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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第五章 狂恋少女常守
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別れに何があっても必要なやつ

今章はどうしても暗い部分が多いので、あまり長いのが書けないのですよねえ。暗い話は苦手なので。

 ドサッ



「ギャギャ!」



 投げられ地面に激突する。別にいいけど、もうちょっと優しくしてほしい。



 いや、奴隷に人権はないか。はは、人間に捕まってたネコマタと同じような状況になるとはね。



 で?確かさっき>キング・ゴブリン<もとい醜悪王は女性の地下って言ってた。



 頭を下にして引きずられていたから周りとか全然わからなかったけど、多分6個くらい階段を降りたかな?



 そんな場所にあるこの場所は、よく見るとかなり広い。それこそ<ダンジョンボス>と戦う大部屋と同じくらいでかいだろう。



 天井は土、四方の内大きい金属柵があり出れないかつ中に壁のようなものはないので隠れてコソコソするとすぐにバレる。



 トイレとかはついている...のかな?転がされてそのままだからよく見えないけど、そうなるとついていない可能性もある。



 さすがは<ゴブリン>。地球の牢獄とか人間がネコマタを入れていた牢屋と比べたら圧倒的に扱いが悪い。



 というか普通の奴隷の部屋でもここまでのものにはならんでしょう。特に衛生面。



<ゴブリン>もそうだけど、人間は大丈夫なのかね。



「あのー...大丈夫ですか?」



 声。後ろから聞こえた。



 どうやら僕が気付かぬうちに近づいてきていたらしい。



「...えっと?」



 しかし聞き馴染みがある声なのは幸いだ。



 リーシャ。一応彼女を可能な限り庇ったのだけど、一体どうなっただろうか。



 流石に魔の手に落ちていたりは...しないよね?



「これは、生きているのかな?」



 おっと?死体と勘違いしてらっしゃる。



 これはまずい。捨てられたらたまったものじゃない。



 右腕を掴む...お、困惑の表情。



「血が流れている?ということは生きて」

「どうしたリーシャ」



 と人の気配。どうやらわざわざ僕とリーシャに近づいてきた人がいるらしい。



 互いに右足を怪我しているのにね。というか、普通なら他の人のことを考えることができない状況だろう。



 だってまあ、ここは地獄だからね。



「アンジェリアさん。実はこの投げ込まれてきた死体が生きているみたいなんです」

「いやそれは死体じゃないだろう」



 うん。死体だと勘違いされているね。



 そしてこんな状況下での冷静なツッコミ。さすがだ。



 おそらく相当心身ともに余裕があるのだろう。慣れているのか、それともそういう()()じゃないのか。



 どちらなのかは体を見れば一発だ。なんせ服がないからね。男どももほぼ服なかったけど、みた感じ女は一律で服がない。



 多分いらないし面倒くさいんだろうね。ほんと衛生的に最悪の状況だ。衛生面以外も最悪だけど。



「...なるほど、確かに見た目は死体だな。呼吸の動きすら見えず...」



 僕の顔の目の前へ。そして覗き込んできた。



 ...美しい、いや麗しいか。長く伸ばした髪がおそらく諸々の要因で痛んでいるのがとても惜しい。



「瞳孔も死んだ魚のような目をしている。が血色はあるし」

「鼓動もあるんです...ん?」



 身長高め、スタイルもいい。もし捕まっていなかったらいい女性になっていたのだろう...



「あれ...もしかしてマリアですか?」



 あ、気づいた?



 そーなんですよ。マリア・ヒルドなんですよ。



 右脚及び左腕が欠損し血だらけ傷だらけあざだらけですけどね。あなたの知っているマリアと同一人物ですよ。



「...やっぱり。精神だけが生きているっていうことですか?」

「ど、どういうことだ?」



 わからないのも無理はない。僕はかなり特殊だからね。



 多分、というかほぼ確定だけど、拷問やら強姦やらの影響で肉体が一時的に意識を失っちゃったみたい。



 だから今視覚と聴覚以外が死んでる。そのおかげで2日間を耐えたんだけどね。



「そうだったんですか...あうう、よかったでずっ!」



 いや、泣くほどのこと?僕としては君の安否が心配だったんだけど...



 どうだった?何か変なことされなかった?



「は、はいい....特段、何か変なことはされませんでした。マリアのおかげです!」



 そっか...よかったああ...



 はあ、どっと疲れが出てきたよ。リーシャを庇うことに成功したことがわかって安心したからかな。



「...あー、誰か説明して欲しいのだが」

「それは私が説明しようかな」



 お、誰だ。なんかかわいい声が聞こえてきたけど。



「こんにちは、新しい女の子。私はミア、この地下女性奴隷牢の技術長をしてるの。同時に<心眼>による嘘発見係もしてるかな」



 あらそういう。だから僕と会話できるのね。



 あ、僕はマリア。マリア・ヒルドです。



「マリア・ヒルドね、覚えとく。こっちの長身のは...」

「な、会話ができるのか?」



 そうですよ。一応視覚と聴覚だけ生き残ってますからね。



「視覚と聴覚はあるらしいので、見聞きはできるみたいです」

「あとは心を読める私たちが代わりにしゃべれば、一応会話ができるねえ」






「そうか、なら遠慮なくさせてもらおう。私はアンジェリア。この地下女性奴隷牢の事実上のリーダーで...」



 で?



「...レジスタンスの、リーダーだ」

...でも幸いなことに、ここからはかなり殺伐としますよ。

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