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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
204/402

結構辛いけどあと3つ

<伝説の20人>。そんなにも強い人間がなぜかこんな地下深いところにいる。



「ふん!」



 目の前で、<ゴブリン>を屠っていた。



「さすがに広いだけはあるな。<ゴブリン>の数が下の階層とまるで違うぞ」

「でも戦力増強のおかげで最短コースを外れてはいない」

「やはり戦闘は数ですね」



 なかなかどうして奇遇なものか、どうやらこの目の前の女性は僕の母親とその友人と共に冒険していたらしい。そんな強い人がどうして...と言いたいところではあるものの。



 そんなこと言ったら神話生物という究極のチート生命体を複数抱えた状態で今に至る自分に説明がつかなくなるのであえて問わない。この世界ではあり得る、そう考えるのが無難だろう。



「それにしてもアンジェリアさんがかの有名な<伝説の20人>であることを、男性の皆様はなぜ知っていたんですか?」



 そしてリーシャが、戦闘が一段落ついたところでそう言った。



 確かに、女性牢のほとんどが知らなかったことをなんで知っているのか、というのは気になるな。



 まさか裏の情報筋が...そんなふざけたものじゃないか。



「あー...そうか、そっちはもう全滅か」

「ああ」

「え、どういうこと?なんの話?」



 さっぱり訳がわからな



 ヒュン!



 いがそんなことよりもまず<ゴブリン>との戦闘が先らしい。



 相変わらず正確な矢だな。こんな広いところだけでなく、狭い通路なんかでも使ってくるから厄介。



 ただまあ正確ということは狙われているのが分かったら防いだり避けたりするのはまあ簡単。筋力がないから速度が



 ヒュヒュヒュン!



 ないはずなんだけどなあ。なんか今までよりも早いというか、数が多いというか。



 ...ピッ!



 でも射出音は1回と。これは通常の<ゴブリン>ではなく<アーチャー・ゴブリン>が出てきた感じですね。



 ヒュヒュヒュヒュヒュン!



「っと、ちょっと掠ったかな」

「...さすがにこの矢には毒が仕込まれてないか」

「え?」

「え?」



 ============================================



「まあ簡単な話だな。アンジェリアさんはカウラの街に縁が深い、てか<伝説の20人>解散後はカウラに住んでたんだよ」

「そうだったんだ」

「ま、まあな」



 なかなか遠い階段までの道のり。



 最終的に>キング・ゴブリン<を倒すための戦力の温存のため、アンジェリアさんは皆に囲まれるような形で歩いていた。



<ゴブリン>の数が多いときは戦闘に参加するものの、それ以外の時は僕やネリアさんみたいに避けに徹する形だ。



 だからちょっと暇になる。筋肉ムキムキの、しかも使い慣れている武器であるつるはしを持った男がたくさんいるのだ。戦力としては過剰だし、少なくともこの階層は突破可能だという考えのもとこういう作戦で動いているのでしょうがないと言えばしょうがないのだが。



 戦力外通告って、悲しいね。僕、リーシャを守るためにいるのだけど、むしろ守られる立場になってないかな?



「でも物珍しいことではないだろ?実際メアリーはコーリ村で隠居生活を送っていたのだし、私がカウラで細々と暮らしていても」

「いや全然細々じゃねえぞ?<生存不可地域>から毎日やってきていた魔獣の8割はあんたがなんとかしてるの、街じゃ常識だったんだからな?」



 ...あまり凄さが伝わらない。いや凄いのはわかるのだけど、あの、<生存不可地域>がいかにやばいのかということをあまり知らないが故に伝わらないのだ。



 いや待てよ?あの数の<ゴブリン>で攻め落ちていたことを考えるに、例えばあの数の半分がいつも攻めてきていたのだとしたら、そのほとんどを毎日倒しているわけで...



 あー、やばいわこの人。



「これで全盛期はもっと強かったというのだから、本当に異常」

「そ、それなら<天と地の狭間>はもっと異常だということだな」



 焦ったようにそういうアンジェリアさんだがもう遅い。さすがに強すぎることは十二分に伝わった。



 そりゃあ校長もあんなバケモンなわけですわ。



「...知ってるよ、私」

「え、な、何をだ?」

「<天と地の狭間>、本当はクリアしてること」



 ...ん?


「な、そ、そんなわけ、ないだろう?」

「寝言で言ってた」

「でも、教科書にはまだクリアされていないって」



 流石の僕でも覚えている。過去最高難易度の<ダンジョン>である<天と地の狭間>は、<伝説の20人>でもクリアできなかった<ダンジョン>だと。



「......表向きには、な。だが...」

「認めやがった!?」

「いや実際クリアはされてないんだ!これは本当だし、もしクリアされていたらマウは存在価値がなくなる!」



 えっと、確かマウは...



「確かに、マウは<天と地の狭間>に誰も入らないように作られた国」



 うん。確かそう。



「そしたら、なんで表向きにはクリアされていなくて、裏ではクリアされていることになってるんですか?」

「だからクリアはされていないって言っているだろう...」



 ふと周りを見ると、いつの間にか全員の耳がこちらの声を聞こうとしていた。



 流石に気になるのだろう。最高難易度の<ダンジョン>が本当はクリアと言って差し支えないほどまでに攻略されていることが。



「...また、<ゴブリン>だな。まずはこいつらを片付けてから話す、が...」

「が?」

「...一つ言えるのは、()()さえなければ間違いなくクリアしていた、ということだ」

<伝説の20人>と最高難易度、どっちも掘り進めるスタイルでいきましょ

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