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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
177/402

考察一

時間が欲しい。なんで年末というのはこんなにも忙しくなるんだ。



遅れてすみません。

第一に、このメモは他の神話生物、これはショゴスなどの従順な存在も含めて、それら全てに見せてはならない。



もし見せたら、僕がどうなるかわからないからだ。



次に、これを書いた後書いている間の記憶、思考の全てを消すこと。



奴らは心を読んでくる。それにおいても見つかってはならない。






今、このメモを書いているのはちょうどバーストの女王就任式が終わり、ショゴスらがミ=ゴやバーストの手伝いを始めたばかりのタイミング。すでに夜で僕も眠いが、今のタイミングしか考察をするタイミングはないだろう。



考察。この考察は全ておそらく見つかったら僕自身が消されるくらいヤバいもの。何があっても見つかるな。



============================================



ではまず、これを考察しこの紙に書く理由を述べよう。最初からおかしいと思っていた節があることが3つあったからだ。



1に記憶。他の転生者はどうも記憶をしっかりと持った状態で来るらしい。一番わかりやすいのは教科書に書いてあった過去の転生者で、奴らはどうやらこの世界の人間に筆記や制作などの技術を教えたらしい。



ではなぜ僕だけ持っていないのか。僕だけが特別だからか?いや、<魔王>という特別な枠に収められたにも関わらず僕だけ過去の記憶が消えるのは何かおかしいような気がする。しかもちょくちょく思い出すというのも実にいやらしく、まるで僕にそちらの方向に進ませたくないようにも思えてしまう。



誰が進ませたくないのか、は知らないけどな。ただ誰かが、それこそ<勇者>や、あるいは神話生物が僕が記憶を取り戻すのを阻害している可能性は否定できない。



今後もその阻害を退けつつ、なんとかして記憶を取り戻していくことになるだろう。



2に人間。時に生物の世界は弱肉強食である。強ければ他の生物を蹴り落として生き残り、弱ければ強き生物に殲滅させられる。それはわかっている。



魔獣が強いから人間が強くなるのも理解できる。環境に適応する能力が生物には備わっているのだから。



だが。あまりにも強すぎる。確かにクタニドが判定しただろうが、だとしてもおかしい。



魔獣と神話生物には雲泥の差がある。これはこれを読んでいるか書いている僕なら流石にわかっているだろう。



クトゥルフ神話において、神話生物というのは絶対だ。神話、と言っているのも納得で、どんな状況であろうと基本的に神話生物との戦いは避けるべきだ。例えこちらが強く、そして敵が食屍鬼で、出会ったとしても、あるいは何があっても戦いが避けられない場合だとしても。何があっても十二分の用意はするべきだ。負けはつまり死、それ以降に物語は紡がれないのだから。



しかしあいつらは違う。準備はおろか、体力が限りなく損なわれた状態で戦い、一人も欠けることなく勝利した。



なぜだ?本当に理解できないし、あの一件で僕の中での<勇者>に対する目は変わった。



そして...5人とはいえあの実力で倒せるということは。おそらく校長クラス、つまり<伝説の20人>ならば神話生物を殺す可能性がある。



しかも< 伝説の20人>に限った話ではない。今の<勇者>よりも強い人間はまだいるだろうし...



ただ本当に人間という種自体が強すぎるというのは本当だ。魔獣というのが地球に現れたとして、おそらく適応できるまでに短くて半年、その間に多くの人間が死んでいくことになる。なんらかのコロニーを作ったり、あるいは宇宙に移住するかもしれない。



だが今の人間は、なんなら魔獣の湧き出る<ダンジョン>を周回するというわけのわからないことをやっている。それほど人間を強くしたのは一体なんなのか?



なるべく早く、それを突き止めるべきだろう。僕が生き延びるために、それに対する対抗策も練らなければいけないのかもしれないのだから。



3。それは召喚。



はっきり書いてしまおう。僕自身、召喚して従属させている神話生物に恐怖を抱いている。



あたりまえだ。そもそも神話生物が弱小な人間である僕の願いを聞いてくれていること自体おかしい。



召喚でやってくることまではまだわかる。ただの魔法陣が実は、なんてことはクトゥルフ神話じゃ日常茶飯事だ。



だけどなぜ僕の言うことを飲んでくれる?ショゴスやミ=ゴはまだわかるよ。人間とは違う生物ではあるものの、ショゴスは奉仕種族であるわけだし、ミ=ゴはこちらに協力関係を築いてくれることもある。



でも旧神や外なる神、旧支配者の中でもトップクラスの奴らは違うだろ。もしかすると旧神はまだワンチャン、とか考えるかもしれないけどちょっと待て。あくまでも旧神は比較的人間に対して優しく接してくれるだけだ。バーストのような例もあるし、もしかすると僕の知らない一面があるかもしれない。



まるで当たり前のように僕の命令を完遂してくれる。そんな状況が怖い。いつか僕は寝首を掻かれるのだろうか。



そもそも人間が操っていい存在ではない神話生物。彼らの行動は逐一観察し、おそらくあるであろう僕に従属してくれる理由を見つけなくてはならないだろう。



以上、時間がないから要点しかまとめていないがこの考察をこのメモに残す。



...そろそろショゴスがくるか。手帳の間にこのメモは挟め。

ちょっとした幕間のような、幕間でないような。



次回はついに新章です。

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