タコは8本の足を持つけど、だからどうした
ついに終わりを迎えた毎日投稿。
おかげでネタもつきました。
「<魔刃>!」
手を勢いよく振り下ろすアンジェリアさん。
そして、そこから出てくる<魔力>の刃。それは<ゴブリン>の方へ飛んでいき、しっかりと肉体を捉えた。
「グギャ!?」
しかし致命とはならず、<ゴブリン>はこちらの方へと駆けてくる。
なるほどね、魔法なら使えるのか。
過去の経験から使えないものだと思ってたけど、確かに魔法やスキルを封じられているわけじゃないもんね。
うーむ、先入観というのはやはり捨てるべきだなあ。
「[身体強化]!はあああ!」
そして予想通りスキルも使えると。[身体強化]は久しぶりに見た、確かエリカ先輩も使っていたか。
[身体強化]の乗ったリーシャの一撃は、インスマス顔のうち1体を文字通り粉砕した。
脳天直撃の踵おとしの威力がえげつない。もうそこに何がいたかわからないもんね。
「だけどこの状況だと全く足りないぞ!」
しかし範囲殲滅力がない。
今のような高い火力よりも範囲が欲しい時は、やはりというか武器が強い。
洞窟内だとでかい武器は使えないけど、ただの剣であっても2、3体は巻き込める。
その2、3体というのが非常に大きい。殲滅効率が段違いだからね。
でも今この場にはな
「ギギャギャ!?」
「よし、槍を奪った!<円撃>!」
前言撤回、あった。奪うということが僕にはできない、というか武器持っても何もできないし。
できることといえば...む、インスマス顔が1体こっちにきた。
右手に<魔力>を溜める。うーん、久々だなこの感覚。
...とりあえず溜まった、けどまだ射程範囲外か。
だけど自分から向かうのはまずい。その行動の間に他の奴が来たら対応できないからだ。
「■■■■■」
来る。あとはタイミングを見て...
...今。
「<魔力撃>」
ドン!
右手の先で<魔力>が破裂、その近くにいたインスマス顔は吹き飛ばされていった。
無論脇腹も無くなっている。あれで生き残っていたら正真正銘のバケモノやね。
「マリアも攻撃系の魔法が使えたんですね」
「いや、あれは魔法じゃないよ。しかも扱いに困る技だし」
皮がボロボロになっている右手を隠す。
幸いなことにこの程度なら10分ほどで治るはず。
「そうなんですか?」
「くっちゃべってる暇はないぞ!すぐに駆け上がれ!」
怒号が飛ぶ。それはそうだな。
「<煙幕>使うよ!4、3、2、1!」
瞬間、煙が視界を覆った。
「煙を抜けろ!<乱方>を使用するぞ!」
<乱方>?なんかやばそうやね。
「マリア、こっちです!」
「わ、わかった!」
リーシャに手を引っ張られ、煙を抜ける。
と、急に頭がっ!
い、痛い。ぐわんぐわんする。
今...どこに僕はいるんだ。
あ、でも手をリーシャに繋いでもらってるし頭痛はすぐに治ったわ。
「...これ、さっきの攻撃の反動ですか?」
そう言ってくるのはリーシャ。右手を見て言ったのだろう。
「そう。威力が高いけどこの反動だから、滅多なことじゃ使わないんだけどね」
まあその滅多なことがよくあるのがこの世界なんですけどね。
使わないといけない状況の時は躊躇わずに使わないと死んじゃうもん。
「...これだけの反動であの威力を?」
「うん。そうだけど...あれはかなり上手くいった方だよ」
「この手を見ているとそうは思えないのですが」
「下手したら腕吹っ飛ぶし」
「あ...」
リーシャを黙らせつつも階段を駆け上がる。
おそらく耐性がなかったであろうインスマス顔と<ゴブリン>は、多分階段下でウロウロしているだろう。
前が見えず、しかも方向感覚も狂ってる。治れば普通に追ってくるだろうけど、時間稼ぎとしては一級品のコンボだ。
「...それにしてもやはり階段が長いな。どうしてここまで深く掘る必要があるんだ?」
「さあ。でも何かしらの意図はあると思う」
「あったとしても、私たちにはどうでもいいと思うけどなあ」
「そうだな。今は上に進むことだけを考えるべきだ」
...そういえば、確かにこの階段は長い。
20mも階層間を稼ぐ理由はあるのだろうか。しかも一つ一つの階段はつながってないし。位置バラバラだし。
もし何かあるのならそこに理由はありそうだけど...いや。
そもそもの話なんでここにインスマス顔がいるのか、という話もあるし。
だってあいつら弱くても神話生物だし。今まで僕以外が呼び出したであろう神話生物は、神話生物が召喚したものと、図書館のグール、まああいつらもどうせニャルあたりが呼び出したんだろうけど、まあその2つしかない。
そしてその全てで神話生物が関わっているのなら...あいつらも神話生物が関わっている可能性が高い。
...ん?結構きな臭くなってきたかこれ?
次回は2月2日投稿...あ、明日か。