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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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事後

遅れたのに短い。しかも遅れた分の投稿もできないくらい時間がないのです。

 目が覚めると、そこは真っ白な空間...



 ではなく。まるで不可思議な文様の空間、つまりイスの偉大なる種族の隠れ家だった。



「目が覚めましたか」



 声...いや羽音。



「ああ、ようやくね...何日経った?」

「5日と2時間15分41秒。だが実際は+10分は経っていると思われます」

「さすがミ=ゴ。こっちが聞きたいことをすぐに提示してくれるね」



 カタカタとなにか機械のようなものを操作しながら僕と会話するミ=ゴ。



 ...よく見ると僕の体にいくつかケーブルが繋がってる。



 一部のケーブルはチューブのようになっていて、血液の一部がそっちに流れているのがわかるけど、それはあくまでも一部か。



 実際のところは神経系や筋肉が大半。体を動かす度に違和感があって、脳が発する信号がなにかに遮断されたあと伝わる、つまり体を動かすのに少し遅延が発生しているから恐らくそれが理由だろう。



「まさかバースト様がマリアを攻撃するとは思いませんでした。おかげであれから肉体の再構成作業しかやっていませんし。しかも他にも負傷者がいますし。もう大変です」

「ちゃんと任せたぶんを全てやってくれているのか。ありがとう」

「マリアが言っていなければやっていませんよ。と。ようやく終わったようです」



 その時、パラパラとケーブルが勝手に離れていく。



 肉体の再構成作業とやらが終わったのだろう。動きも...



「その様子であれば問題は無さそうですね。では。私はこの辺でほかのに人を見に行きます」

「わかった。ここまで付き合ってくれてありがとう」

「いえいえ。もしも何かありましたらそこにあるベルを使ってください」

「了解」



 そう言って部屋を出ていくミ=ゴ。



 そして出てくる左腕。



「マスター!」

「ショゴス!よく頑張ってくれた!」



 出てきたショゴスに感謝を伝える。かれ?かのじょ?のおかげで僕は何度も助かっているのだから、感謝は伝えても伝えきれないほどある。



 今回もそう。ほぼ再生が効かないバーストからの傷を治そうと奮闘したのは他でもないショゴスだろう。



 恐らくショゴスがミ=ゴの治療までの時間を稼がなければ僕は死んでいたはずだ。それほどバーストの攻撃は深かった。



 なんたって確実に殺そうとしてきたからね。心臓が貫かれて気絶する直前、まじで死んだと思ったもん。



「本当に危なかったです。一時的に心臓に繋がる血管を封鎖、私が代わりの心臓として動くという一連の流れがあと数秒遅かったらどこかが身体不随になっていたそうです」

「でも今はそんなことない。つまりショゴスが頑張ってくれたわけだろう?」

「私は当たり前のことをしたまでです。マスターの体の大半を私が守っているのですから」



 それが最も君を信頼出来る点だよね。ショゴスがいる以上僕に対する攻撃はショゴスを殺せるレベルのものでなくっちゃあならない。



 そしてショゴスはまず間違いなく殺すことが非常に困難な神話生物。つまるところ僕自身も非常に死ににくくなっているわけだ。



「私レベルで頑丈なわけではありませんけどね。あくまでも身体の再生力が普通の人間の数千倍になっているというだけのことです」



 いやまあそうなのだけど。



 でも...と、そういえば肝心なことを聞いてなかった。



「危ない危ない。ショゴス、事後報告を」

「あ、そうですね。少々お待ちください」



 と言われると急に目の前が真っ暗になり...そして明るくなる。



 ここは、なるほど。バーストに突き刺された直後のことか。



「マスターが気絶した後のことをマスター目線の記録として残しました。まずはそちらをご確認してもらっても?」

「もちろん。見せてくれてありがとう、ショゴス」

「いえいえ」



 ============================================



 ふむふむ、なるほどね。



 つまり...



「クタニド様が判定を下したとはいえ、マジで?」

「はい。<勇者>は文字通りの本気バースト様に勝ちました」



 ...冗談ではない。これは本当だ。



 確かにあのバーストが腹を真っ二つに割かれている。本当にこれは本当かと疑いたくなるのも無理はない光景だ。



 だが事実、そうこれは事実だ。僕が攻撃されて死にかけた後、彼らは確かにバーストと戦い、そして勝ったのだ。



「本当に死ぬかと思いました!おそらく私を狙ってもすぐには倒せないと思ってソルスらを狙ったと思うんですけど、もし私が真っ先に狙われて死んだ場合、本当に負けていたと思います!」

「この様子を見る限りシート・サントニーも死んでいた場合全滅...いや、これ一人でも欠けたら全滅か」

「本当にギリギリでした!もう二度と戦いたくありません!」



 まあそもそも神話生物と戦おうとしている時点で無謀なのは置いといて。



 そう、確かに彼らは勝った。勝ってしまったのだ。



「...どう思います?バースト」



 背後にいるであろうバーストに声をかける。



「まず一つ言えるのは、彼らは人間にしては強すぎるという点ですね」

「と言うと?」

「マリア、あなたは人間をやめましたが彼らは人間をやめていない。なのにマリアと同等かそれ以上の性能を発揮して私を殺しに来たのです」



 それはすごいな。人間なのに人間とは遠い強さを持っているってことでしょ?



 逸般人の時点でもう、なんかこう、言葉に詰まるけど。まあとにかくすごい。うん。



「確かに私は少し気が狂っていました。守る立場であるはずの人間を全て殺すとは言語道断、だからこそ少しだけ手加減はしていました。後衛から順に潰さなかったのはそのためです」

「<結界>...いわば<装甲(パリア)>とも言うべきそれの弱点が簡単に突けるようになってしまうもんね」

「それ以外に倒す方法をなくすという目的もありましたが...だとしても気づくのは遅く、またほぼ死にかけと言っても過言ではなかったソルス・バミアもいました。何よりその前の戦闘で攻撃職は全て消耗していましたから、まず間違いなく勝てるであろうと高は括っていました」

「慢心は?」

「本気を出す、と言ったでしょう。あえて弱点を作ることで突破口を見出せるようにはしましたが、それ以外に妥協はありません」



 まあ確かに。見た感じ手を抜いて攻撃しているふうには見えないし、なんならメェーちゃんとは本気で殴り合っているようにも見えるし。



「なのに、あの者たちは勝ちました。先ほどマリアも考えていましたが、クタニドが判断したとはいえクタニドが私が負けたと判断する程の傷を奴ら、<勇者>は負わせてきたのです」



 常軌を逸している?いやもしかするとこの強さが本来なのかもしれない。



 だって、



「ただいま〜!」

「お、メェーちゃんおかえり〜!」

「メェー!」



 うんうん。メェーちゃんは今日もかわいいね。



「とりあえず塔は解体して、それから住宅もいくつか再建が始まったよ」

「北部ですか?」

「そう!みんな頑張ってるよー」



 と、メェーちゃんはニャージーランドの立て直しを手伝っているのか。



 さすがは外神の中でも人間に優しい方の...






「そうそう。私、あなたの<召喚獣>を止めることにしました」

「...はえ?」

次回も短めになりますが、同時に<魔法属性>の方を加筆しようかなと思っています。

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