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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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YES、つまりはしないべきだった

たまにある投稿ボタンを押さないことをそろそろなんとかしたいところ。

「禍々しい本、か」



 その本があるという事実を知っただけではあるけど、なかなか興味深い事柄だ。



 ...なぜ禍々しいのか、その理由に心当たりがあるからね。



「机には他に何もなさそうね」

「なら本棚を見ていきましょうか」



 もう一度周りを確認すれば、やはり壁一面に敷き詰められた本、本、本。



 ドアが付いている壁には取り付けられていないものの、それ以外の3面には敷き詰められているので、やはり相当な量。全てを確認するのは骨が折れる作業だろう。



「どこから確認していく?」



 ミアさんがそう聞いてくる。罠のことを考えて全員で同じところを調べることになるのだから、順番はあまり関係ないような気がするけどね。



「まあ順当に右側、入り口から見て左の本棚から見てみましょうか」

「おっけー」



 さて、そして向き合うことになる本棚なのだが、こういう大量の本の中を捜索するときに大事なテクニックがある。



 まず背表紙を確認し、表紙と裏表紙を確認。その後前数ページと後ろ数ページを読む。これらから得た情報がいらないものだと判断できたのなら、元あった場所にしまっておく。確認したということをわかりやすくするために逆さにしておくのもいい。



 例えば今読んだ<マーダーラビッツとファングタートル>なんかは確実に読む意味がないだろう。ほぼうさぎとかめだし。



 例えば今読んでいる謎の黒い本は何か意味ありげだろう。ちょっと読んでも意味がわからないが。



「2人とも、ちょっといい?」

「なんだ?」



 集まってくるリョオさんとミアさん。



 とりあえず黒い本を見せる。



「これ、何かわかる?」

「んー?...字が書かれているのはわかるけど、さっぱり」

「というか、見たことない字だな」



 うーむわからないか。



「見たことない、まあ確かに記憶の中に類似した字は......」

「...マリア、どうした?少しぼーっと...」






 あるやん、類似した字。完全には覚えてないけど、これ英語だ。よかったあ、神話生物の英語表記覚えてて。



「これ、僕の転生前の世界の言語だ」

「な、でもさっきはわからないから見せたんだろ?」

「うん、今も内容はわからない。けど...」



 ...もしも、さっきの禍々しさを感じる本の、禍々しさの理由が当たっていた場合。そこにクトゥルフ神話に関することが書かれていた場合。



 もしも...もしも、この書斎の製作者及び使用者とインスマス顔の奴らに関わりがあるなら。



「...写本」

「え?」

「クトゥルフ神話は、禁忌の知識だ。その知にすら呪いがかかるレベルで。だからあえて原本よりも砕いた形で、理解できるようにした魔術書の写本がいくつか生まれている。呪いがかからないように、自分の知識を書くために」



 実際、出回っている写本よりも原本の方が狂気に陥りやすいわけで。これもまた写本の可能性は大いにありうる。



 もう一度前と後ろを読んでみれば、確かにこれは手書きなのだ。あの分厚い教科書やさっきの童話は印刷されているような字なのでしっかりと印刷技術があるにも関わらずだ。



「手書きなのも、もしその印刷ができないような本なのであれば説明がつくし、ただの印刷ならおそらくその狂気は感染る」

「あ...」

「ミア?」

「これ、最後に行くにつれて字が上手くなっているような気がする。もちろん最初から上手なのだけど...」

「なるほど、さっきの日記もどきと似ている部分があるってことか」

「繋がってきたね」



 ここまで考察したのであれば、もう土台はできた。読むことも早く終わらせられるだろう。



 クトゥルフ神話がここに書かれているということを仮定したのなら、これらは英語で書かれているが故にそれが書かれているかの性が高い。



 そう、僕の記憶している神話生物の英語表記が。もちろんそれ以外の神話に関わる英語もあるかもだけど。



 ...本当はしっかりと英語を読めた方がよかったのだろうけど、残念なことに今の僕はクトゥルフ神話に関わることしか英語を覚えていない。なぜか偏った知識しかないから、その知識を活かして進むしかない。



 開いて読んでいく。目次はないためどんどんめくっていく。



 絵はないため<魔法陣>のようなものは大体削除されていると言っていいと思うけど、多分重要なものとかは...



「...あ」



 あった。確か<ネクロノミコン>がその<魔法陣>の隣のページにそれについての内容を書いていくタイプだったから、もしかするとこの写本の原本も...







「......」

「お、おい大丈夫か?」

「...ははは」



 乾いた笑いを浮かべてしまう。そりゃそうだ、書かれていたのだから。



「<深きものの召喚>、やっぱりあったよ」

もう1話、行ってみよう

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