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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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超幸運な7という数字

これからは3日ごとになります。



次は5日ですね。

「よ、ようやく8階についた...」



 20mというのは本当に長く、2分ほどかけて登ってきた。



 音を出さないように動かなきゃいけないことで予想以上に時間をかけたのだ。



「...<ゴブリン>は今はいないみたいだな。下はどうだ?」

「こっちにもいない。まだ<乱方>の効果時間内だから、あと1日くらいは上に上がって来れないはずだけど」

「なら一旦下の連中は無視するぞ。今は8階のことを考えるぞ」



 周囲をよく確認して8階を進み始める。



 8階。先ほどの階とは違いある程度掃除が行き届いており、もうゴミだらけということは無くなっている。



 まあそりゃそうだよね。



「うん。ものすごく見たことあるなと思ったら、ここ仕事場だね」

「そうなんですか?」

「リーシャたちは知らないかもだけど、私たちはここで仕事してるんだよ」



 よく使っているのだ、自然に片付けを行うようになるというのもわかる。



 基本的に階段のところまでくると目隠しをつけられてわからないようになるんだけど、そうではないのならむしろ移動は安定して行える。



 巡回経路とかがある程度わかっているからね。ないよりはマシという程度だけど、<ゴブリン>に会わないようにするだけなのならできる。



 そしてもちろん上への階段の位置も記憶...はしていない。上に行くことなかったからね。



「ここ、巡回経路がかなり被ってるはずだから注意...と、きたね」



<ゴブリン>が1体やってくる。十字路から見ていて体が半分以上隠れているからか、幸いまだ気付いていないみたいだ。



「他にいるか?」

「いない...今のうちかな」

「了解した」



 最大限警戒した上で、十字路正面方向に石ころを投げる。



 スコン。



「ギャ?」



 音が響く。その音に釣られ<ゴブリン>は来る。



 ゆっくりと、しかし確実に。



「ギャギャ...ギ!」



 そして音の方を見た瞬間、アンジェリアが動いた。



 すぐに<ゴブリン>に飛びかかって首を捻る。



 急な動きに対応できなかったのだろう、<ゴブリン>はそのまま捩じ切られた首が吹っ飛んで絶命した。



「こいつは短剣を持っていたみたいだな」

「私が持つ」

「了解した。進むぞ」



 歩みは止まらず、前へと進む。



 もう止まらない、止められない、行き着くところまで行かなくちゃならない状況。



 だが障害物はとことん排除されて、ついには第一の目的地。



「着いた。ここが武器庫」



 扉が閉まっている。鍵もついていて普通なら開けられそうもない。



 まあ、普通ならね。



「<開錠(オープ)>」



 魔法はやはり強い。攻撃にも防御にも、果てにはこんなことまでできちゃう。



 ミアさんの手によって音もなくロックは外れ、ゆっくりと扉が開いていく。



 ...中には大量の武器があった。



「ギ!」

「ギギャ!?」

「ギャギギャ?」



 あと3体の<ゴブリン>も。



「扉閉めろ、交戦するぞ!」



 アンジェリアの声に従い、すぐに中に入って鍵をかける。



「ギギャ、ギギ!」



 突っ込んでくる<ゴブリン>。しかしこちらには武器持ちが2人、戦闘はほとんど全員できる。



 というか戦闘はそりゃみんなできるはずなんだよね。この世界で戦闘ができないのに生きていられるわけがない。



 今ここには9人の人間。対してあちらは3匹の<ゴブリン>。



 相手も武装しているとはいえ、流石に余裕だった。吹っ飛び、ちぎれ、粉々になったそれらは...



 ...なぜだ?何か、違和感のようなものがある。



「戦闘は終わったな。各自防具を着て武器を持ってくれ」

「リーダー、ろくな武器がありません」

「<ゴブリン>が持っている物だし、何よりここは下層だ。まともなものはないだろうが、ないよりはマシだ」



 一応ハードレザー系の革鎧を着ながらそう考える。



 いや、こういう状況はよくあるんだけど、なんというか何か違うというか。






「あ、そういえばなんで鍵が閉まった部屋に<ゴブリン>がいたんだろう」



 それだ。



 ガンガンガン!



 ドアが叩かれる。軋んでいるようにも聞こえるその奥には、ドタドタという何かの足音が聞こえてくる。



「数が、多いな」

「ドアの奥に埋まるほどいるかも」



 まるでギャグ漫画のように曲がってしまうほど叩かれているドア。それだけ叩かれればどこかのタイミングで壊れてしまうだろう。



 ...さて、どうする?



 この状況を乗り越えるためには、どうすればいいだろう。まあまあ積んでいる状況だぞこれ。



 だって、密室よ?下と上は厚さ20mの土だし、そもそも穴を開けるのにどれだけの時間がかかるかわかったもんじゃないし。



 入り口はドアだけ。でもその前には<ゴブリン>がたくさん。



 え、どうするのこれ。何にも思いつかないんだけど。



 魔法でも無理よこれ。



「...よし。全員私の合図でしゃがめ」



 アンジェリアさんがそう言ってくる。



 なんだろう、嫌な予感がしてきた。



 ...む、何か小声で喋ってる。



「...<延伸>...[身体強化]...<肉体増強>...」



 って、どんどんオーラみたいなのを纏ってるんだけど。



 なんかギラギラで眩しいぞ。大丈夫なのか?



「...<限定強化>。よし、今だ!」



 言われる前にもうみんなしゃがんでた、だって明らかにやばいんだもん。身の危険を感じるレベルだったので、縮こまるかのようにしゃがんでいた。



 それからすぐだった。



 ドゴオオオオン!!



 轟音が聞こえてきたのは。

パワーーー!

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