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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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待機室

「せーのっ!」



 床から思いっきり引き上げられる。リーシャの手が掴んでいた僕の足は、軽い僕の体と共に地面の上へと戻ってきた。



 しかし地面の上は今まで見た空間と違い、土でできていなかった。



 いや、おそらく原材料は土なのだろう。だけど見たことがないほど綺麗なレンガで埋め尽くされているこの部屋は、文字通り飾られていると言ってふさわしかった。



「大丈夫ですか?」

「う、うん...」



 見渡せば、そこにいる人数は7人。うち女性は僕とリーシャとアンジェリアさんだけで、他は全員男。



 ...どうやらネリアさんはエレベーターに振り下ろされたみたいだ。



「もうこんなにいなくなったんだね」

「ん...ああ、あの勢いのまま天井に激突したと考えるのなら、そうだろうな...」



 エレベーターと床の隙間を見れば、そこには赤いシミができていた。まるでレンガとレンガの間のモルタルのように、隙間を埋めて下を見せないように。



 まあ僕はさっきまで下を見ていたんだけどね。もうひどい状況だよ、壁一面が真っ赤に染まってた。



「それで...ここはどこ?」

「さあ。ただしどこかの部屋であろうことは確かだな」



 と言ってアンジェリアさんは後ろを指さしてくる。そこには木でできたドアがある。



 ...あれ、見たことあるな。幻覚の中の通路の奥にあった部屋の扉と同じやつだ。



「...行かなきゃいけませんな」

「そうだな。俺たちはあいつらの死の分まで、進んで、この<ダンジョン>から抜け出さなくちゃならない」



 確かにそうだけども。でもそれって死亡フラグなのでh



「そろそろ休憩も終わりだ...いくぞ」

「「「「「「...おう!!」」」」」」



 とりあえずその場のノリに合わせて掛け声は言ったけど。個人的にはもっと休憩していたいのは事実。



 そしてそれと同時にもうイカなっければならないのも事実だ。



「っ...」

「おい嬢ちゃん、大丈夫か?」

「大丈夫、ちょっと熱っぽいだけ」

「そういえば、私も頭が軽く痛いですね」

「もうそんなところまで病が進行しているという証拠、ということか」



 すでに僕たちは病人だ。だからこそ、人数が少ないとはいえここまで進んできた。



 戦力が足りないところを、無理やり。味方が死んでも構うことなく。<操り人形>の時やエレベーターの時に周りを助けたのが僕を助けたリーシャ以外いないのが何よりの証拠だ。



 キイィィィィ



 古くなっているのだろう、その扉を開ければ、軋んだ音が部屋中に、そしてその奥の空間中に響いているのがわかる。



「って、まぶしっ」

「う、うるせー!」



 思わず目を瞑ってしまうほど眩しい、その空間。あまりの騒音に耳を塞いでしまう、この空間。






 だけど目を開いて耳を開けて五感を解放すれば、そんなことはないということがわかる。



 本来はこれくらいの声量が普通なのだと。僕たちが弱っているか、あるいは今まで隠れながら半日<ダンジョン>攻略をしていたからか。



 おそらくはどっちもなのだろう予想を建てられるほど、目の前のそれは煌びやかなものだった。



「さあさあ皆様お待たせしました!これより本日のメインイベントの開幕です!」



 大きな声、しかしそれは人間の声ではないと直感的に感じる醜い声だった。



 だが流暢だ。おそらく相当に練習したものだと思われるが...



「この<ゴブリン王国>建国1周年を記念した国生祭は、ついに大詰め。最後に華を飾るのは、この王国が建国された当初からある<リーダー・ゴブリン>決めの制度から着想を得た、最近大人気のゲーム!」



 いや、声なんかどうでもいい。問題なのはこの場所だ。



 一言で言えば、コロシアム。円形のフィールドを囲うように高い壁があり、その上には大量の<ゴブリン>。しかも耳をすませば...



「キョウハダレニカケタ?」

「オレ、チャンピオン!」

「ダヨナ!」

「「ギャギャギャ!!」」



 声。それも人語。しかも、下の階層でみた<ゴブリン>よりも流暢。



 またその服装も豪華であり、黄金などが使われているわけではないものの、人間が作ったとわかるほどの服飾が施されている洋服を着ていた。



 いわば、貴族と奴隷。下の<ゴブリン>の姿とは雲泥の差がある、同じ姿をした生き物、それがここの<ゴブリン>だった。



 4階か3階でみたあの煌びやかな、みたことのあるそれは。そう、都市と言える何かだったのだ。



「バ・ト・ロ・ワ!!」

「「「ギギャーー!!」」」

次回、ご対面

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