ひとりぼっちのかくれんぼ
最近○Wにハマってます
「つまり、乗っ取らなければいけない理由ができた。違います？」
「！？！？」
おいおい、これくらいで驚いているようじゃ僕を乗っ取ることはできないぞ？
「そーだそーだ」
「な、なんでなの...首はないはずなのに、なんで、首がしゃべってるの！？」
語彙力も低下してるな。相当に混乱しているらしい。
仕方ない。ようやく復活した肉体の僕、説明を。
「りょーかい、と言ってもカラクリは単純さ」
「な、何？」
「僕ってね、首が無くても生きていられるんだよね」
「ええ、え？」
そのまんまだよ。僕は神が１柱であるイゴーロナクに汚染されている。
だから肉体は、見た目は普通でも中身がイゴーロナクになっている、ってこと。
「さすがは神話生物。普通なら首を切られたら死ぬはずなのに死ななくなるどころか、そもそも首がない状態が通常だからね。化身で首を作った時とか、違和感しかないんだろうなあ」
「...」
口を開けたままだと乾燥するぞ。
「っ、い、いや、ふふふ。まさかそんな化け物だったなんて。私の目を持ってしてもわからなかったわ」
「あらそう」
「でもね、あなたが例えどれだけ化け物だったとしても、この世界からは抜け出せない。この私が作った幻覚の世界からはね」
「はえーそうなのか」
「さっさと降参しなさい、じゃないと死よりも酷い拷問があなたを...」
あ、そっか。ここ僕の精神世界か。
「え？」
「な、何を言って...」
いやだって、抜け出せないんでしょ？当たり前じゃん、僕の精神世界だし。
それに、肉体の主導権を奪おうとしてくるのだから、邪魔なのは精神、いや思考をしている人格な訳で。そのまま幻覚を見せたままお持ち帰りすればよかったところを何故か乗っ取ろうとしているって感じじゃない？
「あー、そうか。なんで肉体側の僕がいるのかな、魂ごと呼び出したからたまたまついてきただけっていう理由じゃなんか薄いな、って思ったけど、僕もまとめて排除するためか。確かに肉体を操るなら僕も邪魔だわな」
ただそうなると、後に残る疑問としてはなんで乗っ取りを仕掛けに来たのかなってことだけどね。
「乗っ取るより捕まえる方が簡単なのだから、なんでって話だよね。まあ単純に考えるなら乗っ取らざるを得ない理由ができたとか...」
「っ！！」
首を真っ二つにされる。多分だけど、いまだに発声器官が首だと思っているのだろうか？
「残念だけど、僕にも発声器官わからないんだよね」
「な！？」
さて、考察もそろそろ終わりにしますかね。
あと考えるのは乗っ取らざるを得ない理由だけども...
一番可能性が高いのは肉体がなくなったとかかな。もしも幻覚のことがバレたりしたら、ミアはまず間違いなくアンジェリアさんに殺されるだろうし。
あれからかなり時間が経っている。ただの探索といえど時間がかかれば様子を見にくるだろう。
ならば、バレて殺される可能性も必然的に高くなるというわけで。
「そんなわけ、あるか！」
首を切っても意味ないことを悟った、というか僕の心読んでそれでわかったのだろう。肉体を滅多刺しにしてくる。
幻覚だからなんでもありなのだろう。空中から剣が飛んでくる。磔になっている僕の元に。
...で、だ。こんな状況になっている僕をここまでムキになって殺しにくるのだから、おそらくそれが正しいと。
死なないのにね。
「はあ、はあ...な、なんで...」
「当たり前でしょ？ここは僕の、というか精神の僕の世界なんだから、僕が死なないのは当然だし肉体の僕だって喋れるってわけだ」
「だとしても...痛みで、悲鳴くらいは...」
「いやいや、これくらいの痛みじゃ泣きすらしないよ。全身火傷とかした事ある？」
...あ、そういえばここ僕の世界なんだから、僕の想像したことも...？
例えば十字架が崩れるとか。
ガラガラガラ
「...」
「...」
...
...ニヤリ
次回、幻覚も終わりです。
