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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
224/402

前座

どういう事か、ですか?それは...

 ーーーーーーーーーーーー


 >キング・ゴブリン<


 40000/40000


 ーーーーーーーーーーーー



 目の前に現れたHP表示を見て、そういえば、と思い出す。



<ダンジョンボス>には固有名詞があって、名前を囲む括弧が<>ではなく><になる。そういう法則を。



 それを思い出して理解する。<キング・ゴブリン>は、別の存在だった。



 身代わり、いや影武者と言った方が自然か。



「全く...そこまで騒ぐことでもないだろう。ここまでくることは当たり前、ここまで来れない人間は弱すぎる」



 流暢な声で話す主は、観客席にある階段から降りていた。



 緑色の肌、醜い顔、小さい姿形。ボロボロの布切れに纏っている穴あき薄汚れマントなど。



 ここまでなら周りにいる...いやなんかあいつらもおかしくなってるな。



 ピンと背を伸ばして立っているその姿は、まさに仕えているそれの前であるということを伝えてくる。



 で、だ。先ほどまでの情報なら特筆すべきではない、ただの<ゴブリン>と言える。



 だが、それだけではない。



「我々は<ダンジョン>を任されている存在だ。人間を迎え撃つことこそ、我々が生きている理由だと覚えておけ」

「「「「「ギャッ」」」」」



 統率の取れた<ゴブリン>に囲まれたやつの特徴を挙げるとして、まず間違いなく上がるのは木の枝で作られた冠だろう。



 あの黄金に包まれた<キング・ゴブリン>と違って、とても質素ではあるがそれが<ゴブリン>らしさを引き立たせている。



「よっ」



 声と共に観客席からステージへと降りてきた>キング・ゴブリン<は



「ふむ...」



 とこちらを見てくる。どうやら観察しているらしい。



「...待ち侘びたぞ。ここまで強いものたちが来るまでに5年はかかったからな」



 ...チャキ



 無言で構える僕たち。HPが見えた時点で、こいつを倒さないといけないのはわかっている。



「だが消耗が激しいな。本当ならもっと万全なものたちと戦いたかったが...」



 消耗どころの騒ぎではない。



 4人という少人数にまで減ってしまった今の僕たちは、ただでさえHPやらMPやらスタミナやらが減っている状況なのにもかかわらず、しかも前提として僕たちは病という魔の手に心臓を鷲掴みにされている状況。



 本気どころか、多分出ている出力は30%と言ったところか。



「まあいい。我々は我々の勤めを果たすとしよう」



 右手を横に突き出し、マントに隠れた全容が...






「...え?」



 右手につけている、黒い腕輪。それは紛れもなく。



「<メヌー・リング>...?」



 そのまま右手を顔の前に持っていき、おそらく目の前に現れている液晶パネルもどきを操作している。



 その瞬間、光が目の前を埋め尽くす。



 この場で幾度目かの強い光に目を瞑ってしまう。



「くっ...」



 でも流石に慣れていたのか、すぐに目の前を見れるようになる...



「...でっか」



 サイズ感が半端ない、ただの木でできた棍棒。というか丸太そのものと言っていいかもしれない。



 別に形が丸太なわけではないが、でもそう言っていいほどの大きさだ。



 長さは持ち手の10倍はあり、幅は最も太いところで5倍と言ったところ。



 それを片手で肩に乗せ持っているその姿は、まさに王と言ってふさわしいだろう。



「振れるのか、と思っているか。それともなぜ<メヌー・リング>を持っているのか、と思っているのか」



 正直どっちもなのだが、おそらくそう考えていることを予想していたのだろう。



 だがもっと思うことは。



「いや、正直勝つ方法を模索している」

「そうか。勝てないと思うがな」

「そんなことはないと思うけどね」

「はい。クリアは可能...なはずです」

「言っておくが...」



 棍棒の先をこちらに向ける。その大きさによって、僕らの目の前まで棍棒は振り下ろされ、その風圧が僕らを襲う。



 ...軽くだけで、髪がなびいていくほどか。



「俺は、強いぞ」

<>と><の差って事ですね

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