは...



「痛いよ。ああ痛い。内臓を無理やり掻き出されているような痛みだった」



 想像するだけで痛みがまた襲うそれのように、確かに僕たちは代償を払ってきているのだ。



「だとしたら。今僕たちはそんなツケを払わなくても勝てるはずだ」



 深きものに。神話生物に。それくらいの反逆は、人間に許されていると思いたい。



 もし許されていなかったとしても、まあ僕が今まで召喚した神話生物に海由来のやつはいないし旧支配者はクトーニアンとシュド=メルくらいしかいない。



 多分大丈夫だろう。



「...もう一度、見てみるか」



 右手の<メヌー・リング>を顎で操作してまたステータスを見る。



 得られる情報は得ながら考えた方がいいだろう。



  ーーーーーーーーーーーー

[名前] マリア

[性別] 女性 [年齢] 6

[種族] ■■■■■■/■■■■■/■■■■■■■■■/■■■■

[職業] 召喚師サモナー(クトゥルフ神話)

[パーティ] <ギルドズパーティ>

[ギルド] <未来団>

[到達点] Lv81


 HP 100/200(-2300) MP 370/2000


 ーステータスーーーーーー


 筋力 91(-200)

 体力 91(-200)

 敏捷 62(-200)

 知性 300

 精神 8579

 魔力 1804


 ースキルーーーーー


 言語 Lv50

 召喚魔術 LV80 (1)

 応急処置 Lv65

 再生 Lv0 (ON/OFF不可能)(-70)

 耐性 Lv0 (MAX)(ON/OFF不可能)(-100)

 結界術 Lv10

 イゴーロナク Lv■■■■■■

 眷属クタニドLv1(MAX)

 眷属アイホートLv1(MAX)

 心身強化 Lv0(-70)

 例外者 Lv1(MAX)


(<魔王>の葉[2段階] Lv100 (MAX))


 ーーーーーーーーーーーー






 え、また...



「減ってる...?」



 いや、そんなはずはない。僕はMPを使う行動なんてしていないはずだ。



 なんだ?何が僕のMPを減らし



「■■■!」

「くっ!!」



 走っていた勢いのまま前に飛び込み、側面からの攻撃を回避する。



 そのまま手をつき跳び上がって体勢を直してまた走り始める。



「深きものは...潜伏したか」



 ...見間違いか?いや、流石に違うはず。



「うん。あれは僕も見ていた。MPは確かにさっき見た500から370に減少していた」



 も、もう一度見てみるか?



「そう...だね。ただスキルとかは今はどうでもいい。MPだけ注目してみよう」



 ーーーーーーーーーーーー


 MP 300/2000


 ーーーーーーーーーーーー



「やっぱり減少してる」



 なんでだ?この短時間で200も使ってる。



 おかしい。今の僕らにそんなに使用する使い道はない。あっても<魔力撃>で、それも最低値の10だ。



 なんでこんなに...



「待って。もう一度見てみて」



 え?



 ーーーーーーーーーーーー


 MP 260/2000


 ーーーーーーーーーーーー



 ...今も、消費している?



 もしかして、この<ダンジョン>の知らなかった<制限>



「それはない。もしそうなら僕はとっくのとうにMP切れを起こしてる」



 な、ならなんで...そんなにすごい速度で消耗することなんて、僕たち、は...



 ...



 ......



 ......あ...



「精神の僕?」



 あった。そうだ確かにこんな速さで僕らが使用しているよMPは。



「なんだ、ってまたか!!」



 ーーーーーーーーーーーー


 MP 240/2000


 ーーーーーーーーーーーー



 跳び上がって回避、着地してそのまままた走り始める。



 ...僕の予想が正しければ。



 ーーーーーーーーーーーー


 MP 220/2000


 ーーーーーーーーーーーー



 やっぱり!



「何がわかったんだ!?」



 いやはや、無意識か。確かにそれならわかるはずもない...精神である僕だからこそ気づけたことだろうな。



「な、何がだ?」



 よくよく考えてみてくれ、肉体の僕。どうやって片足で、しかも松葉杖や支えとなるものすらない状況で走るんだよ。



「どうやってって...あ」



 下を見れば、僕の足、それは確かに走っている。



 そう。地面に足をつけ、足から<魔力撃>を発動、その衝撃で前へ跳び、もう一度地面に足をつけ...



 その繰り返しだ。僕らはこの片足の状況で移動するにあたって、<魔力撃>を使用していたんだ。それも無意識に。



「そりゃ気づかないわけだ...肉体を操っているのは僕であって、精神の僕じゃない。そしてその僕が無意識でやっていたのなら精神しか気付けないしその気づく可能性も限りなく低い」



 僕も無意識で、やって当たり前の行動として認識していたんだろう。



 どこまで行っても僕は僕。分裂しているように見えて1つでしかないのだから。



 そしてということは、僕らには見えなかったタイムアップがすでに目前に迫っていることが誰だって理解できるようになる。



 この残りMPが切れれば...



「僕は、回避することすらままならなくなる」



 ーーーーーーーーーーーー


 MP 150/2000


 ーーーーーーーーーーーー

ここで明かされる衝撃の真実ぅ!!


っていうか片足でどうやって移動しているんですか、っていうことの答えですかね。

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