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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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違う、そうじゃない

「ば、ばとろわ?」

「バトロワ、いやバトルロイヤルというのはたくさんの人間が同じ場所で一斉に戦って、最後の一人になるまで勝ち残れば勝利のゲームルールのことだね」



 久しぶりに聞いたな、その言葉。前世にあったゲームにしかその名称を聞くことはなかったのだが、まさかこの世界でも聞くことになるとは。



「...冷静に言っているが、それはつまり...」

「うん、多分僕たちを仲間同士で戦わせようとしてる」



 僕たちがこの場所に来て少し経ったが、いまだに他のやつがこの場に来ることはない。



 ...いまリングにいるのは僕たちだけ。つまり出場者も



「いや、ちょっと違うみたいです」

「え?」



 どういうこと?と思っていると、スピーカーのキーンという音がなる。うるさい。



「ああ、しかし残念です...今回はイベントの最後ということで、いつものトーナメント形式をする時間がありません」

「「「アアア......」」」



 残念そうな声が空間を染め上げる。どうやら相当期待されているみたいだ、が。



 何、え、バトロワでトーナメント?小分けにしてるってこと?



 わけがわからない。トーナメントは普通バトロワには使用しないと思うのだが。



「ですが!!今回はなんと!!バトロワのチャンピオンが!!ここにいる...」



 スピーカーの音が切れ、同時に光がなくなる。



 と、今度は僕たちにスポットライトが当たる。



「まぶしっ」

「チャレンジャーと!!戦ってくれるとのことです!!」

「「「ウオオオオ!!!」」」



 大歓声。それは暗闇でも僕たちの耳に届いてくるほどのもの。



 いや、それ以外にも。



「アノチャンピオンガタタカッテクレルナンテ!」

「ヒサシブリニミルナ!チャンピオンノタタカイ!」

「オレ、ハジメテミル!メッチャタノシミ!」



 どうやらあまり人前、いや<ゴブリン>前には出てこないらしい。一体どんなやつなのか...



 ...ドシン



「ん、なんだ、この足音」

「...奥からですね」



 暗闇の中、どんどん近づいてくる足音。大きくなっていくそれに<ゴブリン>達も気付いたのか、一斉に静かになる。



 カラカラカラカラ



 金属の鎖が巻き上げられている音。おそらく音の方向に落とし格子でもあったのだろう。



 ...おそらく、来たのだ。



「さて、皆様長らくお待たせしました!まずはチャレンジャーの紹介です!」



 全員の視線が一気に僕たちに集まる。こうして見ると、ここには<ゴブリン>があまりにも多すぎることがいやでもわかる。



 百や千なんてもんじゃない、そんなことが一目でわかてしまうほど、この場にいる観客は多かった。



「地下10階からはるばるやってきた反逆者!奴隷のような扱いを受けても、病に仲間が倒れ自らも病気になったとしても、仲間がどれだけやられたとしても立ち上がってきた!このイベントのサブ主人公的立場!!」

「...私たちのこと、見てたのか」

「人間です!!!」

「「「ウオオオオオ!!!」」」



 大歓声に耳を塞ぐ、がその歓声はすぐにやむ。



 ...チャレンジャーを紹介したなら、次は。



「そして!!彼はついに相対しました!いままで何度も反逆者を殺してきた<ゴブリン>の中の<ゴブリン>!」



 軽く光が当てられれば、その姿が現れる。



 まず目を引くのは、その巨体。4mはあろうその体には、黄金の金属鎧を身につけている。



「となるはずのやつ!しかしここまできたのはチャレンジャーが初めて!すなわちこれが彼の初仕事!」



 右手にはその巨体の3倍はあるであろうデカすぎる棍棒。これも黄金だから、おそらく相当強い武器だ。当たった時の威力は考えたくもない。



「この時のことを夢にまで見ましたと、この一瞬のために鍛え上げてきたと!彼は、そう答えました!」



 左手には自分の体の半分を覆える盾。あんなのに隠れられていたら、正面からはまず攻撃が届かないだろう。そして黄金なのは...



「バトロワは趣味と答えましたが!このバトロワリングで決着をつけたいと言ったのは彼だ!だからわたしも答えます!彼の思いに!」



 暗かったライトが一斉に点き、ついにその全貌が見える。




 ...金の鎧を身に纏った、巨大な<ゴブリン>がそこにはいた。



 しかも、それは僕が見たことのあるやつで。



「<キング・ゴブリン>です!」

「......」

「「「「「ギャアアアアアアアア!!!!!」」」」」



 静かなそいつは、確かに僕たちのことを見ていた。



 数を数えているのか、目線が動いている。



「...ジュウカ。スクナクナッタナ」



 声も謁見した時と同じ声。つまりは本当にあの<ゴブリン>なのだ。



「かなり凶悪なトラップが敷かれていたからね。それもたった2つだけだ」

「アノテイド、ヨウイ、デキナイ。アヤマル」

「...舐められたものだな、私たちも」



 あの程度しか用意できなかった。ことを詫びているこいつには心底腹が立つ。



<操り人形>と音速エレベーター。あれだけで、こちらはほぼ半壊だ。そう、あれだけで。



「それでは行きましょう!!チャレンジャー人間!vsチャンピオン<キング・ゴブリン>!!レディ...ファイ!!」

多分間違って伝わっちゃったんですね

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